社会とともに歩む味の素グループの取り組み

Along with society

学校給食プロジェクト(ベトナム)

日本の学校給食を応用し、子どもたちの栄養改善に取り組む

味の素グループでは、世界各国の子どもたちの栄養課題の解決に積極的に取り組んでいます。その一つが、ベトナムでの活動です。ベトナム味の素社は2012年より、ベトナムの行政機関とともに、日本の学校給食システムを応用した「学校給食プロジェクト」を開始しました。

ベトナムの子どもたちの栄養課題

ベトナムでは、農村部を中心に発育阻害や低体重の課題を抱える子どもが少なくありません。一方、都市部では肥満・過体重の子どもが増加しています。小学校の給食メニューは各学校の教員や調理スタッフに任されてはいますが、学校給食法がなく、学校に栄養士もいないため、健全な発育に役立つ給食が実施できているとはいえない状況でした。これらの課題を解決するためにベトナム味の素社が着目したのは、日本人ならなじみの深い、日本の学校給食のシステムです。

ベトナム味の素社の「学校給食プロジェクト」

2012年、ベトナム味の素社はベトナムの地方行政とともに、ホーチミン市で日本の学校給食システムを応用した「学校給食プロジェクト」を開始しました。

まずは、メニューブックや食育教材などの提供、そして給食運営と衛生管理を総合的に向上させるため、モデルキッチンを1校に設置。ここでベトナム味の素社が提案するメニューの給食をつくり、子どもたちに提供しました。この取り組みをベトナム全土の教育関係者に視察していただくことで、モデルキッチンの採用校を少しずつ増やしていこうとしたのです。

モデルキッチン

また、栄養バランスがとれた献立を作成できるソフトウェアを開発、Webサイト上で公開しました。これは、食材を入力すると献立が表示され、摂取できる栄養素の量を算出するものです。これを使えば、調理スタッフが栄養に関する知識がなくとも、栄養バランスのよい食事を子どもたちに提供することができます。その後、教育訓練省や保健省等の中央政府の協力を得て、2017 年度末までに2,910校に導入され、2018年5月には第2号のモデルキッチンを設置しました。

2023年3月時点で、学校給食プロジェクトの活動は62の自治体、4,262の小学校に広がっています。

開発した栄養バランスがとれた献立を作成できるソフトウェア
栄養バランスのとれた学校給食

課題の根本的解決を目指す栄養士の育成

ベトナムにおいて、子どもたちの栄養不足と肥満の問題が同時に起きている原因の一つに、栄養に対する正しい知識や経験が十分でないことが挙げられます。

そのため、正しい栄養情報を伝達できる人材を養成、活用することを目的に、2011年、ベトナム国立栄養研究所(NIN)と味の素社で「ベトナム栄養関連制度創設プロジェクト(Vietnam Nutrition-system Establishment Project)」を創設しました。

その成果として、2012年に教育訓練省が4年制の栄養学課程設置を承認し、翌年にはハノイ医科大学に栄養コースが開講。2017年には同国初の「栄養士」が43名誕生しました。

このベトナム栄養関連制度創設プロジェクトは、2017年4月に(公財)味の素ファンデーションへ移管。正しい栄養知識の普及に向けた制度の確立を目指して、現在も進められています。

VIDEO