社会とともに歩む味の素グループの取り組み

Along with society

フィリピン:プラスチック廃棄物削減への取り組み

地域社会と一緒に取り組む新しいリサイクルシステム

フィリピン味の素社では、世界的な環境課題のひとつであるプラスチック廃棄物による海洋汚染に対し、新たなリサイクルシステムを立ち上げ、プラスチックごみの削減に取り組んでいます。

調味料・食品の提供だけでなく、地域社会への貢献を

1958年に設立されたフィリピン味の素社(以下、APC)は、長年にわたり高品質の調味料や食品の提供を通じ、地域社会の振興や食を通じた生活者の健康に貢献してきました。その一方で、環境保全等のグローバルな課題に直面するようになりました。プラスチックごみの増加に伴う海洋汚染もそのひとつです。

APCでは、主要商品である「味の素®」のパッケージを紙化する等、プラスチックごみの削減に尽力してきましたが、フィリピンのような開発途上国においては、国自体に解決しなければならない課題も多く、個々人のグローバルな意識改革にまでは、なかなか浸透しないのが現状です。そこでAPCではこのたび、プラスチック廃棄物のリサイクルを目的とし、アクセシビリティを考慮したリサイクルシステムのサービスを開始しました。

官民連携でサービスを開始した“サリサイクル”という新たなシステム

“サリサイクル”と名付けられたこのシステムは、マニラ首都圏にあるケソン市の協力のもと、地元の廃棄物処理企業であるBasic Environmental Systems and Technologies社(以下、BEST社)との連携により2024年1月より実施されました。プラスチックごみの回収窓口になるのは、“サリサリ・ストア”と呼ばれる食品から日用雑貨まで、生活必需品を扱う小規模な個人商店。ここで取り扱われている商品の多くが、使用後に短時間で捨てられるシングルユース・プラスチック包材を使用し、リサイクルされることなく廃棄されるため、それがプラスチック廃棄物を増加させる一因になっています。

この問題を解決するために“サリサイクル”では、各ストアの店主が顧客から回収したプラスチック包材を正しく分別し、リサイクルセンターに持ち込むことでエコ・ポイントを獲得できるインセンティブを与え、貯まったポイントは日用品との交換や光熱費に充当できる等の利点があります。また、目標金額を達成することで好きなAPC商品をもらえるなど、店主のモチベーションを維持できるようにしました。こうしてリサイクルセンターに集まったプラスチックは、リサイクルや正しく廃棄処理されることで、プラスチック廃棄物の軽減につながっています。

“サリサリ・ストア”は地元密着型で生活者の日常生活に浸透していることから、顧客にとってアクセシビリティがよいこともこのプログラムの利点です。“サリサイクル”を導入しているストアを利用することで、店主から顧客にまで広くリサイクル意識が広まることも、このシステムの目的です。

これからも生活者に寄り添い、よりよい地域社会の発展を願って

“サリサイクル”のサービス開始にあたり、2024年1月8日、人気DJのママ・エマ氏主催によるキックオフイベントが、ケソン市役所で開催されました。150名以上のサリサリ・ストア店主が参加したこのイベントには、APCからCEOの尾崎弘一をはじめ、BEST社からはイザベリタ・メルカド社長、ヤン・ヴィンセント・メルカド上級副社長が、またジョイ・ベルモンテ名誉ケソン市長が臨席し、新たなリサイクルシステムに取り組む店主の士気を高めることができました。現時点ではまだ、“サリサイクル”はケソン市で実験的に導入されたばかりですが、今後は徐々に導入する自治体を増やしていく予定です。

APCのサステナビリティ最高責任者であるアーニー・カルロスは、このプロジェクトについて、「サリサイクル・プログラムにより私たちはプラスチック廃棄物の削減と管理だけでなく、65 年以上にわたって私たちの大切なパートナーである消費者、そして地域社会そのものをサポートすることも目指しています」 と述べています。
APCはこれまで築いてきた現地との信頼関係を軸に、さまざまな側面で地域社会へ貢献していきたいと思っています。

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