
- [ 2023.10.1 ]
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Part 3:【ワークショップ】
味の素社のコーポレートシェフから教わる
大豆ミートをおいしく調理する秘訣とは
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- 日直:つくりおき食堂まりえさん

うま味による「おいしさデザイン」をテーマに日米の“おいしい減塩”を学び合うイベント。第1〜2回目のレポートでは、味の素株式会社食品研究所エグゼクティブスペシャリストの川﨑寛也さんと、味の素ヘルス・アンド・ニュートリション・ノースアメリカ社のコーポレートシェフ、そして私たちLOW SALT CLUB~うま味DE減塩部(以下LOW SALT CLUB)のメンバーが考える「おいしさデザイン」についてお届けしました。
シリーズ最終回の今回は、サステナブルフードとして注目されている「大豆ミート」の減塩レシピをコーポレートシェフから実際に調理をしながら教えていただいた様子をレポートします。
大豆ミートは動物性の肉に味や食感を近づけた「代替肉」として、浸透しつつありますよね。健康や社会問題、エシカル消費への意識が高いZ世代からも関心を集めているそうです。
とはいえ、ヴィーガン食は肉に比べると風味に欠け、またうま味も弱いので、塩分量が多くなってしまいがち。それに、大豆ミートをどうやったらおいしく調理できるのかがイメージしづらいので、そこにも難しさを感じる方が多いと思います。
私(まりえ)も、大豆ミートを使った料理には、まだ挑戦したことがありませんでした。うま味調味料を使ってどんな減塩レシピが完成するのか、期待を胸にLOW SALT CLUBの部員の皆さんと調理テクニックを学びました!
- <このセッションのポイント>
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・大豆ミートを使っておいしく作る料理のコツ
・大豆ミートをおいしく調理するポイントを活かした3つのメニューを実演
・ヴィーガン料理やローソルト料理も工夫次第!おいしさのデザインが可能性を広げる
大豆ミートを使っておいしく作る料理のコツ
はじめに、味の素グループのコーポレートシェフのクリストファー・ケッキさん(以下、クリスさん)に、大豆ミートの魅力とおいしく調理するポイントを教えてもらいました!

まず、大豆ミートを使う主なメリットは3つ!
・一般的なお肉と比べて低カロリーかつ低脂肪
・保存しやすい
・サステナブルである
食物繊維を多く含み、低カロリー、低脂質の食材である大豆ミートは、健康のために脂質を抑えたい人にとっては特に、お肉の代わりに使える魅力的な食材なんです。
また、サステナブルフードなので、地球環境にも配慮できるのが嬉しいですよね!
とはいえ、大豆ミートを使ったおいしいレシピを作るには、どうすればいいのでしょう?
クリスさんが教えてくれたポイントは2つ。
1つ目は、うま味をしっかり吸い込ませること!
そのために、乾燥した大豆ミートを戻すとき、うま味のある「野菜ストック(野菜を水で煮込んでつくる風味豊かな西洋料理の出汁)」に漬けているそうです。
ただし、野菜ストックは浸透しづらいので、なるべくうま味たっぷりで風味とコクのあるものにするのがポイントとのこと。そのため、クリスさんは、昆布で煮た野菜ストックに少しの塩と「味の素®」を加えていました。(この技はぜひ真似したい!)
こうすることで、大豆ミートに野菜ストックの味がしっかりとつくので、通常は大豆ミートを使った料理をおいしく食べるために味付けが濃くなりがちなところ、動物性の肉を使ったレシピと同じ味付け(同じ分量の調味料で味付け)でも味が決まるのだとか。

ポイントの2つ目は、「味の素®」を使いながら、いろいろなうま味を重ねること!うま味があるので、減塩してもおいしいレシピになるそうです。
この2つのポイントをおさえて、大豆ミートを使ったレシピを作ってもらいました!
大豆ミートをおいしく調理するポイントを活かした3つのメニューを実演
●スパイスの香りが引き立つ「トリニダードカレー」
1品目に登場したのは、トリニダードカレー。カリブ海にある島国の“トリニダード・トバゴ”に伝わる伝統料理です。いろいろな調味料やスパイスを使っているので、カレーの味がとても強いんだとか。
味の素グループのコーポレートシェフ、アーロン・アンドリュースさん(以下、アーロンさん)にとっては、子どものときから食べていた思い出の味。「ひよこ豆の粉でできた薄いパンと一緒に食べるんです」とアーロンさん。

このレシピに使うカレー粉に入っているのはスパイスのみで、塩は入っていないそうです。
味の素株式会社の川﨑寛也さんによれば、トリニダード・トバゴ料理には、スパイシーな香りで辛味のない「ターメリック」がたくさん使われているそう。だから、日本のカレーよりも辛さは抑えられています。
スパイスたっぷりのカレーパウダーは、ほかの液体を入れる前に炒めることがポイントです。第2回目のレポートでもお伝えしたとおり、香りの成分は油に溶けるので、カレーパウダーを先に炒めることで、スパイスの香りがより引き立ち、とてもいい香りがします。

次に、油をひいた強火のフライパンで、野菜ストックで戻した大豆ミートを炒めていきます。

最後に、味を整えていきますが、「味の素®」も入っているので、塩をたくさん入れなくても味が決まるんです!」とアーロンさん。米国では、このカレーのように、スパイスのきいた本格的でパンチのある味がZ世代から求められているそう。
好みの味をしっかりと楽しめる大豆ミート+減塩レシピなので、おいしく食べて健康も気づかえるのは嬉しいですね♪

●「ベイクドペネー」で使うのは、うま味を重ねた大豆ミート!
2品目はベイクドペネーです。これはシンプルなレシピで簡単に作れるイタリアの家庭料理で、大豆ミートとも好相性なんだとか。

このレシピでは、ミンチタイプの大豆ミートが使われていました。野菜ストックに2〜3分漬ければ、戻せるそうです。

戻した大豆ミートを玉ねぎなどの野菜やにんにく、ハーブ、「味の素®」を入れたソースに加えると、大豆ミートがうま味たっぷりのソースの味を吸い込みます。
こんなふうに何重ものうま味を吸収した大豆ミートは、動物性の肉と区別が付かない味わいになるそうです!!


●うま味がたっぷり染み込んだ大豆ミートが決め手! マスタードBBQサンドイッチ
3品目に登場したのは、マスタードBBQサンドイッチ。
BBQソースを絡めた大豆ミートをパンに挟んだ料理で、アメリカでよく作られているサンドイッチです。
アメリカ料理のBBQソースにはいくつかの種類があるそうですが、今回はマスタードベースで作っていただきました!
「BBQソースに「味の素®」を加えてうま味をプラス。さらに、味にパンチがほしいから、途中で生のにんにくを入れています」とクリスさん。

このレシピで使っていたのは、レトルトタイプの薄くスライスされた大豆ミートです。大豆ミートにもいろいろな種類があるそうで、乾燥ではないレトルトタイプなら水や野菜ストックで戻さず、そのまま調理できるのだとか。

この大豆ミートを焼くと焼き色がついて、本物のお肉のような見た目と食感に!
ただ、野菜ストックで戻していない分、うま味がしみていないので、そのままでは味があまりしません。そこで、たまり醤油を少しかけると、塩味がつくだけではなく、茶色く色付けることもできるそうです。

さらに、少量のにんにく塩、「味の素®」を加えることで、うま味のあるBBQソースが完成しました!

ヴィーガン料理やローソルト料理も工夫次第!おいしさのデザインが可能性を広げる
コーポレートシェフから、大豆ミートを使ったおいしい減塩レシピを学んだ今回のワークショップ。シェフのすばらしい調理を間近で見ることができて、たくさんの学びと発見がありました!
大豆ミートをうま味のある野菜ストックで戻し、さらに、スパイスやうま味を効かせたソースに合わせ、風味とうま味を重ねていくことで、塩分が多くなりがちな大豆ミートのレシピも、おいしいローソルトに。
とくに私が印象に残ったのは、ほかの液体を入れる前にカレーパウダーを炒めること。実際に、炒めることで目の前で香りがどんどん強くなっていくことも体験できました! ほかにも、スパイスをふんだんに使って大豆ミート特有の大豆臭を和らげるなど、調理過程の工夫を知れたのも大きかったです。
参加したLOW SALT CLUB部員たちの声
一緒に参加した部員のみなさんからも感想をもらったので、ご紹介しますね!
- あーぴんさん:
- シェフのお料理は、大豆ミートだと言われなければわからない味に仕上がっていて驚きました! とくに、トリニダードカレーは塩味ではなく、うま味を感じておいしかったです。うま味で減塩するテーマで料理を研究しているので、とても勉強になりました!
ローソルトでおいしい大豆ミート料理の数々、いかがでしたか?
シェフの調理を目の当たりにしながら、私(まりえ)は驚きとワクワクの連続でした。
減塩だけでなく、サステナブルな食材をおいしく食べる方法の開発など、栄養における社会課題に対して様々な観点からグローバルに取り組む味の素社の姿勢に改めて共感。その一助となっていると思うと、LOW SALT CLUBの活動にもますます気合が入ります!
工夫次第でおいしく仕上がる大豆ミートのレシピを活用すれば、環境にも健康にもやさしい食卓を目指すことができますね!