味の素グループ 生物多様性ガイドライン

味の素グループ
改定日:2025年4月

1. はじめに

味の素グループは130を超える国・地域で製品を展開しており、原材料の調達から製造、販売に至る事業活動全体において、農、畜、水産資源や遺伝子資源、水や土壌、昆虫等による花粉媒介などのさまざまな自然の恵み、つまり様々な種や生態系サービスに大きく依存しています。また、これら自然の恵みは、多様な生物とそれらのつながりによって形作られる健やかな生物多様性によって提供されています。

しかし、生物多様性は現在、過去に類を見ない速度で失われており、生物多様性の保全が世界的に喫緊の課題となっています。

味の素グループは事業を継続させながら生物多様性への影響を低減し、そして地球環境を守っていくことの重要性を認識しています。そこで、味の素グループポリシーに記載している事項に加えて生物多様性に関する事項を定めた本ガイドラインを制定しました。

2. 取り組みの考え方

生物多様性に関する問題と気候変動、水資源の減少、資源廃棄物、水質・大気・土壌汚染などの環境問題は相互に密接にかかわり合っており、分けて考えることはできません。この相互の関係性を考慮し、生物多様性の保全や生物資源の持続可能な利用と大気、水および土壌の汚染に関する悪影響の緩和、温室効果ガスの排出抑制や資源の有効活用、廃棄物の削減などの他の環境負荷低減の取り組みとが相互に効果的となるように進めます。

また、先住民族と地域コミュニティ (Indigenous people and local community: IPLC) や女性や若年層の権利、及び社会正義と平等などの社会的側面にも配慮します。

生物多様性の保全においては、アセスメントを通じて生物多様性の損失をもたらす要因である、気候変動や環境汚染、土地利用の変化などのインパクトドライバーを特定し、事業を通じてマイナスの影響および社会影響を削減しプラスの環境および社会影響を強化できるような行動体系を構築する必要があると考えています。

2022年に生物多様性条約第15回締約国会議(COP-15)において採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組※1を支持し、その達成に貢献することを目指します。

3. 取り組みの内容

味の素グループは、生物多様性に関連したリスクと機会の把握、および生物多様性の損失の回避と軽減および復元や再生に関して以下の事項に取り組みます。対応状況は公表し、透明性の確保に努めます。

  1. 原材料のトレーサビリティ確保の取り組みを推進し、バリューチェーンにおける生物多様性への依存と影響を把握します。

  2. 森林破壊ゼロを含め、生物多様性に配慮して生産された原材料の使用を推進するとともに、生物多様性の観点で重要である地域に対して、バリューチェーンを含む自社の事業がそれに悪影響を及ぼさないようにします。

  3. 健康や環境に悪影響を及ぼす可能性のある物質を使用しない、または使用を最小限に抑える取り組みを推進します。

  4. 天然水産資源等の資源量調査や資源管理に貢献するとともに、持続可能な海洋資源の利用に取り組みます。

  5. 侵略的外来種問題を認識し、原材料や商品の輸送における不用意な生物の移動に伴って各地の生物多様性を撹乱しないように、輸送方法の選択に配慮します。

  6. 地域における水資源の循環に配慮した取水と排水、水の利用を行い、水ストレスが高い地域ではリスクの低減に貢献します。

  7. 土壌汚染が人々の健康に害を及ぼさないレベルまで低減され、土壌が健全に保護される農業の支援に貢献します。

  8. 資源採取、製造、流通、使用、廃棄までの上下流すべてのバリューチェーンを対象に、環境と社会に貢献する商品・サービスや技術・システムの開発を通じて生物多様性の損失の回避および軽減ならびに復元および再生を目指します。

  9. 周囲の生物多様性に配慮した事業所設計や管理を進めます。

  10. 生物多様性に関する国際的な規則や取り決めを遵守します。 これにはワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、CITES)で指定された種の取り引きを行なわないことも含まれます。

  11. 社内外のステークホルダーとの対話を行ない、バリューチェーン全体での生物多様性の取り組みを進めます。

4. 目標

上に示した取り組みを進めることで、事業活動が生物多様性に与える影響を減らし生物多様性の復元や再生にも寄与することで、事業活動の影響のネットポジティブ化※2を目指します。