味の素グループのデジタル変革(DX)

DXで「食と健康の課題解決企業」へ

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味の素グループ(以下当社グループ)は、歴史的に食品事業本部およびアミノサイエンス事業本部の2事業本部が縦割りで事業を行ってきました。食品事業本部の強みは、伝統的に他社より圧倒的に強い調味料事業を主体とした「美味しさNo.1の商品」であり、近年、日本はもとより、経済成長の高いアジア、南米を中心にビジネスを伸ばしてきております。アミノサイエンス事業本部の強みは、世界一のアミノサイエンス事業に代表されるように、バイオファイン技術に支えられたアミノ酸、化成品などのヘルスケア事業であり、もとよりグローバルに成長してきた事業です。

2010年代に目指した当社グループの姿は、「世界トップ10クラスのグローバル食品企業」でしたが、事実上は、この2事業本部の計画数値を足し合わせた3ヶ年中期計画をもとに経営を行い、既存事業の延長線上で拡大への投資を行ってきました。結果、一定の規模拡大には成功したものの、利益成長計画は達成できず、資産効率も低下し、株価も2010年代の半ばから低下が顕著になりました。当社グループは、伝統的に縦のマネジメントが強く、指揮命令系統が明確です。この強みは、事業環境が安定している時には十分に発揮されますが、環境変化が激しいと対応しにくく、むしろ弱みとなります。2015-18は事業計画数値を達成できない状況が続きましたが、背景には、生活者の意識・嗜好性の変化・デジタル化による消費行動の変化がありました。また、グローバルにデジタル変容が加速し、都市化、高齢化、流通の変化、環境意識、健康意識の高まりなどが顕著になり、ESG/SDGsへのコミットメント、働き方の変革も求められるようになりました。

かかる状況を取締役会・執行のトップは真摯に受け止め、当社グループは今後も加速する社会のデジタル変容をサポートし、やがてはリードする企業であらねばならないとしました。社会変容をポジティブにサポートするには、そこで発生する重要な社会的課題を有効に解決する能力を持たねばなりません。当社グループは、食品とアミノ酸、ヘルスケアなどそれぞれの分野で培った能力を所有しているため、これらを組み合わせる事でシナジーを発揮できる「食と健康」領域にターゲットを絞り、その課題解決を企業のパーパス(志)とするパーパスドリブン企業に生まれ変わる事を決意いたしました。(統合報告書2020)。この「食と健康の課題解決企業」への変革こそが、デジタル変革(DX)の目的です。

当社グループのデジタル変革(DX)は、2018年度から準備し、CDOの設置、DX推進準備委員会の設立を経て、それまで局地的に行われていた活動を統合し、グローバルに活動を開始しました。2019年には、正式にDX推進委員会、およびDX推進部を立ち上げ、グループ関連企業を含めグローバルに全面展開を開始しております。「食と健康」は、重大な社会的課題の一つであり、ESGとも密接にかかわっており、当社グループのみならず、他企業団体、行政などの重要関心事項でもあります。従前より、当社グループはASV(Ajinomoto Group Shared Value)を掲げ、社会的課題の解決と事業(経済)成長の両立を戦略としてきましたが、この考え方を「食と健康の課題解決企業」というパーパス(志)で裏打ち・強化し、外部発信したことにより、当初より志向していました他企業団体・行政・アカデミア・医療機関・栄養士などとの連携が加速しはじめ、結果として、連携効果(COLLECTIVE IMPACT)を発揮できるようになってきています。

デジタルのもつスケーラビリティー(拡張性)、スピルオーバー(汎用性)、シナジー(結合による付加価値)も、このような連携を可能にする大きなファクターと認識し、DXによる企業変革の必要要件として企業全体のリテラシー向上に努めています。当社グループは、「食と健康の課題解決企業」として生まれ変わり、社会のデジタル変容の良きパートナーとなり、「食と健康の課題解決」にリーダーシップを発揮し続ける事をここに表明します。

福士 博司 代表取締役 副社長執行役員
Chief Digital Officer (CDO)