アミノ酸技術を活かす/アミノ酸のはたらき

アミノ酸の機能と技術の活用事例

アミノ酸技術で
人々の健やかな生活を
支えます

アミノ酸と健康の
かかわり
とは

ヒトの体の約20%はたんぱく質でできています。このたんぱく質を構成しているのが、20種類のアミノ酸です。アミノ酸は、いろいろな組み合わせで多数つながることで、約10万種類ものたんぱく質を形作ります。アミノ酸は筋肉や皮膚、髪、血液等「体をつくる」だけでなく、各種のホルモンや酵素、免疫抗体となって「体を守る」「体の調子を整える」役割も持っています。また、エネルギーとなり、「体を動かす源」になる等、生命を維持する上で重要な働きを持っています。
たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、体内で合成できず、食事等から摂取しなくてはならない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。必須アミノ酸には筋肉の合成を促す作用がありますが、中でもロイシンは、筋肉合成のスイッチを押すように働いて筋たんぱくの合成を促進し、分解を抑制する働きがあります。ロイシンを多く含むアミノ酸を摂取すると、たんぱく質そのものを摂取する場合と比べて少量でも筋肉合成を起こすことが明らかになっています。​​​​​

事例

科学的根拠に基づく健康・栄養価値の提案

味の素グループは、世界トップレベルのアミノ酸に関する知見に基づき、快適な生活を支える製品の開発・販売や、顧客企業へのアミノ酸配合素材および製品設計ソリューション提供を行っています。食品に様々なアミノ酸の機能を付加することで生活者の手軽なアミノ酸摂取を実現するとともに、アミノ酸の健康・栄養価値を広めています。このB to B to Cの一連の取り組みを「ダウンストリーム戦略(ブランド+インサイド戦略)」と称し、国内外で展開しています。
この戦略に基づき、複数のアミノ酸を最適な組み合わせに調合したアミノ酸素材「アミノ酸プライムミックス」を顧客に提案し、食品・飲料等に導入されています。​​​​​​​

アミノ酸プライムミックス素材
ロイシン40%配合必須アミノ酸素材​
機能​筋量・筋力の維持・向上

9種類ある必須アミノ酸のうちロイシンには筋肉をつくり出すシグナルの働きがあります。このロイシンを40%配合することで、効率的に必須アミノ酸が体内に取り込まれ、筋量・筋力の維持・向上につながります。​​

シスチン・テアニン※1 配合素材​​
機能​免疫力向上​

シスチン・テアニンにより抗酸化物質「グルタチオン※2」がつくられます。このグルタチオンを介して自然免疫を活性化し、さらに獲得免疫も活性化することにより、病原体への攻撃力が高まります。​​

※1 お茶の葉に含まれるアミノ酸。グルタミン酸の誘導体で、摂取すると体内でグルタミン酸とエチルアミンに分解される。

※2 生体内で重要な抗酸化物質で、グルタミン酸・システイン・グリシンの3つのアミノ酸がこの順に結合した物質。シスチン単体でもグルタチオン量は上昇するが、グルタミン酸誘導体のテアニンが加わることで、その量が有意に上昇する。

アルギニン・グルタミン酸塩配合素材​
機能​胃の運動機能改善、食欲改善
アルギニン

胃をふくらませいったん食物を溜める

(想定されるメカニズム)

グルタミン酸

胃を動かして食物を小腸へ送り出す

(想定されるメカニズム)

アルギニン・グルタミン酸塩により、胃の運動機能が高まり、飲食による胃部不快感を軽減する働きがあります。​​

ヒスチジン・ビタミンB6ミックス配合素材​​
機能​疲労感軽減、作業効率改善

ヒスチジンは、脳内で睡眠不足やストレスにより減少するヒスタミンに合成され、疲労感を軽減したり、単純な記憶や判断を必要とする作業効率を改善します。ビタミンB6はヒスチジンの働きを助けます。​​

TOPICS

アミノ酸の機能を活かして、医療食品分野で患者とその家族のQOL改善に貢献

味の素グループは、「おいしい食事で栄養状態を改善する」という創業時からの想いのもと、アミノ酸と「食」の分野でのスペシャリティを活かしながら、「食」を通じて健康課題を持つ様々な人のQOL向上に貢献しています。味の素キャンブルック社(旧キャンブルックセラピューティクス社)では、アミノ酸代謝異常患者向け等の医療食品を生産・販売しています。代謝異常患者等が摂取する医療食品はおいしさやバラエティの少なさに課題がありますが、同社はグループ傘下となった2017年以降、味の素グループのアミノ酸の栄養や生理機能に関する知見、“おいしさ設計技術”をフルに活用し、よりおいしく栄養価の高い製品を豊富なバラエティで提供しています。また、2018年に事業展開エリアを北米・欧州から中国へと拡大しました。同社は2000年の設立当初から、患者とその家族、医療専門家との対面でのコミュニケーションを重視し、事業を展開する各国・地域で患者向けのセミナー等を実施してきました。2018年度はオーストラリアの主要4都市で患者とその家族向けの料理ワークショップを開催、約120名が参加しました。
今後も、味の素グループとしての強みを活かし、より多くの患者に「食」の喜びを提供し、家族も含めたQOL向上に貢献していきます。

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味の素キャンブルック社
の医療食品(中国向け)

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ワークショップで作られたメニュー