キムチ
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“年に一度のビッグイベント、キムジャン”

キムチは、韓国人なら一日も欠かさずに食べるものです。ですから1年中漬けられますが、かつては新鮮な野菜が手に入らない冬のために、大量にキムチを漬けておく必要がありました。
この冬支度、つまり年に一度、大量にキムチを漬けることを「キムジャン」と言います。それぞれの家によって漬ける量に差がありますが、白菜を50〜100株ほど漬けるのが普通です。初冬の風物詩キムジャンは、家庭の大きな行事のひとつ。主婦たちは互いに手を貸しあい、共同作業で白菜を塩漬けにし、キムチの素となる具を用意し、漬けあがった白菜にはさんで大きな壺に詰めてゆきます。それぞれの家の庭に穴を掘るのは、男たちの仕事。この穴に壷を埋めて低温発酵させ、冬の間中キムチを楽しむのです。キムジャンの日はみんなが集まるお祭りのような日でもあり、作りたてのキムチで生かきとゆでた豚肉を包んだ「ポッサム」という料理を食べる慣わしもありました。 キムジャンではポピュラーな白菜キムチのほかにも、韓国特有のミニ大根をまるごと漬けこむ水キムチ「トンチミ」やチョンガッ大根(韓国でよく使われる小さな筒型のキムチ用大根)で作る「チョンガッキムチ」、わけぎで作る「パキムチ」など、何種類かのさまざまなキムチを漬け込みます。これらのキムチはそのままで、または新たな料理に姿を変えて、冬の間の貴重なビタミン源となるのです。

 
▲ソウルやソウル南の京畿道(ギョンギド)の代表的なキムチである「カクテキ」。   ▲東北山岳地帯の咸鏡道(ハムギョンド)のキムチである、大根の「トンチミ」。冷たくさっぱりした汁は、冷麺やクッス(汁麺)などのつゆとして使われたりもする。
 
▲海の幸がたっぷり入った海産物(ハムル)キムチ。   ▲一般的な白菜キムチも、地域によって使われる塩辛や材料が違う。

今では1年中いつでも新鮮な野菜が手に入るようになり、また昔のような大家族は少なくなったので、キムジャンをしない人たちも増えてきました。けれども現在でもキムジャンが、主婦たちの初冬の大イベントであり、頭を悩ませる大問題であることには変わりありません。キムジャンの季節になると、雑誌の記事やテレビの料理番組でさまざまなキムチのレシピが紹介されます。一度漬けたら長く味わうキムチだからこそ、よりおいしく漬ける方法を探し続ける主婦も多いのです。
それぞれの家によってキムチの味はさまざまです。どんな材料で漬けるか、どんな塩辛を使うか"副材料や調味料の割合によっても味がぜんぜん違ってきます。気温などの自然環境による違いも大きく、気候が寒い北部地域のキムチは汁気が多く、薄味の淡泊なものが中心です。気候が暖かくてすぐに発酵してしまう南部地域は、唐辛子や塩辛、塩を多目に入れる辛くてしょっぱいキムチが主流なのです。昔は各地域ごとに個性のある野菜や塩辛を使ったキムチが多くみられましたが、最近はそういった地方色も薄れつつあるようです。

 
▲有名人が指導する街頭キムチ講習会。   ▲多彩なキムチを集めた展示会。

 

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