開発コク味物質「グルタミルバリルグリシン」の技術開発

味の素グループでは、よりおいしく、高品質な製品をお客様にお届けするために、独自の基盤研究を積み重ねています。味覚とアミノ酸の研究により、食品の“おいしさ”を高めるペプチド(※)「グルタミルバリルグリシン」を発見し、工業化に成功しました。

※ペプチドとは複数のアミノ酸が鎖状に結びついてできたアミノ酸化合物の総称

長年の研究で“おいしさ”と「コク」を追求

日常生活の中で、味を表現する際によく使われる「コク」とは何でしょうか。
農林水産省 平成23年度 日本食文化テキスト「和食;日本人の伝統的な食文化」では、「コク」について曖昧ではあるものの、おおよそのニュアンスを国民が共有しており、“「コク」がある”は料理の褒め言葉と述べられています。また、「コク」について、口の中において多くの成分が複雑に絡み合う時間的および空間的な広がりを特徴とする味、香り、食感すべてが関係すると考えています。ただし、過度では品位が低下するので、日本の料理はその塩梅が重要である、としています。つまり、おいしいと感じさせる「コク」の強さには範囲があり、その範囲に入る場合“「コク」がある”と人は判断するのかもしれません。
味の素社では、長年にわたり、食品の品質向上を目指し「コク」に関する研究を「味」中心に取り組み、「コク」を増強する物質(「コク味」物質)を突き止めました。本物質は、それ自体は味を持っていませんが、食品に少量加えることで、明確に“「コク」がある”品質へ変化させます。

長年の研究で“おいしさ”と「コク」を追求

独自の「コク味」物質「グルタミルバリルグリシン」

味の素社が突き止めた「コク味」物質「グルタミルバリルグリシン」は、グルタミン酸、バリン、グリシンの3つのアミノ酸が結合したトリペプチドと呼ばれる化合物で、帆立貝や魚醤などに含まれている物質です。2014年8月に厚生労働省の食品添加物認可を取得しました。
「グルタミルバリルグリシン」そのものは無味ながら、調理過程で熱を加えたときに糖分や油分を結びつけるはたらきがあり、様々な味や匂いの要素を結びつかせて「コク」を生み出すとされています。
少量を加えることで、肉使用製品、乳製品、油脂使用食品の「コク」を向上させ、これら製品の品質改善につながるため、非常に有用な物質です。また、健康志向に対応する減脂肪食品などの“おいしさ”向上に有効とも分かっています。

独自の「コク味」物質「グルタミルバリルグリシン」

独自の「コク味」物質「グルタミルバリルグリシン」

製品への活用

「コク味」物質「グルタミルバリルグリシン」は、味の素グループの製品では、「お肉やわらかの素」、「丸鶏がらスープ」、「味の素KKコンソメ」 顆粒、味の素冷凍食品KK「ザ・チャーハン」等に使われています。
また、「コク味」には油脂感を補う機能があることがわかりつつあり、脂肪分を50%カットしたクリーミングパウダー「マリーム®」低脂肪タイプ等を開発・販売しています。

味の素グループでは、お客様によりおいしい製品をお届けできるよう、今後も研究を進めていきます。

「コク味」物質「グルタミルバリルグリシン」
を使用している製品例

製品への活用