味の素「食と健康」国際協力ネットワークプログラム(AINプログラム)

味の素「食と健康」国際協力支援プログラム

  • 2015年
  • 2014年
  • 2013年
  • 2012年
  • 2011年
  • 2010年
  • 2009年
  • 2008年
  • 2007年
  • 2006年まで

AIN事務局からのお知らせ
2010年度支援事業を決定しました。 <選後評>
審査の結果と総評
 味の素グループは、開発途上国の人々の生活の質と環境の質の共生の向上を目指し、「食・栄養分野の国際協力」の現地活動に対し助成を行っています。このたび、2010年度支援事業として計6件の助成を決定いたしました。
 今回の公募では、学校教育現場での「食・栄養」分野の活動について多くのご提案をいただきました。食事の提供(給食)を中心として学内での農業(菜園活動等)、栄養・調理教室開催等、生徒・教師のみならず家族やコミュニティの住民、専門家等、様々な関係者を巻き込みながらの活動計画からは、各々異なる課題をもつ社会環境の中で、国の将来を担う子どもたちの健全な育成を目指される姿が伺えました。また、医療支援における栄養失調改善、あるいは途上国での過剰栄養改善を目的としたご提案からは、従来あまり多くは見られなかった食・栄養をめぐる課題が、急速にそして確実に拡がっていることを認識いたしました。一方、新規性のあるご提案としては、二カ国間以上をまたぐマクロな事業や、学生等のボランティアリズムをねらいとした事業等があり、事業の目的・手法等の多様性を感じました。
 2010年度支援事業公募改訂(※)にともないましては、新規支援事業への申請案件が大幅に増えたことと同時に、味の素グループによる事業参加のご提案(栄養専門家の人材派遣など)をいただくようになり、申請団体の皆様が、企業に対して資金面以外のリソース(人・情報等)の提供も求められていることをあらためて認識いたしました。
 すべての申請案件につきまして、特に「食・栄養分野の活動の位置づけ」および「自立発展の視点」を重視し、また同様の課題を抱える他地域への波及効果の期待もこめて、審査をさせていただきました。

※2010年度支援事業公募改訂事項:
 (1)「保健」の表現: 「食・栄養」分野に関連する課題
       →改訂後)  「食・栄養」分野およびこれらと関連する「保健」分野に関する課題
 (2)対象地域(国)の範囲: アジアおよび南米(ブラジル、ペルー)
       →改訂後) アジア(インド、インドネシア、カンボジア、タイ、中華人民共和国、バングラデシュ、
             フィリピン、ベトナム、マレーシア)および南米(ブラジル、ペルー)
 (3)支援金総額と内訳:
      総額800万円 →改定後)1,000万円
      新規支援100万円×2年 →改定後)200万円×2年
      継続支援200万円×3年 →改定後)100万円×3年
今回の審査の結果について、次の通り報告いたします。
1.2010年度助成事業一覧
2.申請状況
3.選考方法と選考経過
4.2010年度助成事業の概要と推薦理由

2010年度支援事業 応募要項

1.2010年度助成事業一覧

事業名 団体名 実施国 期間
(年)
10年助成額
概算(千円)
持続可能な地域住民参加協力型学校給食のためのシステム作り 日本・バングラデシュ
文化交流会
バングラデシュ 2 1,980
(2年目:1,830)
貧困農村の母子の持続的な栄養改善を目指す食育プログラム 特定非営利活動法人
ハンガー・フリー・ワールド
バングラデシュ 3 1,000
(2年目:1,000)
(3年目:1,000)
バングラデシュ住民参加型による安全な水と栄養・健康に関する教材開発事業 社団法人アジア協会
アジア友の会
バングラデシュ 2 1,700
(2年目:1,760)
学校給食のための農業プロジェクト The Education for Development Foundation
(現地非営利団体)
(推薦団体:一般財団法人 民際センター)
タイ 1 1,900
学校給食とオーガニック菜園を通じた食育プロジェクト LOOB JAPAN フィリピン 2 1,200
(2年目:780)
「栄養教育・給食センター建設と菜園開発」による栄養改善事業 特定非営利活動法人
ピープルズ・ホープ・ジャパン
インドネシア 2 2,000
(2年目:2,000)
2010年度支援額計:9,780千円
(上記すべて2010年4月1日開始予定)

2.申請状況

 2009年9月1日~10月31日まで一般公募を行い、国内外の非営利団体から計15件の申請を得ました。
 (運営協力:(財)日本国際交流センター)

申請状況(申請団体/募集形態・実施地域別):
新規事業支援 継続事業支援
アジア 南 米 アジア 南 米
申請数 採択数 申請数 採択数 申請数 採択数 申請数 採択数
日本に拠点を有する非営利団体 9 4 1 0 2 1 0 0 12 5
海外にのみ拠点を有する非営利団体 3 1 0 0 0 0 0 0 3 1
12 5 1 0 2 1 0 0 15 6

3.選考方法と選考経過

主なスケジュール 日程表

(1)事前査読

 選考委員(AIN委員:食・栄養・保健・国際協力等の専門家、計6名)、事業実施予定地に関連する味の素グループ海外法人およびAIN事務局(味の素 CSR部内)によって、第一次審査会に向けた事前査読が行われました。

(2)第一次審査

 2009年12月17日、第一次審査会(AIN委員による支援候補案件の選考)を開催し、支援候補案件(7件)を決定しました。

(3)現地視察、国内事務所訪問

 支援候補案件について、関連する味の素グループ海外法人およびAIN事務局による現地視察、または国内事務所訪問等によるヒヤリングを行いました。

(4)第二次審査

 2010年3月23日、現地視察報告および再提出申請書類に基づいた最終採択案を、AIN事務局より味の素グループ社会貢献担当役員へ提出し、6件が2010年度支援事業として承認されました。

4.2010年度助成事業の概要と推薦理由

助成番号10-01-新規
事業名 持続可能な地域住民参加協力型学校給食のためのシステム作り
団体名 日本・バングラデシュ文化交流会
代表者名 馬上 慎司
実施国・地域 バングラデシュ人民共和国 ジェソール県シャシャ郡
実施期間 2010年4月1日~2012年3月31日 (2年間)
助成額 総額3,810,000円(1年目:1,980,000円、2年目:1,830,000円)
推薦理由 設立以来取り組んできた栄養調査・教材開発・普及活動の過程で明確になってきた子どもの栄養不良の改善を目指す事業であり、そのねらいは明確である。地方行政や日本人専門家との連携のもと、既に本事業の事前準備(給食メニュー考案等)を進めていることなどから、事業実施への熱意と専門性の高さを理解できる。事業の自立発展のポイントとなる「フードバンクシステム」(村の人々が給食食材等を提供する仕組み)の計画を、学校やコミュニティ住民等との協力のもと、着実に実行されることを期待する。
関連する味の素グループ海外法人(以下同):<シンガポール味の素社>
助成番号10-02-継続
事業名 貧困農村の母子の持続的な栄養改善を目指す食育プログラム
団体名 特定非営利活動法人ハンガー・フリー・ワールド
代表者名 齊藤恵一郎
実施国・地域 バングラデシュ人民共和国 ポンチャゴール県ボダ郡
実施期間 2010年4月1日~2013年3月31日 (3年間)
助成額 総額3,000,000円(1年目:1,000,000円、2年目:1,000,000円、3年目:1,000,000円)
推薦理由 貧困地域における母子の健康問題の背景に栄養不良を位置づけ、その解決のため、独自運営の母子ヘルスケアセンターを拠点とした栄養教育活動は意義深く実践的である。自国の保健・医療・栄養専門家等との関係構築が既に安定的に成されていることに加え、母子保健教育や学校給食等、関連活動の実績も豊富であり、「食・栄養教育」への取り組みを開始する素地は十分整っている。極度の貧困や低識字率の課題を抱える同地域で、母子に寄り添った地道な活動計画が練られていることなどから、同様の課題を抱える他地域へのモデルケースとなることを期待する。
助成番号10-03-新規
事業名 バングラデシュ住民参加型による安全な水と栄養・健康に関する教材開発事業
団体名 社団法人アジア協会アジア友の会
代表者名 柴田 俊治
実施国・地域 バングラデシュ人民共和国 ボリシャル県 アグルジョラ郡・ゴウルノディ郡・ウジルプール郡
実施期間 2010年4月1日~2012年3月31日 (2年間)
助成額 総額3,460,000円(1年目:1,700,000円、2年目:1,760,000円)
推薦理由 地下水砒素汚染が深刻な問題である同国において、既存の深井戸普及事業と合わせて、砒素中毒症状の軽減・防止につながる栄養改善事業を行うことは公共性が高い。自立発展性の視点が強く、日本人専門家を積極的に巻き込みつつも、計画段階より教師、保護者等様々な関係者が関わり、現地主体のスタンスをつらぬいている。将来的に現地カウンターパート運営の全小学校に対して、住民参加型教材開発のプロセスそのものの普及を目指していることから、ひいては同国内の他学校への普遍的な拡がりが期待できる。
<シンガポール味の素社>
助成番号10-04新規
事業名 学校給食のための農業プロジェクト
団体名 The Education for Development Foundation(現地非営利団体)
(推薦団体:一般財団法人 民際センター)
代表者名 SUNPHET NILRAT
実施国・地域 タイ王国 ナコーン ラーチャシーマ県
実施期間 2010年4月1日~2011年3月31日 (1年間)
助成額 1,900,000円
推薦理由 長年の奨学金事業を通して培ったきたネットワークを活かし、「教育」を基軸に「農業」と「給食」を組み合わせる本事業は、対象校生徒への安定的な食料/食事提供の機会となるばかりでなく、農業技術訓練や栄養教育など、「学びの場」としての相乗効果が高い。また教育省管轄の地方行政機関が重要なカウンターパートとして常時関わることから、他地域の学校への波及効果の可能性がある。学校、近隣住民・農家、専門家等の間で情報・意見交換を行いながら、地域社会全体の食・栄養に関する意識・知識が向上されることを期待する。
<タイ味の素社>
助成番号10-05新規
事業名 学校給食とオーガニック菜園を通じた食育プロジェクト
団体名 LOOB JAPAN
代表者名 小林幸恵
実施国・地域 フィリピン共和国 イロイロ市マンドリアオ地区
実施期間 2010年4月1日~2012年3月31日 (2年間)
助成額 総額1,980,000円(1年目:1,200,000円、2年目:780,000円)
推薦理由 ごみ投棄場周辺の低所得層の子どもが多く通う対象校では、栄養不良の割合が比較的高い。教育省オフィサーや政府系の栄養専門機関との連携のもと、小規模ではあるものの、「食・栄養」にフォーカスが置かれた事業である。学校給食や菜園活動の現場に、食・栄養教育の視点を日常的に導入しようと試行錯誤する姿勢には、関係者の強い熱意を感じる。本助成をきっかけとして、対象校に留まらず、同様のニーズのある他学校への参考事例となることを期待する。
<フィリピン味の素社>
助成番号10-06新規
事業名 「栄養教育・給食センター建設と菜園開発」による栄養改善事業

*本案件は当助成による「幼児の栄養・食生活改善事業」(2006年度)、「健全な栄養・食生活を目指す地域密着型栄養管理チーム医療普及事業」(2007-08年度)の継続事業
団体名 特定非営利活動法人ピープルズ・ホープ・ジャパン
代表者名 甲谷 勝人
実施国・地域 インドネシア共和国 バンタン州セラン県
実施期間 2010年4月1日~2012年3月31日 (2年間)
助成額 総額4,000,000円(1年目:2,000,000円、2年目:2,000,000円)
推薦理由 味の素グループ支援により実施してきた幼児対象の栄養改善活動では、ヘルスボランティアが中心となり身近な食材を使ったメニュー開発や栄養補助食の提供が行われ、高い成果を上げてきている。今回、活動拠点となるセンター建設により、地域の人々の栄養改善と保健医療システムの充実・強化が図られ、ヘルスボランティアのモチベーション向上、ひいては活動の自立・定着化につながることが期待される。
<インドネシア味の素社>
以上

なおこのたびの6件に加え、2010年度は他5件の継続事業(08/09年度開始)が実施される予定です。

 申請をいただいた国内外のNGO・NPO、大学ご関係者、申請団体をフォローいただいた推薦団体ご関係者、そして現地で事業に参加される地域住民の皆様、協力関係者の皆様等々、事業に関わる全ての方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

 今回助成が決定した申請団体には、目指されている成果を着実におさめられることを期待いたしますと共に、残念ながら不採用となった団体の皆様には次回以降のご応募を心よりお待ち申し上げます。

 今後とも社会の皆様とともに「食と健康」の国際協力を推進させていただきたく、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

2010年3月31日
AIN代表
女子栄養大学名誉教授
NPO法人食生態学実践フォーラム理事長
足立己幸
味の素株式会社取締役常務執行役員
味の素グループ社会貢献担当役員
岩本 保

 

2010年度AIN助成事業

<2008年度/2009年度開始事業>
事業名 団体名 実施国 期間
(年)
10年助成額
概算(千円)
家庭菜園を利用した農村部
高齢者の栄養ケアの実践と
モデル構築事業
ベトナム国立タイビン
医科大学
ベトナム 3 2,000
ベトナム山岳地域における子どもの栄養改善事業~完全栄養母乳育児の推進 社団法人
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
ベトナム 2 1,600
先住民の子どもの栄養・健康改善のための栄養・健康教育を通した女性のエンパワーメントプログラム Universiti Putra Malaysia
(現地大学)
マレーシア 2 1,000
園庭菜園及び地域で入手可能な食材を利用した子どものための栄養給食プログラム 光の子どもたちの会
(現地非営利団体)
ブラジル 2 900
栄養改善のグッドプラクティス促進のためのネットワーク構築及び地域のエンパワーメント支援事業 特定非営利活動法人AMDA
社会開発機構
ペルー 3 1,300
(3年目:1,000)


<新規開始事業>
事業名 団体名 実施国 期間
(年)
10年助成額
概算(千円)
持続可能な地域住民参加協力型学校給食のためのシステム作り 日本・バングラデシュ文化交流会 バングラデシュ 2 1,980
(2年目:1,830)
貧困農村の母子の持続的な栄養改善を目指す食育プログラム 特定非営利活動法人
ハンガー・フリー・ワールド
バングラデシュ 3 1,000
(2年目:1,000)
(3年目:1,000)
バングラデシュ住民参加型による安全な水と栄養・健康に関する教材開発事業 社団法人
アジア協会アジア友の会
バングラデシュ 2 1,700
(2年目:1,760)
学校給食のための農業プロジェクト The Education for Development Foundation
(現地非営利団体)
タイ 1 1,900
学校給食とオーガニック菜園を通じた食育プロジェクト LOOB JAPAN フィリピン 2 1,200
(2年目:780)
「栄養教育・給食センター建設と菜園開発」による栄養改善事業 特定非営利活動法人
ピープルズ・ホープ・ジャパン
インドネシア 2 2,000
(2年目:2,000)
(計11件・助成総額概算16,580千円)
以上