原材料調達安心・安全な製品を届けるために

味の素グループでは、事業活動で利用する原材料を網羅的に把握した上で、社内関連部門と社外有識者(専門家、NGO等)で分析し、農林資源、水産資源の領域で特に重点的に取り組むべき重要原材料を特定しています。特定にあたっては、当該原材料への依存度、代替可否、地球環境の持続性への関わりの大きさ等の総合的視点で判断しています。重要原材料は、事業や地球環境等の状況の変化に即し、毎年見直しを行っています。
また、味の素グループでは、味の素品質保証システム「ASQUA(アスカ)」で定めた「原材料の品質管理基準」に従い、サプライヤーを選定し、購入した原材料は、ロットごとに検査し、厳格に管理をしています。

ASV経営を支える持続可能な原材料調達

味の素グループは、事業活動で利用する原材料を網羅的に把握した上で、社内関連部門と社内有識者(専門家、NGO等)で分析し、農林資源、水産資源の領域で特に優先して取り組むべき重点原材料を特定しています。味の素グループではパーム油、紙、コーヒー、大豆、サトウキビ、牛肉のガイドラインを定めて調達方針、および2030年までのコミットメントを社内外に示すとともに、認証を受けた原材料の調達や各種イニシアティブとの連携、独自のトレーサビリティの確立や監査等も進めていきます。

また、SBTiが求める2025年末までのNo-Deforestation実現にもコミットし、今後も持続可能な調達を進めていく方針です。

持続可能な原材料調達推進

味の素グループでは、将来に渡って安全・安心な製品の供給を続けるため、気候変動、生物多様性、人権問題等と大きく関わる森林減少の抑制が重要と考えており、パーム油や紙等の農林資源に関する取り組みを強化しています。グループで「パーム油の調達ガイドライン」および「紙の調達ガイドライン」を定め、認証を受けた原材料の調達や各種イニシアティブとの連携、独自のトレーサビリティの確立や監査等も進めていきます。

持続可能なパーム油の調達推進

パーム油(パーム核油含む)を使用する製品は、カップスープ、即席麺、コーヒークリーマー等の加工食品や化成品等多岐にわたっており、使用する地域も日本、東南アジア、欧州、南米にまたがっています。一部の製品では認証品の調達がより困難なパーム核油を使用していること、一部の地域では認証パーム油の供給が限られることから、味の素グループではRSPO※の認証品またはトレーサビリティの確認のとれたものをもって「持続可能」としています。2030年度までに「100%持続可能なパーム油の調達」を実現することを目標とし、認証・トレーサビリティが確立できていない用途および地域のパーム油について重点的にトレーサビリティ確立を進めていく予定であり、No-Deforestationおよび持続可能な調達実現に向けて取り組みをさらに拡大します。

持続可能な紙の調達推進

味の素グループは、「紙の調達ガイドライン」に基づき、容器包装用紙の持続可能な調達を進めています。ガイドラインでは、保護価値の高い地域の森林破壊に関与せず、かつ原木生産地の法令および国際的な人権基準を守り、適切な手続きで生産する事業者から調達した紙をもって「持続可能」としています。持続可能な紙には、FSC®等の認証紙だけでなく、再生紙、FSC®管理木材由来の紙も含まれます。2030年度までに「100%持続可能な紙の調達」を実現することを目標とし、引き続き取り組みを拡大します。

持続可能なサトウキビの調達推進

味の素グループは発酵原料としてサトウキビ、テンサイ、キャッサバ、トウモロコシなど多くの種類の作物から取れる糖質を発酵原料として使用していますが、特に優先的に取り組む原料としてサトウキビを選定しています。
TNFDのLEAP アプローチに基づいたリスクアセスメントを掘り下げ、リスクと機会を整理します。また気候変動のスコープ3の取り組みなど他の課題への対処と連携して、生産者やサプライヤーと協働で持続可能なサトウキビの調達に向けた活動を展開する予定です。

持続可能なコーヒー豆の調達推進

コーヒー豆の生産は、生物多様性が豊かな地域で行われており、多くを小農家に依存しています。
そのため、コーヒー豆の調達にあたっては、地球環境への配慮に加え、生産者のより安全で安心な労働環境実現、農業生産性向上への取り組みも重要であると認識しています。
味の素グループは、コーヒーの調達ガイドラインを整備し、調達方針ならびにKPIを設定し、4C認証システムに適合する農園で生産されたコーヒー豆の調達を通じて、コーヒー豆の生産と流通における持続可能性に取り組みます。

持続可能な大豆の調達推進

味の素グループは、2030年度までに持続可能な大豆の調達比率100%を目指して、認証品の購買やトレーサビリティ確保等の具体的な取り組みを進めています。
日本国内の味の素グループの米国大豆持続可能性保証プロトコルに則った大豆および大豆油の使用率は、2023年度に69%となった一方で、残りの大豆製品は森林破壊等のリスクが高いとされる南米産や原産国が不明なものが含まれています。
2024年度は引き続きサプライヤーのエンゲージメントを行い、重点的に取り組む法人と共に大豆の調達ガイドラインに基づいた大豆調達を実現に取り組みます。

持続可能な牛肉の調達推進

味の素グループは、2030年度までに持続可能な牛肉の調達比率100%を目指して、トレーサビリティ確保等の具体的な取り組みについて検討しています。
2021年度に実施した網羅的なアセスメントにおいて、牛肉はブラジルやオーストラリアがリスクの高い地域として特定しています。2024年度は味の素グループとしての基準および目標を明確化したガイドラインを制定し重点的に取り組む法人と共に、サプライヤーのエンゲージメントを行い、牛肉のサプライチェーン可視化等の取り組みを開始しています。

サプライヤーとの取引

すべての原材料は、味の素グループ独自の品質保証システム「ASQUA(アスカ)」で定めた要件を満たすサプライヤー(原材料供給元)から購入しています。サプライヤーとは定期的にミーティングを実施するほか、製造現場を訪問して製造の様子を確認するとともに、「調達に関するグループポリシー」および「サプライヤー取引に関するグループポリシー」、関連するガイドラインの趣旨の理解を促し、定期的な評価および品質監査を実施するなど、品質保証レベルの向上について提案・指導を行っています。

サプライチェーンマネジメント体制

味の素グループでは、味の素(株)がグループ全体の原材料調達方針を策定し、その方針に基づいて国内外のグループ会社が戦略・計画を立て、実践する仕組みとなっています。グループ内で調達方針およびベストプラクティス(最も効率の良いやり方)の共有を行うために、味の素グループグローバル調達会議を適宜開催しています。

持続可能な原材料調達に向けたサプライヤーとの取り組み

味の素グループは、「サプライヤー取引に関するグループポリシー」にてサプライヤーに対する持続可能性観点での期待事項をお伝えすることで、サプライチェーンにおける人権・社会的側面の持続可能性確保に共に取り組むべくご理解・ご協力をいただいています。
味の素グループでは、「サプライヤーホットライン」を設置しています。役員・従業員、取引先からの通報窓口を開設し、味の素グループ役員・従業員の法令違反や「味の素グループポリシー」(AGP)逸脱の疑いのある行為の早期発見と是正を図っています。将来的にはサプライチェーンにおける人権・環境問題等を発見する手段の一つとして活用します。
また、味の素グループは、「人権尊重に関するグループポリシー」において、人権デュー・ディリジェンスの仕組み構築・継続的実施を明確化しています。これに基づき、グローバルの人権課題に対する検討や啓発を進めるとともに、人権デュー・ディリジェンスによる人権マネジメントの仕組みを構築中です。

TOPIC MEMO

食の安全・安心の関連用語

残留農薬

食品中に残留する農薬が、人の健康に害を及ぼすことのないよう、各国がそれぞれの国の事情に基づいて残留基準を設定しています。味の素グループでは、原材料として使用する野菜等の安全性を確保するため、農場全体の農薬管理をはじめ、独自の厳しい基準と分析体制のもと、収穫した野菜の残留農薬検査を行っています。

GMO(遺伝子組換え作物)

遺伝子組換え技術は、農作物に害虫耐性を付与して使用農薬を低減するなど、食料問題や環境問題の解決に大きな役割が期待される重要な技術です。使用と表示については、国ごとの法律により異なりますので、味の素グループは、各国の法律に従っています。

トレーサビリティ

味の素グループでは、味の素品質保証システム「ASQUA(アスカ)」で定めた「トレーサビリティ基準」に従い、トレーサビリティーシステムを構築し、製品で使用される原材料情報から製造・物流工程に至るまでの履歴情報を速やかに調査できる体制を整えています。

動物との共生(アニマルウェルフェア)

味の素グループで生産する食品には、畜肉や卵、エキス等の動物由来の原材料が欠かせません。近年、家畜の飼養においてもアニマルウェルフェア(誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた健康的な生活ができる飼育方法を目指す畜産のあり方)への注目が高まっています。
味の素グループは「アニマルウェルフェアに関するグループポリシー」を掲げ、味の素グループが関わるすべての動物のアニマルウェルフェアの向上に取り組みます。