森林破壊ゼロに向けた対応

1. 味の素グループが森林破壊ゼロに取り組む目的

味の素グループの事業は、豊かな地球環境から成る、健全なアグリフードシステムの上に成り立っています。
一方で、食資源の生産に伴う土地利用の変化などを背景として、森林破壊が世界的に進行しています。森林破壊に伴う自然資本の損失は、気候変動の加速や生物多様性の毀損を招くだけでなく、地域住民の暮らしにも深刻な影響を及ぼしています。こうした影響は、アグリフードシステムの持続性を損ない、原材料の安定調達や地域社会との信頼関係の維持といった、私たちの事業基盤そのものを揺るがす重大なリスクであると認識しています。

味の素グループはこうした認識のもと、食資源を扱う企業として、森林破壊の根絶に取り組む責任があると考えています。私たちは、ステークホルダーの皆様と協働しながら、サプライチェーンでの森林破壊の根絶を推進することで、自然の再生、地域社会との共存、そして事業の持続的成長を同時に実現してまいります。
(なお、本取り組みは、味の素グループのマテリアリティ「持続可能な地球環境の実現」を支える「森林破壊防止」に位置付けられています)

2. 森林破壊ゼロに向けたコミットメント

味の素グループは、森林破壊に関連する主要な製品(パーム油、大豆、牛肉、紙)について、2025年12月31日までに森林破壊を行わないことを約束しています。
また、2026年度よりコーヒーも対象に追加し、サプライチェーンにおける森林破壊ゼロに向けた取り組みを強化してまいります。

森林破壊を行わないこととは、2020年12月31日以降に森林破壊または森林劣化が生じた土地で生産された原料の調達を行わないことを指し、このことをこのレポートでは森林破壊ゼロと呼びます。また原料の生産や調達が森林破壊を引き起こしたり、それに寄与したりしないことが確認できる状態を森林破壊フリーと呼びます。

3. 森林破壊ゼロの達成状況

2025年12月末時点で、パーム油、大豆、牛肉、紙の調達量※1 ※2のうち、全体の89%について森林破壊フリーであることを確認しています(2024年度の調達実績に基づく)※3

森林破壊ゼロの達成状況
  1. ※1コーヒーの達成進捗は、今後公開予定です。
  2. ※2現在は、SBTiが森林破壊ゼロの対応において準拠を推奨するAFi(Accountability Framework initiative:森林破壊に関するサプライチェーン上の取り組み方針を示す国際的なイニシアティブ)の優先順位の考え方に基づき、パーム油、大豆、牛肉、紙から生産される主要な製品を対象に、段階的に取り組みを進めています。
    以下の主要な製品を対象としています。
    • ・パーム油:パーム油、パーム核油、パーム油加工品
    • ・大豆:脱脂大豆、大豆油、大豆プロテイン
    • ・牛肉:牛肉(食肉原料)
    • ・紙:容器・包装用紙
    また、これらの製品を調達しているグループ企業のうち、調達量ベースで上位約90%の法人を優先対象として取り組みを実施しています。
    図表上の調達量は、優先対象とした法人におけるこれらの主要製品の購買量に基づいて算定しています(2024年度の調達実績に基づく)。なお、現在は取り組み対象外としている対象原料由来のその他の製品のほか、牛肉生産の上流で飼料として使用される原料については本算定には含めていませんが、取り組みの進捗や状況を踏まえ、今後順次対象の拡大を検討していく予定です。
  3. ※3一部の原料については、サプライヤー全体の管理体制や実績に関する数値等、サプライヤーから提供された情報の範囲で算定した数値が含まれています。これらについては、サプライヤーとのコミュニケーションを踏まえ、当社として合理的と判断した前提のもとで算定を行っています。なお、本算定は当社の現在の算定方針に基づくものであり、今後も算定方法の精査・高度化を進めていきます。

森林破壊フリーの検証方法

トレーサビリティの確保状況や、原料・原産地の特性に応じて、適切な検証方法を選択しています。

森林破壊フリーの検証方法
  1. ※4リスク評価にあたっては、Proforest(農業・林業原料の持続可能な生産および調達を支援する非営利の専門組織であり、AFiのコアリションメンバー)が示す評価基準や有効事例を参照しています。
    Proforest “Risk benchmarking for the EU deforestation regulation: Key principles and recommendations“

「サプライヤー連携により確認中」の調達分について

「サプライヤー連携により確認中」としている調達分のうち、特にパーム油については、森林破壊フリーであることが確認可能な搾油所を指定した調達や認証品の購買を進めるなど、実務面での対応をすでに段階的に進めています。
その他の調達分については、森林破壊の有無の確認や、上流サプライヤーまでのトレーサビリティ確保が進行途上であることから、引き続きリスク確認を行っています。原料によっては、加工拠点より上流に多くのサプライヤーや複数階層の取引先が存在し、サプライチェーンが分散・多層化している場合があります。このため、上流まで網羅的に森林破壊リスクを把握するには、当社単独では取得が難しい情報や関係者の協力が必要となるなど、情報の入手可能性やデータ品質に課題があります。
こうした課題を踏まえ、サプライヤーとの対話や現地調査を通じて、トレーサビリティの改善とリスク評価の精度向上に取り組んでいます(その他原料別の詳細は「トレーサビリティの確保」および「リスク評価」のセクションを参照)。

4. 森林破壊ゼロに向けたアクション

味の素グループでは、環境に関するガバナンス(方針および体制)を整備した上で、トレーサビリティの確保を進め、サプライチェーンにおけるリスク評価、モニタリングおよびステークホルダーと連携したリスク軽減の取り組みを推進しています。今後も、サプライチェーン全体における森林破壊ゼロに向けた取り組みを継続・強化していきます。

ガバナンス

味の素グループ内の方針および体制

味の素グループでは、森林破壊ゼロ方針を含むグループポリシーを誠実に守り、内部統制システムの整備・運用に取り組んでいます。あわせて、サステナビリティを経営上の重要なリスクおよび機会と捉え、体制の強化を進めています。詳細は以下をご参照ください。

また、本コミットメントの対象原料を含む重要原材料については、原料別の調達ガイドラインを策定し、森林破壊リスクのない原料調達に取り組む方針を明確化しています。詳細は以下ページの「6. 取引先:公正で透明な取引」のセクションをご参照ください

サプライヤー取引に関する方針

サプライヤーに対しては、「サプライヤー取引に関するグループポリシー」および同ガイドラインを通じて、取引における期待事項を明示しています。あわせて、年2回の取引先説明会を定期的に実施し、味の素グループの考え方や取り組み状況の共有、ならびに意見交換を行っています。
その中で、森林破壊の禁止を含む地球環境への配慮の趣旨をご理解いただき、順守に向けた積極的な取り組みをお願いするとともに、サプライヤー自身の取引先(上流のサプライヤー、代理店、その全従業員)に対しても本方針を展開し、順守に向けた取り組みを働きかけていただくよう要望しています。また、アンケートを通じて、順守状況の把握も行っています。詳細は以下をご参照ください。

トレーサビリティの確保

サプライチェーンの森林破壊リスクの実態を把握するためには、トレーサビリティの確保が不可欠であると考えています。まずは、サプライヤーと協働しながら可視化を進め、必要に応じ、直接農家や工場等を訪問することで、正確な実態把握に努めています。
その結果、現在ではパーム油において搾油所までのトレース比率93%を、牛肉においては屠畜場までのトレース比率100%を達成するなど、森林破壊リスクの確認に向けたサプライチェーン上流の特定が進展しています。なお、紙については、第三者による監査・検証が行われる認証制度や、取引先よる森林破壊フリー適合性確認の信頼性を踏まえ、これらを活用した対応を進めています。
牛肉については、屠畜場より上流の放牧地まで遡ったトレーサビリティの確保が求められるものの、流通や取引関係が多層的であることから、段階的な情報把握を進めています。現在は、調達量の多い一次サプライヤーを優先対象とし、管理手法や情報共有の在り方について対話を行っています。また、大豆については、サプライヤーとの継続的な対話を通じてトレーサビリティの改善に取り組んでいます(詳細は「ステークホルダーエンゲージメントの取り組み事例」のセクションを参照)。
今後も、原料特性やサプライチェーンの特性を踏まえつつ、優先度に応じた対応を進め、トレーサビリティの着実な改善に取り組んでいきます。

リスク評価

味の素グループでは、複数の手法(サプライヤーへの確認/衛星画像を用いた確認/机上調査による地域レベルの評価/認証品の活用)を通じて、調達原料の森林破壊リスクの有無を確認しています(詳細は「森林破壊フリーの検証方法」のセクションを参照)。
一部のサプライヤーについては、生産拠点への現地訪問を実施し、リスクの管理状況について詳細な確認を行っています(詳細は「ステークホルダーエンゲージメントの取り組み事例」のセクションを参照)。

モニタリングおよびリスク軽減

新たな森林破壊の発生を検知するため、サプライヤー向けホットラインに加え、すべてのステークホルダーを対象としたお客様相談センターを通じて、情報提供や通報を受け付ける体制を整備しています。また、サプライチェーン上流における森林破壊リスクをより的確に把握するため、衛星モニタリングツールを活用した森林破壊アラートの検知についても検討を進めています。
森林破壊への関与が疑われるサプライヤーが検知された場合には、速やかに事実確認を行い、適切に対応していきます。

外部イニシアティブへの参加

こうした個社での対応の取り組みを補完するものとして、味の素グループでは、国連グローバル・コンパクト(UNGC)や持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)、ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)などの外部イニシアティブに参加しています。
これらの枠組みを通じて得られる国際的な原則や実践知、ステークホルダーとのネットワークを活用し、サプライヤーとの協働によるリスク軽減に活かしています。詳細は以下をご参照ください。

ステークホルダーエンゲージメントの取り組み事例

タイのパーム油サプライヤーを対象とした現地調査

タイにおけるグループ企業であるワンタイフーズ社を通じて、同社のパーム油サプライヤーを対象に、森林破壊リスクに対する管理の考え方および運用実態を確認するための現地調査を実施しました。
主要な搾油所において、RSPO認証の運用や農地までのトレーサビリティ管理、土地利用の合法性を示す書類確認のプロセス等が適切に運用されていることを確認しました。あわせて、専門家との意見交換を通じ、タイにおける森林伐採規制やRSPO制度の背景を踏まえた評価を行いました。
これらの確認結果を踏まえ、適切な管理・運用が確認された搾油所に係る調達分については、森林破壊に関与しているリスクが低いと評価しました。

マレーシアのパーム油サプライチェーンにおける現地ステークホルダーとの対話

マレーシアのパーム搾油所や農家を含む、サプライチェーン上の複数の現地ステークホルダーを訪問し、森林破壊リスクに対する考え方および運用実態に関する対話やインタビューを通じて、現状に対する理解を深めました。
今後も、持続可能なサプライチェーンの構築に向け、現地ステークホルダーとの対話を継続していきます。

ブラジルの大豆サプライヤーを対象とした現地調査・対話

ブラジルにおける大豆調達に関しては、森林破壊を含む環境リスクの把握およびトレーサビリティの向上を目的として、現地視察およびサプライヤーとの意見交換を実施しました。
まず、取引量の多い主要サプライヤーを対象に現地視察を実施し、トレーサビリティの確保状況や、森林破壊等の環境リスクに対する管理の考え方および運用実態を確認しました。その結果、環境リスクの管理に関する取り組みが、現地の制度や実務に即した合理的な方法で進められていることが確認できました。
あわせて、その他のサプライヤーを対象に、サプライチェーン上における情報管理の手法や課題認識等、トレーサビリティの改善に向けた意見交換・議論を行いました。今後も継続的に対話に取り組む予定です。

今後に向けて

味の素グループでは、サプライチェーン全体における森林破壊ゼロの達成に向け、パーム油、大豆、牛肉、紙を優先対象原料としてサプライヤーや業界のステークホルダーとの連携を通じた取り組みを進めてきました。
2026年度からは、コーヒーも対象原料として位置付け、森林破壊ゼロに向けた対応を段階的に拡充していきます。コーヒーについては、すでにトレーサビリティ確保の取り組みを強化しているほか、認証原料の調達促進や、ベトナムおよびブラジルにおける再生農業の実証事業への参画など、森林再生に資する取り組みを進めています(詳細はこちら)。
今後も、これまでの取り組みを基盤に、ガバナンス(方針・体制)の維持やトレーサビリティの強化を進めるとともに、リスク評価の対象拡大や、モニタリングおよびリスク軽減に向けた検討・整備を推進していきます。

森林破壊ゼロに向けた今後のアクション

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