たんぱく質と筋肉

たんぱく質は体をつくる重要な栄養素ですが、近年その摂取量は減少傾向にあります。筋肉は基礎代謝に重要な役割を果たしており、筋肉のもととなるのがたんぱく質です。とくに若年女性と高齢期には、たんぱく質摂取不足にならないための食事を意識することが大切です。

たんぱく質、
不足していませんか?

メタボが問題の中高年期では過剰栄養に注意した食生活が必要ですが、高齢期でもそのままの食生活を続けていると、たんぱく質不足から筋肉量や筋力が低下し、ロコモティブシンドローム(ロコモ)やサルコペニアになってしまう可能性があります。

たんぱく質、不足していませんか?

日本人のたんぱく質推奨量

厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18歳以上の男性で1日65g以上、女性で1日50g以上のたんぱく質が推奨量とされています。

日本人のたんぱく質推奨量

脂肪量と筋肉量

同じ重さの脂肪と筋肉では、脂肪の方が体積が大きいため、同じ体重でも脂肪の多い人は大きくたるんで見え、筋肉量が多い人は体が引き締まって見えます。また、同じ大きさの脂肪と筋肉の場合、筋肉のほうが重くなります。
運動量を増やすと、体脂肪率が減って筋肉量が増えるので、体重にはあまり変化が出ないことがあります。健康診断の結果が出たら、体重だけではなく、体脂肪率や筋肉量もチェックしましょう。

脂肪量と筋肉量

筋肉量は足りていますか?

筋肉量のピークは20代で、健康な人でも歳を重ねると全身の多くの筋肉量が減少します。
特に下肢の筋肉量は顕著に低下します。下肢の筋肉は起き上がりや移動に関係する筋肉で、生活の質に大きく関わる筋肉です。高齢期では筋肉量の減少の割合が加速することが分かってきました。早期から筋肉量の低下予防のための取り組みを行う必要があります。

下肢筋肉量

年代別筋肉量の比較 下肢筋肉量

全身筋肉量

年代別筋肉量の比較 全身筋肉量

老年医学. 2010; 47: 52-57.

年齢を重ねても、筋力トレーニングにより、筋力を取り戻すことは可能です。トレーニングの効果を効率よく保つためには日常生活での活動を高めることが重要となります。座っている時間を減らし、ウォーキングや趣味活動など積極的に動きましょう。

太ももの前側の筋肉は、動かないと2日で1%減少し、これは加齢で減少する量の1年分に相当します。健康寿命の延伸には、筋肉量を維持して動ける体を保つことが重要です。突然の病気やケガで安静を余儀なくされる可能性を考えて、筋肉量はできるだけ多い方が安心です。

筋肉量は足りていますか?

公財 健康・体力づくり事業財団 改変

アクティブライフの実現には、筋肉量の維持・増加が非常に重要

ロコモは、加齢に伴い、筋肉、骨、関節に支障をきたし日常生活が困難になる現象です。その中でも加齢により筋肉量が減少してしまう現象をサルコペニアといいます。筋肉量が減少するとつまずきや転倒のリスクが高まり、さらに骨強度が低下していると転倒時の骨折リスクが高まります。また、一度骨折すると治癒までの間、運動量が減少することから、筋肉量の低下を招き、悪循環へとつながります。

アクティブライフの実現には、筋肉量の維持・増加が非常に重要

アクティブシニア「食と栄養」研究会

かむ力と栄養素等摂取量・
食品群別摂取量

よくかめるグループと比較して、かめないグループは多くの栄養素、食品群別摂取量で低値となっています。栄養素、食品の摂取を低下させないために、口腔機能の維持・改善とともに食べやすい形態での食事提供(サイズ、やわらかさ等)を工夫する必要があります。

咀嚼機能と栄養素等摂取量、食品群別摂取量の関連

【 栄養素等摂取量 】

【 栄養素等摂取量 】

【 食品群別摂取量 】

【 食品群別摂取量 】
咀嚼機能良好 咀嚼機能不良

咀嚼機能良好群を100とした。調整変数:性、年齢、エネルギー摂取量
本川佳子、老年歯学. 2019; 34(1): 81-85.

食べる力は歯の健康から

「何でもかんで食べることができる」者の割合と20歯以上歯を有する者の割合は、60歳代から大きく減少しています。
楽しく充実した食生活を送り続けるためには、生まれてから亡くなるまでの全てのライフステージで健康な歯を保つことが大切です。

「何でもかんで食べることができる」者と歯の保有状況(20歳以上、年齢階級別)

「何でもかんで食べることができる」者と歯の保有状況(20歳以上、年齢階級別)

資料:厚生労働省「平成29年 国民健康・栄養調査」