(本記事は2020年4月掲載)
2019年は、1909年5月の「味の素®」発売から110周年にあたる。
この「味の素グループの軌跡 2009-2019年度」と「味の素グループ 事業・コーポレート総覧 2009-2019年度」は、100周年を迎えた2009年から2020年3月までの経営と事業の記録である。「軌跡」は経営の考え方や戦略を、「総覧」は事業およびコーポレートの詳細な施策をまとめた。
味の素グループは、100年の節目を順風のもとで迎えたわけではなかった。
2009年3月期は為替差損などもあり、連結決算が赤字に転落。さらに、グローバル食品大手や廉価を武器とするアジア勢との競合、日本の少子高齢化などが進み、経営環境が厳しさを増す。そうしたなかで、どのように自己を変革し、V字回復から持続的成長を成し遂げ、ステークホルダーの期待に応えようと努めてきたのか。
フェアな情報共有と社内外の信頼関係構築、選択と集中、Specialty重視によるバルク(飼料用アミノ酸や、甘味料・MSGなど加工食品用原料)からリテールへのシフト、Open&Link(積極的な外部連携)、発想の転換「隣地拡大」、さらには、SDGs等に象徴される環境保護や貧困・飢餓・健康問題などに対応し、社会価値と経済価値の両立を基本とするASV。
これらのキーワードを掲げて、革新的施策を果断に実践することで危機を乗り越えてきた足跡を紹介する。
“Open New Sky”(2014-2016中期経営計画)
歴史を知ることは今を知ること。すべての「今」には人々の意志とプロセスがある。
「味の素®」の発明には、昆布だしからの着想と「日本人の食」に対する思いがあった。そして、無数の普及活動と技術の研鑚が、日本全国へ、そして世界へと届けられる「うま味」を生んだ。
戦後を牽引した国際派経営者・道面豊信。GHQと渡り合い、1960年代には日本の企業人として先駆的に「企業の社会的責任」を提唱。さらに近代的マーケティングの導入や外資提携による多角化と、稀なるリーダーシップを発揮した。 アミノ酸の多面的活用と海外展開で飛躍した20世紀末から21世紀初めの20年。しかし、バルクビジネスの拡大と依存は、世界的な生産・価格競争へとつながっていく。
味の素株式会社 四代社長 道面豊信
トップが語る100周年後の経営とこれから。赤字転落の苦境、そこから脱出した構造改革と成長戦略、創業時から続く社会価値と経済価値の両立、おいしさと健康への貢献、グローバルとデジタルの組み合わせがもたらす未来まで。
挨拶
表紙、本扉~目次
I章
II章
III章1~2節
III章3~5節
IV章
編集後記
味の素グループの軌跡 全体版
味の素グループの2009年からの各施策を網羅的に記載。 戦略中心の「軌跡」と併読することで、活動の多様性と変遷が立体的に、ダイナミックに理解できる。 食品とアミノサイエンスの2事業について、それぞれの環境、市場開拓、製品開発、マーケティングをエリア別・主要製品別に詳細に記載。ライフスタイルや栄養・健康・環境といった社会的課題、競合状況など経営環境の変化に対応し、どのように自社の強みを活かし、製品・サービスを生み出してきたかの記録。 味の素グループを支えるコーポレート部門。そこで実施された組織再編、それぞれの機能変革について、背景や経緯を説明。代表例として、知的財産、広告、広報に関して、「真の」グローバル企業に向けてどのような取り組みが行われたかを掲載した。
国内食品事業における「隣地拡大」成果例
「Cook Do®︎ きょうの大皿」、「鍋キューブ®︎ 鶏だし・うま塩」
「味の素バイオ・ファーマサービス」グローバルネットワーク
表紙・目次等
食品事業(事業概観、国内・海外家庭用事業(調味料・加工食品・冷食))
食品事業(おいしさソリューション等の各事業、グループ会社)
アミノサイエンス事業(事業概観、動物栄養事業・化成品事業等の各事業)
コーポレート(知的財産・広告・広報等)
事業・コーポレート総覧 全体版