社会とともに歩む味の素グループの取り組み

Along with society

メディカルフード(北米・欧州等)

患者様の栄養ニーズと食べる楽しみを支えることで、QOL向上に貢献

味の素グループは、創業以来磨き続けてきたアミノサイエンス®を活かし、食と健康の課題解決だけではなく、その先にあるWell-beingへも貢献したいと考えています。
当社グループでは、健康寿命の延伸への貢献をありたい姿として掲げていますが、メディカルフードを通じた「患者様の健康」にも取り組んでいます。

メディカルフードとは

メディカルフードとは、何らかの疾患により通常の食事では賄えない栄養ニーズを持つ患者様の栄養摂取のためにつくられた食品を指します。
アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)では、以下のように定義されています。

1. 経腸で摂取される食品であり

2. 医療従事者(医者または管理栄養士)の監督・処方のもと

3. 医学的観点から特殊な栄養摂取の要求がある疾患や状態に対し設計され

4. 科学的根拠に基づいている

多くの場合、現代医学では根治できない病気と付き合っていく上で、各疾患特有の栄養ニーズを満たすことで患者様のQOL向上を目的としています。

メディカルフードの知見を持つ2社をグループ傘下に

味の素グループは、2017年に米国の医療食品会社Cambrooke Therapeutics, Inc.(キャンブルック社、現・味の素キャンブルック社)を完全子会社化したことで、米国のメディカルフード市場に参入しました。
キャンブルック社は、2000年にマサチューセッツ州で創業された会社です。創業者夫妻の二人の子どもは、先天性アミノ酸代謝異常症の一種であるフェニルケトン尿症を患っていました。この疾患は現代医学では根治する手段がなく、生涯にわたって低タンパク食と代謝できないアミノ酸を含まないタンパク摂取用メディカルフードによる食事療法が必要となります。もし食事療法がきちんと適用されないと、重度の精神発達障害が出現することがわかっています。
創業者夫妻は子どもたちにお腹いっぱい食事をしてほしいという願いから、フェニルケトン尿症向けの製品を手作りすることから始め、複数の難病向けの製品を製造・販売するに至りました。

先天性代謝異常向け製品
難治性てんかん向け製品(KetoVie)
ニュアルトラ社製品

また、2020年には、アイルランドのサプリメント会社Nualtra Limited(ニュアルトラ社)を子会社化しました。2012年に設立されたニュアルトラ社は、疾患による食事制限を受けていたり、加齢により栄養欠損に陥っている高齢者向けに、高エネルギー・高タンパク医療食品の一種である、オーラルニュートリションサプリメント(ONS)製品を開発し、英国とアイルランドで販売してきました。

栄養ニーズとおいしさを両立するメディカルフードを目指して

ヒトにとって食事とは、単なる栄養摂取のためだけにあるものではありません。おいしい食事や食卓でのコミュニケーションは楽しみにつながるものであり、それは疾患を持つ患者様にとっても変わりません。また、味や食感、形態が好ましいものであれば、摂取しやすく生活を彩るものにもなります。つまりメディカルフードは、患者様が疾患による特殊な栄養ニーズを満たしながらも、QOLを失わないためのパートナーともいえます。
キャンブルック社、ニュアルトラ社が培ってきた事業に、味の素グループが創業以来培ってきた「おいしさ設計技術」やアプリケーション技術、アミノ酸の生理機能に関する知見を組み合わせることで、患者様の多様なニーズに応えることができるものと考えています。既存の製品では患者様や医療関係者様のニーズを満たせていない疾患領域において、栄養ニーズを満たしながらおいしさを両立した製品を提供することで、これからも疾患とともに生きる患者様の健康に貢献していければと考えています。