工場からのメッセージ

ナイカイ塩業株式会社 副社長
藤田 武志さん

文政12年(1829年)、創業者の野﨑武左衛門が倉敷で入浜式塩田を築造して以来、私たちは180年の長きにわたって高品質の塩をコツコツと忠実に作り続けてきました。岩塩が存在しない日本では、海を利用した塩田で海水を蒸発させ、さらに大釜で煮詰めて塩を作り出してきました。このため、海水を使うので海が近くにあること、広大な塩田のスペースを確保できる遠浅の海があること、日照が命なので雨が少ない気候であることが3大条件とされ、瀬戸内はまさにすべての条件を満たす最適な土地でした。この瀬戸内で塩づくり一筋に成長を続けてきたのが、私たちナイカイ塩業です。

時代は変われど思いはひとつ

現在は塩田で蒸発させる方式からイオン膜で海水を濾過する方式へと製法は大きく変わりました。また、生産量も1日500~600トンに達し、食用塩での国内シェアもトップとなりました。それでも塩づくりにかける思いは変わっていません。塩づくりで重要なポイントは2つ。第1に、塩の影響で機械やパイプなどの金属部分が錆びやすいので、大切な塩に錆が混入しないよう、錆びにくい金属を活用するなど細心の注意を払っています。第2に、塩は結晶同士がくっついて固まった状態(「固結」)になりやすいので、製造工程を工夫して、いつもさらさらの塩を製造しています。

塩は人間になくてはならない物質

私たちは、「ほんじお」などの食用塩だけでなく、きわめて高い純度が求められる人工透析用など医薬用塩も手がけています。医薬用塩も国内シェアトップです。それだけ質の高い塩を安定して作り出す技術がある証と言えます。塩は人間の生命に不可欠な物質です。塩づくりとは、国民の命を守る仕事にほかなりません。だからこそ、原料から一貫して国産にこだわり、目の前の瀬戸内の海水を使い、最後まで責任を持って高品質で安心できる塩を作り続けています。私たちの塩づくりは、国民の安心づくりであると自負しています。