鍋キューブ®

小さな一粒に技術力が凝縮された
「鍋キューブ®

Healthcare Food & Wellness ICT Green

鍋キューブ®〈 目 次 〉

食生活に新しい価値を、新しい事業を。
一粒のアイディアがやがて確信に変わる。

家庭用の調味料分野において、事業の柱となるような新しい製品をつくりたい。食生活や文化として継続し、広がっていくような新しい価値を生み出したい。その想いのもと開発に取り組んだマーケティングチームは、まずお客様が「今何を食べているのか」「今後何を食べたいのか」を徹底的に紐解き、何通りものアイディアの素が生まれてきました。それら多くのアイディアをもとにリサーチをしたところ、その場の空気を変えるほど注目されたアイディアがありました。それが「キューブ状の鍋の素」。一粒のアイディアに確信が持てた瞬間です。

一人前が一個のキューブになった鍋の素

リサーチした主婦たちの「キューブ状の鍋の素」への反応は、事前の予想とはまったく異なる「使える」「助かる」というものでした。それまでの鍋用調味料は、3〜4人前の液体スープや、ボトルに入った濃縮タイプが主流でした。しかし一回で使い切る必要があったり、重くて持ち運びづらいといった点がありました。もともと、開発チームが考えていたアイディアは、個別化・多様化する食生活に応えるために「一人前が一個になった鍋の素」だったのです。当初は、基幹商品である固形スープの素、味の素KKコンソメのキューブ製造技術(配合、物性、成形速度・圧力等)を活かせると考えたのです。

おいしく手軽な一粒のキューブを
実現するために結集された技術

鍋料理は、さまざまに凝縮された「うま味」をゆっくり楽しむ料理です。そのおいしさ、複雑な味わいを出すために複数の原材料を組み合わせることが必要でした。しかし、そのスープを単純に圧縮してキューブに固めるだけではバラバラになってしまい、形を保ちやすい原材料の配合を多くすると鍋の中で溶けにくくなってしまいます。キューブでおいしさを実現するために、3つの課題〈1.味・風味が強くて後味の良い素材の活用、2.粒にする前の流動性と形状保持の両立、3.溶けやすさの確保〉に取り組みました。

01.口の中で味と風味がふくらみ、後味まで楽しめる

本来は液体である鍋スープの固形化とおいしさを両立するには、一つひとつの素材が高機能であることが必要でした。そこで新たに、開発中であった少量でも強い味のインパクトを引き出せる新しいだし風味や、深いコク味を出すための素材を組み合わせて活用しました。これらによって、口に含んだ瞬間には様々なエキスのうま味がふくらみ、そして飲み込む瞬間まで後味が広がるというコクと厚みを実現しました。

味覚と時間について

横軸の左端が口に含んだ瞬間。横軸の右端が後味も含めて味を感じなくなるまで。

02.キューブにする前はやわらかく、キューブにした後は強く

独自素材の活用、独自の配合・製造技術
一粒のキューブの中にさまざまな原材料を均一に分散させるためには、それぞれの原料が粉体のときにはある程度の流動性を持っていることが必要でした。さらに、その均一な原料を固形化する際には、流通している間も崩れずにキューブ形状を保つように安定した強度で成形することが必要でした。製造過程において、これら相反する課題を両立するための制御技術を開発し、一つひとつのキューブの中でバランスさせています。

キューブにしやすい原料(塩やうま味調味料・・・など) / キューブにしにくい原料(香辛料やエキス類・・・など) / 少量で、濃厚かつ複雑な味わいを実現できる独自素材 / キューブにしにくい香辛料・エキス代替素材

03.キューブ自身がこわれることで、素早く溶けていく

固形化され安定した強度を保つキューブは、同時にそのままでは溶けにくいという課題が発生します。そこでキューブの中に、水分と反応することで発泡する特性を与えることで、湯の中でキューブ自身が内側から崩れていく新技術も開発されました。この技術によって、鍋に入れたときには、自ら素早く均一に溶け始める「鍋キューブ®」が実現しました。

鍋キューブ 水と反応すると発泡する素材 鍋に入れて火をかけると内側から力がかかり、キューブが崩れる

鍋キューブ®は価値の凝縮そのもの。
お客様が喜ぶ価値をこれからも提案します。

溶出特性と製造コストを満たす製剤化の技術は、動物栄養・製法開発など、異なる専門分野の技術者のアイディアが結合することによって生まれました。
さらに開発を進める上では、試作と溶出特性評価が重要な課題でしたが、これまでにない新しい評価技術を確立することで、より効率的に高い性能のデータや試作品を選抜することを可能にしました。

Another Innovation Story