サプライヤー取引に関するグループ
ポリシーガイドライン

味の素グループ
制定日:2013年11月11日
改定日:2018年7月1日
改定日:2022年11月1日
改定日:2024年4月1日

私たちは、すべての購買取引において、原材料や製品、サービス等を提供してくださるサプライヤー様を、持続可能な社会への貢献において必要不可欠なパートナーであると考えます。

お客様の満足度向上と様々なステークホルダーの期待に応えるため、すべての購買取引におけるサプライヤー様に、味の素グループの考え方をご理解いただき、共に協力しながら、企業の社会的責任を果たし、サプライチェーン全体で持続可能な社会の実現に取り組んでいくことが不可欠と考えています。

本ガイドラインでは、「サプライヤー取引に関するグループポリシー」の 7つの期待事項に対し、サプライヤー様に求める具体的な行動を定め、必須項目または発展項目に分類しています。必須項目に分類された項目は、サプライヤー様に必ず取り組んでいただきたい項目を指します。発展に分類された項目は、共に持続可能な社会への貢献、企業の社会的責任を果たすために、サプライヤー様にさらなる取り組みを推奨する項目を指します。

本ガイドラインの適用範囲は、味の素グループ各社に加え、関連会社、製造委託先を含むサプライヤー様と、その全従業員 (正社員、臨時社員、契約社員、契約代理店を含む)です。サプライヤー様には、「サプライヤー取引に関するグループポリシー」ならびに本ガイドラインの趣旨を理解し、順守に向けた積極的な取り組みをお願いするとともに、サプライチェーンを構成する皆様ご自身のお取引先(上流のサプライヤー様、代理店様、その全従業員)への展開に対してもご理解頂き、順守に向けた積極的な取り組みを働きかけるよう要望します。

サプライヤー様の「サプライヤー取引に関するグループポリシー」および本ガイドラインの順守状況を把握するため、アンケート回答へのご協力をお願いします。また、訪問や情報提供依頼等、追加で状況を把握させていただく場合があります。

必須項目が順守されていない状況が確認された場合には、改善のご対応を要望します。また、必要に応じて、味の素グループが継続的な改善に向けた取り組みをご支援いたします。改善がなされず、著しい逸脱が継続する場合は取引の継続を見直す可能性があります。

共に、企業の社会的責任を果たし、持続可能な社会への貢献を実現するため、本ガイドライン順守へのご協力をよろしくお願いします。

Ⅰ 法令・社会規範の順守と体制整備

事業活動を行う国や地域において適用される法令や社会規範を順守して事業を行い、自社および従業員の法律違反や不正を予防し、問題発生時に早期対応できる、コンプライアンス体制を構築する。

補足:

  • 事業活動を行う事業者は、さまざまな義務を課している各種関連法令を理解し、必要な許可、認可、免許の取得または届出を行い、また、品質基準、表示方法、書類交付、定期報告、取引記録作成等、必要事項を順守しなければならない。

Ⅰ- 1 汚職・賄賂などの禁止

政治・行政との健全かつ正常な関係を保ち、贈賄や違法な政治献金などは行わない。

具体的な取り組み
【必須】
  • 贈賄や違法な政治献金を禁止する法令の順守を徹底するため、関連する方針等の策定、リスクの把握・管理、担当者への研修・教育の機会を提供すること。
  • リスクの把握・管理方法として、以下に示す取り組み等を実施すること。
    • リスク把握の取り組み例:
      • 定期的なリスク評価(内部監査等)
      • 担当部署の設置
      • 管理職向け研修・教育の実施
      • 外部専門家等との連携
    • リスク管理の取り組み例:
      • 贈賄・汚職に対処する経営層のコミットメント
      • 従業員向け研修・教育の実施
      • サプライヤーへの自社方針共有

補足:

  • 贈賄とは、公務員およびそれに準じるものに対し、許認可や取引の獲得・維持、非公開情報の入手など、業務上の何らかの見返りを求めた金銭の提供・接待・贈り物、その他の利益や便宜の供与を行うことをいう。
  • 違法な政治献金とは、例えば、許認可や取引の獲得・維持、非公開情報の入手などの業務上の何らかの見返りを求める政治献金を行うことや、正規の手続きを踏まない政治献金を行うことをいう。

Ⅰ- 2 優越的地位の濫用禁止

優越的地位を利用して、取引先に不利益を与える行為を行わない。

具体的な取り組み
【必須】
  • 購買取引は、契約等をベースにして誠実かつ公平・公正に行い、優越的地位を濫用するような行為を行わないこと。
  • 優越的地位の濫用に関する法規制のある国では、それらの法令を順守すること。

補足:

  • 優越的地位の濫用とは、取引上優越的な地位にある事業者が、その立場を利用して、取引先との取引条件を一方的に自社に有利に決定・変更することや、取引先に不利益な要求や義務を課すことをいう。

※日本における法規制とは下請代金支払遅延等防止法(下請法)等を指す。

Ⅰ- 3 不適切な利益供与および受領の禁止

ステークホルダーとの関係において不適切な利益の供与や受領を行わない。

具体的な取り組み
【必須】
  • ステークホルダーとの不適切な利益の供与・受領を防止するため、関連する方針等の策定、リスクの把握、従業員への研修・教育の機会を提供すること。

補足:

  • 不適切な利益供与や受領とは、以下のようなものをいう。
    • 関係者に対し、法令に定める範囲・社会的儀礼の範囲を超えた、金品(景品、賞品、賞金などを含む)や接待を提供あるいは受領するような賄賂性のある行為を行うこと。
    • 社会的秩序や健全な活動に悪影響を与える反社会的勢力(犯罪組織やテロ組織)に利益を供与する行為
    • 特定の株主に対して利益を供与する行為
    • 顧客などの業務に関する非公開の重要情報をもとに、当該会社の株式などの売買を行うインサイダー取引

Ⅰ- 4 競争制限的行為の禁止

公正・透明・自由な競争を阻害する行為は行わない。

具体的な取り組み
【必須】
  • 同業他社との間で、製品・サービスの価格、量、販売地域などについて申し合わせを行うこと(カルテル)や、他の入札者との間で、落札者や落札価格の取り決めを行うこと(入札談合)などは、競争を阻害する行為に当たるため禁止すること。
  • 他社の営業秘密を違法な方法で入手・利用すること、他社製品に関する虚偽の表示や、自社製品の原産地、品質などについて顧客に誤認を生じさせるような表示を行うことなどは、不正競争行為にあたるため禁止すること。

Ⅰ- 5 知的財産の尊重

他者の知的財産を侵害しない。

具体的な取り組み
【必須】
  • 製品、サービスの開発・生産・販売・提供などをおこなう場合は、第三者の知的財産権の事前調査を行うこと。

補足:

  • 知的財産権とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、営業秘密等をいう。
  • 第三者の知的財産権の無断利用や、コンピュータソフトウェアその他の著作物の違法な複製、第三者の営業秘密を違法な手段で入手・使用することなどは、知的財産権の侵害にあたる。

Ⅰ- 6 適切な輸出入管理

関連法令を順守して、適切な輸出入管理体制の整備と輸出手続きを行う。

具体的な取り組み
【必須】
  • 法令に順じた適切な輸出入管理を行うため、関連する方針等の策定、リスクの把握、担当者への研修・教育の機会を提供すること。

補足:

  • 輸入については関税法を中心に保健衛生やその他の理由で製品ごとに国別に、許可・審査・検査が必要な場合が数多くある。
  • また輸出についても同様に輸出国、製品ごとに各種規制があり輸出入の管理には必要事項を順守することが求められる。

Ⅰ- 7 情報公開

法令等で公開を義務づけられているか否かを問わず、ステークホルダーに対して積極的な情報提供・開示を行う。

具体的な取り組み
【必須】
  • 顧客、株主、投資家、従業員、取引先、地域社会、行政、マスメディアなどに積極的かつ公正に企業情報の開示、対話の促進、企業の透明性向上に努めること。

Ⅰ- 8 反社会的勢力との関係根絶

市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは関係を持たない。

具体的な取り組み
【必須】
  • 反社会的勢力を利用して土地の買収や、事業を進めることは勿論、あらゆる関係を持たないこと。

補足:

  • いわゆる日本の「暴力団対策法」では、反社会的勢力に寄付・賛助などの行為をすることを禁止している。

Ⅰ- 9 不正行為の防止と早期発見

不正行為を予防するために活動を行い、また早期に発見し、対応するための制度を整える。

具体的な取り組み
【必須】
  • 社内や社外に不正行為に関する通報窓口を設置し、経営者が不正行為を早期に発見できるように努めること。
  • 通報者の秘密を守り、適切に保護することに努めること。
  • 不正行為には迅速に対処し、対応結果を適宜、通報者へフィードバックするよう努めること。

Ⅱ 人権の尊重

従業員の人権を尊重し、尊厳を持って接し、強制労働や児童労働のない、安全で快適な職場環境を確保する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 人権方針などを策定し、役員・従業員を含む関係者に対し、人権尊重に関する方針や考え方を明確に示し共有すること。
  • 人権リスクの把握を行うこと。以下に示す取り組み等を実施すること。
    • リスク把握の取り組み例:
      • 定期的な人権リスク評価や内部監査の実施
      • リスク把握・管理担当部署の設置
      • 労働組合等と連携したリスク把握
      • 外部専門家等からのサポートの利用
  • 役員や従業員に対し、人権課題、人権の尊重に関する国際的動向(補足を参照)等を理解するための研修・教育の機会を提供すること。

補足:

  • 事業活動のグローバル化にともなう労働・人権問題の増加は、企業のこの問題への取り組みを強化させる国際的なルール作りに繋がってきた。
  • 2008年国連での「企業と人権に関する報告書」の提出以降、国際社会における労働・人権問題は、2010年ISO26000(社会的責任に関する規格)の発効や2011年OECD多国籍企業行動ガイドラインの改訂など国際行動規範の中で重要なテーマとして組込まれ、強化されてきた。
  • さらに国連では、2011年「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択され、各国で国別行動計画の策定が進められていることから、全ての国と企業が尊重すべきグローバル基準となっている。

Ⅱ-1 強制的な労働の禁止

いかなる形態においても、強制された、または本人の意に反する労働を行わせない。 強制労働につながりかねない慣行に対し、移動の自由の確保、仕事を得る代償の要求禁止、仕事に対する借金や強要の禁止の原則に基づき行動する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 労働者の自由な離職の権利を確保すること。
  • 身分証明書・パスポート・労働許可証等の雇用者へ預託を禁止すること。
  • 労働者が事前に合意していない時間の労働は禁止すること。
  • 各国の法令もしくはILOの定めに従い、労働者に人材紹介手数料・関連する手数料を負担させないこと。
  • 雇用関係にある全ての労働者に対し、母国語/詳細を理解できる言語で作成された書面による契約書の締結を行うこと。
  • 外国人技能実習生・特定技能在留外国人を含む外国人労働者の、母国語/詳細を理解できる言語で労働安全衛生に関する研修・教育を実施すること。
【発展】
  • 外国人技能実習生・特定技能在留外国人を含む外国人労働者を対象とした(安全衛生以外の)、以下に示す内容等に関する研修・教育の機会を提供すること。
    • 研修・教育トピックの例:
      • 労働の権利と基準
      • 救済へのアクセス方法
      • 現地の法律
      • 現地の言語等

補足:

  • 強制的な労働とは、自らの意思によらない全ての労働のことである。
    • 強制的(あるいは強制的な労働)とは、例えば、次のようなものを指す。
      • 本人の意思に反して就労させる強制労働
      • 借金等の返済のために離職の自由が制限される債務労働
      • 人身売買の結果として行われる奴隷労働
      • 過酷な環境における非人道的な囚人労働
      • 自由な離職の権利の制限
      • 身分証明書・パスポート・労働許可証の雇用者への預託を義務付ける行為
      • 労働者が事前に合意していない労働時間の強要

※日本国内において外国人技能実習制度を活用する場合には『外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律』等の法令に従うこと。

Ⅱ- 2 児童労働の禁止

児童労働がもたらす弊害を理解し、就業の年齢に満たない児童を雇用しない。

具体的な取り組み
【必須】
  • 児童労働を禁止する法令・国際規範順守を徹底するため、関連する方針等の策定、リスクの把握、担当者への研修・教育の機会を提供すること。

補足:

  • ILO(国際労働機関)では、労働を禁止する最低年齢を「義務教育年齢及び、いかなる場合にも、15歳を下回らないもの」とし、「健康、安全、道徳を損なうおそれのある業務につかせることができる最低年齢は、18歳を下回らないもの」としている。児童労働とはこれらの年齢制限に抵触する労働を指す。
  • 危険な仕事から若年労働者を保護する法規制の例として、夜間労働や危険作業などの制限が挙げられる。海外においても、所在国の法令で定められた最低就業年齢に満たない者の雇用や保護義務違反は児童労働にあたる。また、法令の定めのない国では、ILOの最低年齢条約・勧告に反する行為は児童労働にあたる。(児童労働は、子どもたちの健全な成長を妨げる労働を指し、家や田畑での家族への手伝い、小遣い稼ぎのアルバイトなどは含まれない。)

Ⅱ- 3 差別の禁⽌

各国・地域の法令や文化を尊重し、人種、民族、国籍、宗教、信条、出身地、性別、年齢、障害の有無、性的指向・性自認などを理由に雇用機会、採用、昇進、報酬などの処遇で差別しない。

具体的な取り組み
【必須】
  • 採用・昇進・報酬などの処遇で、性別をはじめいかなる要素による差別も行わないこと。
  • 男女共に、育児(出産)休暇を取得しやすい制度・環境を整えること。
【発展】
  • 男女ともに、育児(出産)休暇を明けた労働者が休暇から復帰しやすい環境・制度を整えること。
  • 労働者の在籍状況、勤務状況の把握は、労働者の人権侵害リスクを把握するうえで重要である。関連するデータ・記録を取得すること(例:平均雇用年数、欠勤率、長期休暇からの復帰率等に関する各男女別のデータ)。

補足:

  • 差別とは、本人の能力・適性・成果などの合理的な要素以外により、採用・昇進・報酬・研修受講などの機会や処遇に差を設けることをいう。
  • 差別の要素としては、人種、民族、国籍、宗教、信条(政治的見解など)、出身地、性別、年齢、障害の有無、性的指向・性自認に加え、組合加入の有無、配偶者の有無などがある。また、健康診断や妊娠検査が機会均等または処遇における公平を損なう場合には差別的行為とみなされる。

Ⅱ- 4 非人道的扱い・ハラスメントの禁止

従業員の人権を尊重し、職場からセクシャルハラスメント、パワーハラスメント、各種ハラスメント、虐待、体罰、精神的強要、暴言などの非人道的扱いを撤廃する。

具体的な取り組み
【必須】
  • セクシャルハラスメント 、パワーハラスメント、各種ハラスメント、 虐待、体罰、精神的強要、暴言などの非人道的扱いの撤廃に向け、関連する方針等の策定、リスクの把握、研修・教育の機会を提供すること。

補足:

  • 非人道的扱いとは、虐待、体罰、セクシャルハラスメント(性的嫌がらせ)、 パワーハラスメント(暴言による嫌がらせや威圧的行為)などを指す。当事者にとって好ましくない、または客観的に見て好ましくないであろうと判断される一連の発言や行為も、嫌がらせとしてハラスメントに含まれる。

Ⅱ- 5 適切な賃金の支払い

最低賃金、超過勤務、法定給与を含む全ての賃金関連法を順守したうえで、従業員に対し給与の支払いを行う。

具体的な取り組み
【必須】
  • 労働関連法令等に違反する賃金減額などを行わないこと。
  • 労働者に対し、給与明細などの文書化された手段を用いて、給与(例:残業代、賞与、控除など)、 有給休暇、法定給付等を適切に伝えること。

補足:

  • 最低賃金とは、所在国における賃金関連法令で定められた最低の賃金をいう。本項目では、超過勤務手当や法定給付を含むその他の手当の支払いも含む。

Ⅱ- 6 労働時間の適正管理

法定限度を超えないよう、従業員の労働時間・休日・休暇を適切に管理する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 労働者が求めたとしても、また、会社の指示による労働かに関わらず、年間所定労働日数が法定限度を超えないよう管理を行うこと。
  • 超過勤務時間を含めた1週間あたりの労働時間(緊急・非常時を除く)が法定限度を超えないよう管理を行うこと。
  • 1週間に最低1日の休日、法令に定められた年次有給休暇の権利を与えること。

Ⅱ- 7 従業員の団結権の尊重

労働環境や賃金水準等の労使間協議を実現する手段として、労働組合の結成等、従業員の団結権を尊重する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 各国の法令、もしくはILOの定めに従い、労働組合結成の自由と団体交渉権を尊重すること。

補足:

  • 労働組合結成の自由と団体交渉権の尊重とは、報復・脅迫・嫌がらせを受けることなく、労働組合をつくる自由、労働組合に加入する自由、団体交渉を行う自由、抗議行動を行う自由、労働者評議会などに加わる自由などに配慮することを指す。

Ⅱ- 8 救済へのアクセスの確保

従業員に対し、アクセスが容易で、信頼できる公正な救済の仕組み(内部通報制度や苦情処理メカニズムを指す)を整備し、救済を受ける権利を提供する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 従業員が人権侵害に関連した苦情を申し立てることができる、アクセスしやすい通報・相談窓口(自社の通報・相談窓口や意見箱の設置、もしくは第三者機関が提供するホットライン等)を設置すること。
  • 通報者ならびに当事者のプライバシーが保護され、迅速に解決策を提供すること。

補足:

  • 人権侵害を受けた人が利用できる、通報・相談窓口の設置や相談対応の仕組み(苦情処理メカニズム)を設けることは、速やかな救済と迅速な問題解決を図る上で重要である。 
  • 自社で独立した仕組みを構築することが難しい場合には、官公庁や公的機関、第三者機関が提供している通報・相談窓口等を活用することも有効である。
  • 内部・外部問わず従業員に通報・相談窓口の存在を周知させることが重要である。

Ⅲ 労働における安全衛生

従業員及びそこで働く全ての人の労働安全、衛生環境を維持向上することにより、不慮の事故・災害を未然に予防する。

補足:

  • 安全衛生に関する法令は、発生した事故を教訓に作られているものが多く、同種の事故災害等の発生リスクを低減するために、それらの情報を把握し、従業員に周知することが重要である。

Ⅲ- 1 職場の安全確保

職場の安全に対するリスクを評価し、適切な設計や技術・管理手法をもって安全を確保する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 労働安全衛生に関する方針を整備すること。
  • 災害や事故を未然に防止するため事業における労働安全衛生上のリスクの把握・改善・管理をすること。リスク把握・改善・管理方法としては以下に示す取り組み等を実施すること。
    • リスク把握・改善・管理の取り組み例:
      • 定期的なリスクアセスメント(潜在危険の洗い出しと改善)の実施
      • 内部監査の実施
      • コンサルタントや専門家と協力した研修やサポート
      • 労働安全衛生に関する委員会の設置
  • 使用する機械・設備を定期的に検査し、適切に維持管理し、危険な箇所には安全装置の設置や防護具着用をさせること。
  • 設備の変更等条件の変化に応じて、適切な設計や技術・管理手段をもって安全を確保すること。
  • 使用する化学物質のリスクを把握し、そのリスクに応じた使用方法や緊急時の処置方法を定めること。
  • 従業員に加え、職場に出入りする入構者(訪問者、運送ドライバー、修理業者などの外部作業員等)の安全にも配慮すること。
  • 従業員に対して災害避難訓練並びに、労働安全衛生に関するトレーニングを提供すること。
  • 職場において重大な事故や負傷者が発生した場合には、正確に状況を把握し、適切に対応すること。
【発展】
  • 労働安全衛生の管理者に加え、労働安全衛生を担当する専任スタッフを配置すること。
  • 職場における軽微な事故や負傷者が発生した場合にも、正確に状況を把握し、適切に対応すること。

Ⅲ- 2 施設・職場環境の管理

従業員一人一人が安全で健康的に働くことのできる環境づくりを行う。

具体的な取り組み
【必須】
  • 身体的に負荷がかかる作業や有害物質を取り扱う作業に従事する者には特別の配慮を行うこと。
【発展】
  • 従業員の年齢の違いや背の高さ等、働く人の特性(年齢や背の高さに加え、出産直後または妊娠中の母親や障害を持つ者等)に合わせた配慮を行い、事故災害をなくすことに努め、快適な職場環境づくりを行うこと。

補足:

  • 身体に負荷がかかる作業・特別な配慮とは次のような内容を指す
    • 重量物の取り扱い(特別な配慮の例:男女別の最大重量を定める)
    • 高温・低温環境下での長時間作業(特別な配慮の例:防寒着の用意と着用指示)
    • 粉塵作業(特別な配慮の例:適切な保護具の用意と着用指示) など
  • 有害物質の取り扱い作業・特別な配慮とは次のような内容を指す
    • 健康に影響を及ぼすおそれのある物質(特別な配慮の例:化学物質のリスクに応じた、代替え措置、作業環境の整備、健康管理、保護具の用意と着用指示、緊急時の措置、盗難防止管理、漏洩防止)
    • 火災爆発のおそれのある物質(特別な配慮の例:化学物質のリスクに応じた、代替え措置、火災爆発予防措置、健康管理、作業環境の整備、保護具の用意と着用指示、緊急時の措置、盗難防止管理、漏洩防止)

Ⅲ- 3 職場・施設の衛生の確保

会社内のトイレや休憩室を整備するとともに、職場における人的に有害な生物や化学物質および騒音や悪臭に接する状況を把握し、適切な対策を講じる。同様の基準は、会社が用意する労働者の居住スペースにも適用される。

具体的な取り組み
【必須】
  • 全ての従業員が使用できる十分な数の清潔なトイレを備え、飲料水や食事へのアクセス、休憩場所を確保すること。
  • 職場では適切な換気や空調を行い、衛生的な環境を維持すること。
  • 職場で扱っている有害生物や化学物質、騒音、悪臭に対し、従業員に加えて、周辺住民や環境への影響も考えた対策を講じること。
  • 社員寮など、業務外で従業員が利用する施設を所有している場合、労働者の住居施設の安全性を保障するため、施設の訪問等を通じて、安全性の調査確認を行うこと。
【発展】
  • 社員寮など、業務外で従業員が利用する施設を所有している場合、
    • 住居施設に関する方針を整備すること。
    • 住居施設管理の担当者を配置すること。
    • 住居施設に関して申し立てができるホットラインを設置すること。

Ⅳ 製品・サービスの品質、安全性の確保

製品・サービスが各国の法令等で定める安全基準を満足するとともに、品質管理を徹底する。あわせて、製品の安定供給に向けては、不測の事態が発生しても中核的な業務を速やかに復旧させるための事業継続計画に取り組む。

補足:

  • お客様のニーズを把握し、社会的に有用で安全な製品を安定的に提供していくことは、企業にとって最も重要な使命の一つであり、お取引先の皆様と共に達成していかなくてはならない。
  • それらを保証するためには、品質マネジメントシステムを始めとして各種システムを構築・運用し、継続的に改善していくことが求められる。

Ⅳ- 1 品質マネジメントの運用

品質マネジメントシステムを構築し、運用する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 製品またはサービスの品質を維持する上で、以下の内容を整理し、品質マネジメントシステムを構築すること。
    • 組織体制
    • 計画的活動
    • 責任分担
    • 慣行
    • 手順
    • プロセス
    • 経営資源
  • 製品またはサービスの品質方針・施策を作成すること。
  • 上記システムを運用し、品質方針・施策の達成状況を把握した上で、改善・維持を図ること。

補足:

  • 品質マネジメントシステムとは、品質保証活動を推進するための全般的な管理の仕組みをいい、組織体制・計画的活動・責任分担・慣行・手順・プロセス・経営資源を含んだものを指す。
  • ここで品質保証活動とは、品質方針を作成し、その方針に従った施策を実施し、達成し、見直し、かつ維持することをいい、品質保証に対して、いわゆるPDCA サイクルを回しながら継続的改善を行うことを意味している。代表的な品質マネジメントシステムとしては、ISO9000ファミリーなどがある。

    ※ISO:International Organization for Standardization(国際標準化機構)

Ⅳ- 2 製品・サービスに関する正確な情報の提供

お客様に対して、製品・サービスに関する正確な情報を提供する。

具体的な取り組み
【必須】
  • お客様に対し、特に次のような事項に関し、正確な情報を提供すること。
    • 製品やサービスに関する仕様・品質・取り扱い方法
    • 製品に使用されている原材料・包装材料に含まれる物質等
  • 製品やサービスに関するカタログ等の表示および広告宣伝において、以下に留意すること。
    • 事実と異なる表現や、消費者や顧客に内容を誤認させる表現を行わないこと。
    • 他の企業や個人の誹謗中傷、権利侵害等の内容を含まないこと。

Ⅳ- 3 製品安全性の確保

製品・原材料が各国の法令等で定める安全性の基準を満足するとともに、取引先の要求水準を満足している。

具体的な取り組み
【必須】
  • 製品・原材料が各国の法令等で定める安全性の基準を満たすこと。
  • 取引先との品質保証等の契約で交わされた製品安全性に関する要求事項を満たすこと。
  • 自社設計・開発製品の場合は、設計・開発段階で、十分な製品安全性を確保すること。
  • 製造に際しては、決められた原材料を使用し、適切な製造により製品安全性を確保すること。

補足:

  • 例えば、食品では、対応する米国等主要外国又はEU の法規、あるいは安全性評価報告があるものについては、その内容を参考に適切に対応する。
  • また、製品に対応するFAO/WHO勧告の安全性評価報告・食品規格又は食品添加物規格があるものについては、それらを参考に適切に対応する。

    ※FAOとは、国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)の略称。WHOとは、世界保健機関(World Health Organization) の略称。

Ⅳ- 4 製品の安定供給

製品の安定供給を果たすために不測の事態が発生しても中核的な業務を速やかに復旧するための事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)を整備する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 自然災害や大規模事故、パンデミック等の緊急事態が発生した場合の事業継続レベルを設定すること。
  • 上記事業継続レベルを満たす緊急時の業務マニュアルを整備し、従業員に対して訓練を行うこと。

補足:

  • BCPとは、大規模地震・水害等の自然災害、工場における大規模爆発・火災等の事故、パンデミック等の緊急事態が発生した場合に備えて、従業員他の安全のみならず事業を継続するための計画をいう。
  • 目標とする事業継続レベルを設定し、危機発生時の業務マニュアルの整備や訓練を行ない、優先すべき中核的な業務を継続する。

Ⅴ 地球環境への配慮

味の素グループの事業は、健全なフードシステム、つまり安定した食資源と、それを支える豊かな地球環境の上に成り立っている。

持続的な地球環境の構築にはサプライヤーの皆様の協力が不可欠であり、引き続き連携・協働を強化しながら、サプライヤーの皆様と共に持続可能な地球環境の構築を目指す。

Ⅴ- 1 気候変動

味の素グループでは、2050年に温室効果ガス排出量のネットゼロ化達成に向けてサプライチェーン/バリューチェーン全体における温室効果ガスの排出量削減を進めている。

サプライヤー様におかれても、温室効果ガスの排出量削減などの自主目標を設定し、温室効果ガスの排出量削減に取り組むことを期待する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 定量的な自主目標を設定し、温室効果ガスの排出量削減を図ること。
【発展】
  • 味の素グループはScience Based Targets イニシアチブ(SBTi)から認定取得を受けたGHG排出削目標を掲げて取り組んでいる。サプライヤー様におかれても、Science Based Targets イニシアチブ の内容、意義を理解し、目標設定に活用すること。

補足:

温室効果ガスの排出量削減など、環境へのマイナス影響を最小化する取り組みは、事業活動の効率化につながる。定量的な自主目標を設定し、積極的に効率化を図ることが求められており、特に、地球規模で資源・環境にかかわるテーマは、自社範囲を超えて、サプライチェーン/バリューチェーン全体を対象にした製品・事業活動のライフサイクル視点での取り組みが推奨される。

たとえば、温室効果ガス排出量のSCOPE3レベルでの把握や、カーボンフットプリントの算出などはこれらの事例である。

※SCOPE3:サプライチェーン/バリューチェーンにおける温室効果ガス排出量のうち、SCOPE1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出)およびSCOPE2(自社において他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)以外の部分を指し、具体的には原料の製造や輸送、製品の使用や廃棄、従業員の出張や通勤等に伴う排出を指す。

Ⅴ- 2 生物多様性

味の素グループはサプライチェーン/バリューチェーン全体において事業活動や原材料調達等を行う地域における生態系・生物多様性保全に関する状況を把握し、必要な改善に向けて取り組みを進めている。

サプライヤー様におかれても、関係者との協働を通じて生物多様性の保全に取り組むことを期待する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 原生林・二次林に対する森林破壊および保護地域や泥炭地の開発を行わないこと。
【発展】
  •  工場や農地を新規開拓する際は、自然生態系や生物多様性の損失の回避または、軽減のための最善策を講じること。

補足:

工場や農場の開発の際に、土地の利用や改変のために貴重な生態系や生物多様性を破壊し、あるいは、その地域で生活する人々の権利や生活を脅かしてしまうことがある。このような開発は、地域住民やNGO、政府等のステークホルダーからの強い非難の対象となり、企業イメージの低下を招くだけでなく、事業の停止に追い込まれる可能性がある。

Ⅴ- 3 プラスチック廃棄物

味の素グループでは、廃棄されるプラスチック(単純燃焼、埋め立て、環境への流出)を減らすためにプラスチックの使用量を製品の安全性や品質に必要な最小限とし、また使用するプラスチックはすべてリサイクルに適した素材へ転換を進めている。一方で回収・分別・リサイクルに向けた各国・地域の取り組みを支援している。

サプライヤー様におかれても、プラスチック廃棄物の削減に取り組むことを期待する。

具体的な取り組み
【必須】
  • プラスチックの使用量の削減に努めること。
【発展】
  • ゴミとして廃棄されるプラスチックを減らすため、プラスチックの回収・分別・リサイクルに貢献すること。
  • プラスチックを使用するサプライヤー様については、リサイクルに適した包材に転換すること。

補足:

石油由来の人工物であるプラスチックは、廃棄されてもそのままの形でいつまでも残り続けることが知られている。きちんと処理されずに捨てられたプラスチックは、土や海底に溜まり、生態系や自然環境に大きな影響を与え続けるといわれている。

Ⅴ- 4 フードロス(食品廃棄)

味の素グループでは製品 ライフサイクル全体で発生するフードロスを半減するという長期ビジョンを掲げ、取り組みを進めている。サプライヤー様におかれてもフードロス削減に取り組むことを期待する。

具体的な取り組み
【必須】
  • フードロスが発生するサプライヤー様については、削減に努めること。

補足:

農業による生産から家庭での消費に至るフードサプライチェーンの全体で食料の損失や廃棄が起きているといわれている。食資源は限られている一方で、今後世界人口の増加や食品の需要増が見込まれており、フードロスの低減が求められている。

Ⅴ- 5 水

味の素グループでは、水資源の保全のため、水利用の効率化・改善および水質悪化の防止を進めている。

サプライヤー様におかれても、水利用の効率化・改善に取り組むことを期待する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 水利用の効率化・改善に努めること。
【発展】
  • 水資源の保護に努めること。
  • 必要に応じて地域社会等のステークホルダーと水利用の効率化・改善および水質悪化の防止に向けて緊密なコミュニケーションを取ること。

補足:

世界の人口増加に伴い水の需要増が見込まれる一方で、地球上の淡水は偏在しているという課題がある。水資源の枯渇は、生産に使用する水そのものだけでなく、原材料の調達にも影響を及ぼす。また、渇水や洪水、水質悪化が起これば、生産の停滞を招きかねない。

Ⅴ- 6 環境マネジメント

地球環境への配慮のため法令を遵守し、環境マネジメントシステムを構築、運用し、事業活動が環境に与えるマイナスの影響を小さくするよう継続的な改善に取り組むことを期待する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 適用される国、地域の法令・ルール等を遵守すること。

補足:

近年、環境や人権に関わる様々な法規制や政策が各国で制定・導入されており、企業は、遵守義務のある法令、条例等を把握し遵守する必要がある。特に、法令で指定された化学物質が適切に管理、使用されない場合、人々の健康や生態系に悪影響を及ぼすリスクが大きいことから、適切に管理する必要がある。

【発展】
  • 環境マネジメントシステム(EMS)を構築すること。作成に際しては、以下認証等を参照する。
    • ISO14000
    • 各国で社会的に広く普及した様々なEMS
    • ISO26000
  • 上記システムを運用し、工場や生産といった領域だけでなく、サプライチェーンやバリューチェーンを含む事業活動全体を対象に評価を行い、改善・維持に努めること。

補足:

環境への取り組みを行うに当たって、環境マネジメントシステム(EMS)の構築はその基本となる。

運用においては、環境・サステナビリティ問題が企業経営全体にかかわることから、工場や生産といった領域に限定せず事業活動全体を対象とし、また、サプライチェーン/バリューチェーンを取り組みの対象範囲に含める。

※ISO26000:社会的責任の手引を提供する国際規格(認証規格ではない)

Ⅴ- 7 情報開示

環境に関する情報開示要請にご協力いただき、味の素グループと連携、協働しながら積極的に適時適切な開示を行うことを期待する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 環境に関する情報開示要請に対し適時適切な開示を行うこと。
【発展】
  • 自主的な環境コミュニケーション活動を行い、ステークホルダーとの積極的なコミュニケーションに努めること。
  • 可能であれば、国内および国際的な調達要件に関連するデューデリジェンスのポリシーとプロセスを整備し、適用される法律や規制の要求に応じてデューデリジェンスを行うこと。
  • 必要なデータは、関連する環境保護、およびサプライチェーンの報告および開示要件、デューデリジェンス法に準拠するために、そのデータを(報告または要件で匿名が許可されている場合、匿名ベースで)使用できるように努めること。

補足:

環境に関する情報開示など適切なコミュニケーション活動は、事業活動の透明性を高め、社会の信頼を得るための基盤となる。

Ⅵ 情報セキュリティ

コンピュータ・ネットワーク上の脅威に対する防御策を講じて、自社および他社に被害を与えないように管理し、顧客・第三者・従業員の個人情報、受領した機密情報を適切に管理・保護する。

補足:

  • 今日、日々の業務の中で、情報システムが広く活用される一方で、その便利さやスピードが逆にシステムトラブルの大規模化や情報漏洩事件などのリスクの増大を招いている。
  • 情報システムを通じて質の高いサービスを享受するためのルールをお互いに順守出来なければ、業務損失を被るだけではなく、場合によっては法律違反を招きお互いの社会的信用を棄損させかねないため、情報セキュリティに関する活動が重要となる。

Ⅵ- 1 コンピュータ・ネットワーク脅威に対する防御

コンピュータ・ネットワーク上の脅威に対する防御策を講じて、自社および他社に被害を与えないように管理する。

具体的な取り組み
【必須】
  • コンピュータウィルスの感染やサイバー攻撃等、コンピュータ・ネットワーク上の脅威に対する防御策を講じること。
  • 当社の取引等に使用するシステムにおいて、ユーザIDに紐づくパスワードは堅牢なものを使用し、管理を徹底すること。

補足:

  • コンピュータウィルスに感染した場合、ネットワークを通じてコンピュータに保存されている顧客情報や機密情報が失われたり、外部に流出する恐れがある。
  • ユーザIDと、そのパスワード管理が徹底されていないとコンピュータへの不正アクセスによるデータ流出や改竄の恐れがあり、サイバー攻撃の標的となれば業務停滞の損失を被る可能性がある。
  • 当社の取引等に使用するシステムにおいて、ログインユーザ認証には多要素認証の導入が望ましい。

Ⅵ- 2 個人情報の適切な管理

顧客・第三者・従業員の個人情報を適切に管理・保護する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 個人情報・プライバシーに関わる各国の考え方を十分に調査し、それに従い適切な顧客・第三者・従業員の個人情報管理を行うこと。
  • 各国の法令に則ったルール(例:プライバシーポリシー等)を構築し、個人情報漏洩の原因となる次のような事象の防止するための人的・物理的観点等からの安全管理措置を講じること。

    【個人情報漏洩原因の例】

    • 従業員または業務委託先による意図的な情報の持ち出しおよび過失による情報漏洩
    • 個人情報の保護に関する法令や情報システムに対する知識不足による人的ミス
    • 第三者による不正アクセス

補足:

  • 「個人情報」については、取扱いに不備があるとその個人を巻き込んだ事故につながる可能性がある。個人情報・プライバシーに関わる考え方には各国によって違いがあるが、これらを充分に調査してそれに従った運用が出来ていることが必要である。しかし、今日においても、依然として世間における情報漏洩事件が多発している。

    ※ 日本では、2005 年4 月から「個人情報保護に関する法律」が民間企業にも適用された。個人情報を保有する企業は、その利用目的を明確化し、利用目的を本人通知または公表するとともに、適切な安全管理措置を講じる上で個人情報を取り扱うことが義務付けられている。日々、我々が利活用している個人情報についても、個人情報の保護に関する法令に従い、利活用のための一定のルールを作り、適正に管理することが求められる。

Ⅵ- 3 顧客・第三者の機密情報の漏えい防止

顧客・第三者から受領した機密情報を適切に管理・保護する。

具体的な取り組み
【必須】
  • 取引先の企業から機密保持契約を締結(機密である旨を互いに合意)して開示を受けた情報については、契約の中で定められた情報の取扱い方法を順守し、適切に管理・保護すること。
  • 第三者から得た情報を当社との取引に使う場合は、適切な手続きを経た上で、必ずその旨を報告すること。

補足:

  • 機密保持契約においては、コピーが制限されていたり、開示対象者が限定されたりと種々の制限が課せられている。契約に違反して、秘密を漏洩させた、または目的外に流用したとみなされた場合、莫大な損害賠償の請求を受けるなど、大きなトラブルに発展することがある。

Ⅶ 社会への貢献と地域との共生

国際社会・地域社会の発展に貢献できる活動を自主的に行う。

具体的な取り組み
【必須】
  • 自社の業務に関わるコミュニティーに対し、実施可能な範囲で積極的な支援活動を行うこと。支援活動には以下のもの等が含まれる。
    • 事業活動における技術などを活用した社会貢献
    • 施設や人材などを活用した非金銭的な社会貢献
    • 金銭的寄付による社会貢献

補足:

  • ISO26000 においては、「ステークホルダーエンゲージメント」という言葉が示す通り、自分たちとそれに関わる全てのコミュニティーとの関係構築は重要なテーマの一つである。どの組織や個人も社会との関係なくして存在できず、そのコミュニティーへの積極的な参画とそのコミュニティー自体の発展によって自分たちの「持続的な発展」も可能になる。
  • 具体的には災害時における地域との連携、従業員、ボランティア、NPO/NGO などの活動支援、寄付活動、各種情報発信・紹介などの例が挙げられる。各企業が実施可能な活動範囲を決めて、積極的な社会貢献に取り組むことが求められている。