アミノ酸技術を活かす/アミノ酸のはたらき

アミノ酸技術と医療の事例

アミノ酸技術は医療分野にも
貢献しています

事例

再生医療※1の実現に向けて

再生医療用培地※2の実用化

再生医療は移植医療が持つ課題を解決する根治療法として、現在世界中で研究が進められています。細胞を培養するための培地の必須成分である医薬グレードのアミノ酸を生産している味の素グループは、2014年に非動物由来の精製された成分のみで構成されたiPS細胞※3・ES細胞※4用培地「StemFit®」AK03の開発に成功、2016年に「StemFit®」AK03Nとして販売を開始しました。2019年には、間葉系幹細胞(MSC)※5用、肝細胞等の分化誘導用の培地も発売し、製品ラインアップを拡充しました。2018年にコージンバイオ(株)との合弁で設立した再生医療における臨床用培地の受託製造会社、味の素コージンバイオ(株)を含め、今後も培地の製造・販売を通じて、再生医療の実現や新しい医薬品の開発に寄与していきます。

再生医療における培地の役割
再生医療における培地の役割の図

※1 機能障害・不全・欠陥に陥った生体組織に、正常な機能を有する細胞や組織を人為的に再現、移植導入し、組織修復・機能の再生を行う医療。

※2 細胞が必要とするアミノ酸、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルに成長因子などをバランスよく含む栄養液。

※3 人間の体の細胞に、数種の因子を導入することで、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力(Pluripotency)とほぼ無限に増殖する能力を併せ持つ細胞に変化した、人工多能性幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cell)。

※4 人間の胚の内部細胞塊を用いてつくられた胚性幹細胞(Embryonic Stem Cell)。体を構成する様々な組織や臓器の細胞へと分化する能力を持つ。

※5 1970年に見出された幹細胞で、体内に存在し、自己増殖能と多分化能を有する。間葉系に属する細胞(骨細胞、心筋細胞など)への分化能を持つ。

※6 ヒトや動物の体内において、特定の細胞の増殖や分化を促進するタンパク質の総称。

※7 iPS/ES細胞から体を構成する様々な組織や臓器の細胞へと変化させること。

TOPICS

日本初の臨床研究用成長因子を研究施設に供給

2018年10月、味の素(株)は、厚生労働省の薬事審査機関である独立行政法人医薬品医療機器総合機構より、成長因子の一つで、再生医療の細胞分化に欠かせない「組換えヒトアクチビンA」が生物由来原料基準を適用する原料を含まないことに関する確認書を取得し、本成長因子を日本初の臨床研究用途として研究施設に供給開始しました。

写真

組換えヒトアクチビンA

事例

アミノインデックス技術

味の素(株)は血液中のアミノ酸濃度バランスが病気によって変化することに着目し、その変化を統計的に解析することにより健康状態や病気の可能性を評価する「アミノインデックス技術」を開発しました。この技術を応用して、2011年より「アミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)」サービスを提供しています。その後、4年以内の糖尿病発症リスクを評価する「アミノインデックス®生活習慣病リスクスクリーニング(AILS®エーアイエルエス)」を開発し、2017年よりAICS®とAILS®エーアイエルエスを合わせたAIRS® (アミノインデックス®リスクスクリーニング)を提供しています。2019年4月にはAILS®エーアイエルエスに10年以内の脳卒中・心筋梗塞を合わせた発症リスク評価を追加したことにより、1回の採血で三大疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞)の発症リスクを評価することが可能になりました。また、2020年10月より、生活習慣病リスクスクリーニング(AILS®エーアイエルエス)に現在の認知機能低下の可能性を評価する項目を追加し、サービスを開始しました。
今後も、人々の快適な生活や健康寿命の延伸に貢献すべく、様々な疾患の予防や早期発見につながる検査の研究開発を進めます。​​​

アミノインデックス®リスクスクリーニング(AIRS®)の特徴
フロー図:「アミノインデックス®リスクスクリーニング(AIRS®)」では、「アミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)」と「アミノインデックス®生活習慣病リスクスクリーニング(AILS®)」の2つをサービスを提供。「アミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)」では、胃、肺、大腸、膵臓、前立腺、乳腺、子宮・卵巣の現在がんである可能性を評価。「アミノインデックス®生活習慣病リスクスクリーニング(AILS®)」では、10年以内に脳卒中・心筋梗塞を発症するリスク、4年以内に糖尿病を発症するリスク、現在の血液中のアミノ酸の状態を評価することが可能 フロー図:「アミノインデックス®リスクスクリーニング(AIRS®)」では、「アミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)」と「アミノインデックス®生活習慣病リスクスクリーニング(AILS®)」の2つをサービスを提供。「アミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)」では、胃、肺、大腸、膵臓、前立腺、乳腺、子宮・卵巣の現在がんである可能性を評価。「アミノインデックス®生活習慣病リスクスクリーニング(AILS®)」では、10年以内に脳卒中・心筋梗塞を発症するリスク、4年以内に糖尿病を発症するリスク、現在の血液中のアミノ酸の状態を評価することが可能
TOPICS

「平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)」を受賞

味の素(株)は、文部科学省が主催する「平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」において「血漿アミノ酸プロファイルによる新規疾患リスク検査法の開発(「アミノインデックス技術」)」の成果が認められ、科学技術賞(開発部門)を受賞しました。

※ 科学技術に関する研究開発において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって日本の科学技術水準の向上に寄与することを目的として文部科学大臣より授けられる賞。科学技術賞(開発部門)は、日本の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に利活用されている画期的な研究開発もしくは発明を行った者に与えられる。