「食の安全」についてうかがいました

食の専門家の皆様に、「食の安全」に関するお話をうかがいました。

ホントに知っていますか?食品添加物のこと

「体に悪いもの」というイメージを持つ人も多い食品添加物。しかしそれらは本当に危険なものなのでしょうか?食品添加物の安全性や、食品添加物が果たしている役割について、東京大学名誉教授の唐木英明氏にお伺いします。

第2章 もし食品添加物がなかったら?

食生活を豊かにする食品添加物

食品添加物には、さまざまな役割があります。たとえば、女性や子供たちが大好きなゼリーやプリンなどのデザートにも、おいしさを演出するために食品添加物が欠かせません。香りをつける香料やぷるんとした食感をつくるゲル化剤、滑らかな舌触りをつくる安定剤など、色、香り、食感を加える大切な役割を食品添加物が果たしています。

さらに、食品を長持ちさせる働きも、私たちの生活をより便利に、より豊かにするには欠かせない食品添加物の役割のひとつです。肉や魚などの生鮮食品は日持ちがしません。このため、保存料や殺菌剤などの食品添加物によって食品を長持ちさせ、おいしくムダなく食べることができます。たとえば、練り製品の原材料となる魚は、水揚げされたその場で食品添加物を加えて、すり身に加工します。すり身は冷凍保存することで、遠方にある工場まで運ばれ、かまぼこやちくわ、はんぺんなどにさらに加工することができます。肉の場合は、ハムやソーセージに加工されるときに、おいしい色を保ち、腐らないようにするために食品添加物が働いています。

では、食品添加物がなかったら私たちの生活はどうなるでしょうか。家庭やレストランなどと違って、加工食品の場合、日持ちや製造適性、コストなど多くの要素を実現しなければなりません。このため、食品添加物を上手に使用しないと、ハムやソーセージ、すり身などは、すぐに腐ってしまい食中毒の危険性が高まります。ゼリーやプリンも独特の食感もなく舌触りもざらっとしてしまい、パンやクッキーはふくらまずにパサパサ、かまぼこなどの練り製品はグチャッとして歯ごたえが低いものになります。食の安全が保てなくなってしまうだけでなく、毎日の食生活が味けなくなってしまいます。

私たちの暮らしのなかで活躍する食品添加物

■ 食品を製造または加工時に必要なもの

製造時の泡立ちをおさえたり、pHを調整したり、型離れをしやすくするために使用
→消泡剤、pH調整剤、離型剤

■ 食品の形を作ったり、独特の食感を持たせるために必要なもの

豆腐、中華めん、マーガリン、プリンなど、食品の形成や独特の食感を持たせるために使用
→豆腐用凝固剤、膨張剤、かんすい、乳化剤、ゲル化剤、安定剤

■ 色でおいしさを演出するために必要なもの

色はおいしさを演出するひとつの手段。着色したり、脱色したりするために使用
→着色料、発色剤、漂白剤

■ 味と香りを良くするために必要なもの

食品に甘味や酸味あるいは香りなどを加えるために使用
→甘味料・・・・・食品に甘味を加える
 酸味料・・・・・食品に酸味を加える
 苦味料・・・・・食品に独特の苦味を加える
 調味料・・・・・食品にうま味を加える
 香 料・・・・・食品に香りを加える

■ 食品の栄養成分を補うために必要なもの

調理や加工をするときに、原材料が持っている栄養分がなくなったり、減ったりするのを補てんするために使用
→ビタミン、カルシウム

■ 食品の品質を保つために必要なもの

食品の腐敗や油脂成分の酸化を防ぐために使用
→保 存 料・・・・・食品中の微生物やカビの繁殖を防ぐ
 酸化防止剤・・・・・油などの酸化による変質を防ぐ
 防カビ剤・・・・・・主に柑きつ類に使用。果物でのカビの発生を防ぐ
 日持ち向上剤・・・・食品の品質を保つ
 殺 菌 剤・・・・・加工食品の製造に先立って原料に付着している微生物を殺菌・除去

無添加はホントに安全?

添加物はホントに安全?

最近、無添加という表示の食品をよく見かけますが、無添加表示には行政で定められたルールがないことをご存知でしょうか。「保存料不使用」と表示しながら、それ以外の食品添加物で代替している場合があることを知らない消費者も多いのではないでしょうか。「無添加」や「保存料不使用」と書かれているだけで「体にいい食品」と誤解している方も少なくないと思います。食品添加物が入った食品より無添加食品の方が安全という考えに、科学的な根拠は何もありません。私たち消費者が「食品添加物=不安なもの」と決め付けてしまったり、「無添加=安全なもの」と信じてしまうことが、紛らわしい表示をつける企業の行動を助長しているのだと思います。こうした表示を自主規制するために、みそ業界では業界全体で無添加表示を不当表示のひとつに取り上げ、表1のようにルールを決めています。消費者のみなさんも感情的になったり、思い込みで製品を選ぶのではなく、本当に安全かどうか、科学に基づいた賢い判断をして製品を選ぶ必要があります。また、新聞やテレビなどマスコミの情報に惑わされ、必要以上に怖がってしまうのも考えものです。製品を選ぶみなさんが情報の信ぴょう性を見分け、本当の安全を見極める力を養っていくことがとても大切なことだと思います。ところで、食品添加物は戦後から出回ってきたもの、と思っている方も多いと思いますが、実は伝統的に使われているものや地域の食生活にずっと根付いている食品添加物もたくさんあります。次回は、昔から使われている食品添加物についてご紹介します。

表1 みその表示に関する公正競争規約

(不当表示の禁止)
第7条 事業者は、みその取引に関し、次の各号に掲げる表示をしてはならない。

(1) 第2条第1項から第5項までに規定する定義に合致しない内容の製品について、それぞれ、当該定義に合致するものであるかのように誤認されるおそれがある表示
(2) 成分又は原材料について、事実と相違するか、実際のものより著しく優良であるかのように誤認されるおそれがある表示
(3) 第4条に規定する特定事項の表示基準又は第5条に規定する特定用語の使用基準に合致しない表示
(4) 合理的な根拠がないにもかかわらず、第4条に規定する事項又は第5条に規定する用語に類似する表示を行うことにより、当該製品が著しく優良であるかのように誤認されるおそれがある表示
(5) 「天然」、「自然」等の表示(第5条第2号に掲げる「天然醸造」に係るものを除く。)
(6) 大豆、穀類(米、大麦、はだか麦等)、食塩、種麹菌及び発酵菌以外の原材料又はキャリーオーバー若しくは加工助剤を使用したものについて、「無添加」の表示
(7) 食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号)別表第1に掲げる添加物を使用したものについて、「純」、「純正」その他純粋であることを示す表示
(8) 合理的な根拠がないにもかかわらず、みそに病気の予防等についての効能又は効果があるかのように誤認されるおそれがある表示
(9) みその容器又は包装において品評会等で受賞した旨の表示
(10) 官公庁、神社、仏閣、著名な団体又は著名な個人が購入又は推奨しているかのように誤認されるおそれがある表示
(11) 前各号に掲げるもののほか、製品の内容又は取引条件について、実際のもの又は自己と競争関係にある他の事業者に係るものより著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるおそれがある表示
(12) 他の事業者の製品を中傷し、又はひぼうするような表示

出典:(社)全国公正取引協議会連合会 公正競争規約(食品)農産物加工食品 みそ より

食品に対する不安(食品安全委員会による2014年度調査)

食の安全性の観点から感じている不安の程度(食品安全モニター400人)

食品に対する不安 SP画像

食品に対する不安

食品に対する不安

取材内容は2009年5月時点のものです。

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【第3章】食品添加物は、
人間の知恵から生まれた