味の素グループ コーヒーの調達ガイドライン

味の素グループ
制定日:2023年4月

私たち味の素グループは130を超える国・地域で製品を展開しており、さらに多くの国や地域から原材料の調達を行っています。私たちの事業は強靭なフードシステム、すなわち豊かな地球環境と健全で活力のある社会に支えられた安定した食資源の上に成り立っています。一方で原材料の生産から加工までのすべての工程で温室効果ガスが排出され、プラスチック廃棄物やフードロスも発生するなど、環境や社会に対するリスクがあります。森林破壊や泥炭地の開発、水資源や土壌の汚染が進むと、生態系が損なわれると共に食資源の維持も困難となるため、早急な対応が必要です。また、動物由来の原材料を使用することから、アニマルウェルフェアの向上も欠かせません。さらに、サプライチェーンに関わる全ての人々の人権が侵害されることなく、そこで働く人々の労働安全衛生が守られることが、健全で活力のある社会には必要不可欠です。私たちは調達におけるこれらの課題に対し、サプライチェーンに関わるステークホルダーの皆様と共に改善を図り、環境・社会にポジティブな影響を与えるサプライチェーンの構築に取り組み、強靭で持続可能なフードシステムと地球環境の再生に貢献していきます。

1. はじめに

コーヒーは味の素グループの事業活動を支える重要な原料の一つであり、世界では生産量および消費量が増加し原材料としての重要性はますます高まっています。サプライチェーンのリスクアセスメントの結果、気候変動、水・土壌、生物多様性、人権が重要であると認識しました。私たちは安定的なコーヒーの調達、製品供給の社会的責任を果たすために、ステークホルダーの皆様と共に取り組み、持続可能なコーヒーのサプライチェーンの構築を目指します。さらには、生産者支援等を通じて環境や社会にポジティブな影響を与える取組みを実施していきます。そこで、サプライヤー取引に関するグループポリシーガイドラインに記載している事項に加えてコーヒー生豆の調達に関する事項を定めた本ガイドラインを制定しました。

2. 対象

このガイドラインは味の素グループが調達するコーヒー生豆を対象とします。今後、対象はインスタントコーヒー等に拡大する可能性があります。また、味の素グループが購入、取引、加工、販売するコーヒー生豆を取り扱う全てのサプライヤーに適用されます。

3. 調達方針

味の素グループはコーヒー生豆の調達におけるリスクおよび国際的な要求およびNDPE原則(No Deforestation, No Peat, No Exploitation)を勘案し、以下の基準に従って生産された原料の調達を目指します。

  1. 原生林の伐採および保護地域や泥炭地の開発を行わない。

  2. 在来植物と野生生物の生息地を新規開拓しない。

  3. 農薬はその地域で使用が許可されているものだけを使用し、削減のための手段を講じている。

  4. 効率的な水利用による水資源の保護および土壌の質の維持改善を行っている。

  5. 適切な廃棄物の処理および削減とリサイクルのための手段を講じている。

  6. 温室効果ガス排出量を削減するための最良の管理手法を考慮している。

  7. 先住民、地域住民の土地や住居等の権利を侵害しない。

  8. 強制的な労働、児童労働に関与しない。

4. 味の素グループの行動指針

味の素グループは、持続可能なコーヒーのサプライチェーン構築を目指し、現在当社が購入しているコーヒー生豆に関して次の事項に取り組みます。対応状況は公表し、透明性の確保に努めます。

  1. 取組内容
    ・トレーサビリティ※1の確保
    ・サプライヤーなどのステークホルダーとの直接対話を通じたリスクの抽出及び課題対策の実施
    ・味の素グループポリシーを満たす認証品購買の推進
    ・持続可能なコーヒー生産に向けた生産者支援

  2. 2030年のKPI
    第一次集荷場所※2(非常に困難な地域では郡や村などの栽培エリア単位まで)のトレーサビリティ確保または味の素グループポリシーを満たす認証品の購買100%(4C認証※3およびレインフォレスト・アライアンス認証※4など)

5. 見直し

このガイドラインは定期的に内容の見直しを行います。

※1 原料のサプライチェーンを理解し、環境や人権での問題発生時に発生場所まで遡れる状態であることをもってトレーサビリティが確保されているとみなす

※2 第一次集荷場所は、生産地域の複数の農家から最初に搬入される場所を示す

※3 4C:
https://www.4c-services.org/

※4 レインフォレスト・アライアンス:
https://www.rainforest-alliance.org/