社会とともに歩む味の素グループの取り組み

Along with society

インドネシア:人権尊重の取り組み

「うま味調味料」の原材料調達にかかわる人権デュー・ディリジェンス

グローバルに事業を展開する味の素グループでは、持続可能な原材料調達を重要視し、国際的な課題であるサプライチェーン上の人権問題に関して、国際スタンダードに基づき「人権デュー・ディリジェンス※1」を推進しています。
事業展開国の一つであるインドネシアでは、うま味調味料「味の素®」の主原料としてサトウキビを使用していますが、今回はサトウキビのサプライチェーンに着目し、農家や製糖工場など関わる人々との対話を行いました。

  • ※1自社の事業活動に関わる人々が強制労働や児童労働、危険な労働への従事などによる被害を受けるリスクを特定し、適切な対策を策定・実行するプロセス
味の素グループの人権デュー・ディリジェンスプロセス

サプライチェーンにおける人権侵害のリスク

原材料を調達し、製品を製造・販売、生活者が消費するというサプライチェーンの一連の流れでは、意図しないところで人権侵害が発生しているリスクがあります。2011年には企業活動における人権尊重のあり方に関して「ビジネスと人権に関する指導原則」が国連人権理事会で合意されているにもかかわらず、2020年には世界の児童労働人口が推計で1億6千万人いるとの報告があり、2000年以降では初めての増加となりました。また、2021年~2022年の報告では、世界の強制労働被害者が推計2760万人と増加の傾向を示していることも分かりました。※2
36の国と地域で事業を展開する味の素グループでは、「人権尊重に関するグループポリシー」※3「サプライヤー取引に関するグループポリシー/ガイドライン」にもとづき、人権に対し企業としての適切で継続的な取り組みを行う人権デュー・ディリジェンスをグローバルに推進しています。サプライチェーン上で人権侵害が発生しやすい国と重点5原料における評価の一環として、2019年にはタイにおいてエビ・鶏肉、2021年にはブラジルのコーヒー豆・サトウキビの調達に関するサプライチェーン上の関係者(ステークホルダー)との対話※4を実施しました。

インドネシアでサプライチェーン上の関係者と対話を実施

インドネシアは味の素社の創業の製品であるうま味調味料「味の素®」の主要生産国の一つで、主原料であるサトウキビの糖蜜はインドネシア国内から調達しています。2022年に実施した外部データを活用した「国別人権リスク評価」の結果、インドネシアのサトウキビ産業における人権リスクとして「児童労働」「強制労働」「労働安全衛生」などが特定されたため、2023年2月に渡航、対話を通じた人権リスクの点検・確認を行いました。味の素グループとしてインドネシア(サトウキビ)における人権評価は初めてであり、人権侵害といったデリケートな話題であることを踏まえ、糖蜜トレーダーや製糖会社、農村部の方々との信頼関係構築を意識しながら、リスクの点検・確認を進めました。※5

国際スタンダードに則り、対話を重視した味の素グループの取り組み

人権デュー・ディリジェンスを推進するうえで、味の素グループが重視しているのが対話です。
インドネシアでの調査対象は、糖蜜トレーダー、製糖会社、サトウキビ農家、サトウキビ農家組合、インドネシア味の素社現地社員など多岐にわたりますが、課題を共有・改善し、信頼できるよきパートナーとして共存・共栄していくために、国際スタンダードで求められている対話手法が有効であると考えるからです。
現地対話では、人権尊重に関する国際スタンダードや味の素グループの考えをお伝えし、共通認識をもつことを特に意識しました。その上で、“仕事上で困っていること”や“困った時の対応方法”について対話を実施、加えて関係者の職場や学校・病院などの生活環境を確認し、現地状況の把握に努めています。今回対話を実施したインドネシア(サトウキビ)のサプライチェーン上では重篤な課題は見当たりませんでしたが、1回対話を行って終わりではなく、継続して点検・確認を行っていきます。

現地法人
糖蜜トレーダー
サトウキビ農家
製糖会社・小農家組合

2030年に向けた人権課題への取り組み

味の素グループは、引き続き、国際スタンダードや味の素グループポリシー等に基づき、ステークホルダーとの直接対話を大事にしながら、人権に関する専門家と連携し、ビジネスに関わるバリューチェーン全体における全てのステークホルダー(全従業員、ビジネスパートナー、地域社会の人々、お客様等)の人権尊重に取り組んでいきます。