味の素グループは、世界一のアミノ酸メーカーとして高品質のアミノ酸の独創的な製法・利用法の開発を通じて事業領域を拡大し、国内外で食品事業、アミノサイエンス事業を柱とした幅広い事業を展開しています。

■アミノ酸をベースとした事業拡大

アミノ酸とは

自然界には約500種類ものアミノ酸が発見されていますが、私たちのからだは、そのうち右表が示す20種 類のアミノ酸から成る約10万種類のたんぱく質から構成されています。その中で体内で合成されない9種類 のアミノ酸は食物として外部からの摂取に頼らなければならないという意味で、必須アミノ酸と呼ばれてい ます。アミノ酸の化学構造は右図の通りで、20種類の構造上の違いは-Rで示した部分の違いによります。ア ミノ酸はまた、反応性に富んだ-COOH(カルボキシル基)と-NH2(アミノ基)を含んでおり、これらの反 応性を活かして他の物質との結合により、さまざまな有用な誘導体を合成することができます。

アミノ酸およびアミノ酸誘導体の機能と利用

アミノ酸は動植物のたんぱく質の形で私たちの身の回りにたくさん存在し、人のからだにも環境にもやさ しい物質です。アミノ酸の持つ機能は主に、栄養機能、呈味機能、生理機能、反応性の4つに分類され、用 途は右図で示しています。アミノ酸関連事業の歴史はアミノ酸の持つ機能を見出し、用途を広げてきた歴史 と言えます。

アミノ酸関連事業を支える主要技術

アミノ酸関連の主要技術には、①発酵技術、②合成技術、③機能評価技術の3つがあります。

➀発酵技術とは、微生物を用いて糖からの発酵によりアミノ酸や核酸を生産する技術です。

味の素グループは、アミノ酸の大量生産技術では世界一の地位を確立しています。バイオ・ファイン研究 所とロシアの味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社(AGRI)において微生物の改良研究 を行い、一層の生産性向上に努めています。また、これらの改良された菌を、世界各国にある味の素グルー プの工場において生産に用いるために、生産プロセスの開発が必要となりますが、これはバイオ・ファイン 研究所やイノベーション研究所と、各国の工場に隣接する技術開発センターが協力して行っています。それ ぞれの地域で用いる異なった原料による生産や、大量培養した微生物から、目的とするアミノ酸や核酸を効 率的に精製抽出する技術が開発され、最終的に各国の工場に技術移管されます。これらの技術は、アミノ酸 や核酸の生産に長年携ってきた味の素グループならではのノウハウです。

②合成技術とは、発酵技術で生産されるアミノ酸や核酸をはじめとする種々の原料から、化学反応により ヘルスケア・ライフサポートに関わるさまざまな製品を生産する技術です。

味の素グループは、この合成技術を単独で活用するだけでなく、発酵技術や酵素技術と組み合わせたユ ニークな方法も開発し、他の追随を許さない技術力を持っています。これらの研究開発や具体的な製品の開 発・工業化はイノベーション研究所と食品研究所、バイオ・ファイン研究所が協力し、必要に応じて海外の 技術開発センターと連携しながら国内外の工場へ技術の導入を行っています。

③ 機能評価技術とは、アミノ酸、核酸やそれらの誘導体の栄養・生理機能などを評価し、その利用法を開 発する技術です。

味の素グループは、アミノ酸関連の栄養・生理機能に関する研究で世界をリードしています。また、国内 外の最先端の科学技術を有する研究者と協力して、アミノ酸の新機能・有用性を継続的に深耕し、事業化に 結びつけているほか、世界に向けてアミノ酸の有用性情報を発信しています。さらには、アミノ酸誘導体の 物性評価技術により、多くの化粧品や化成品の素材を生み出しています。

 

アミノ酸関連事業は、これら3つの主要技術のほか、世界最先端の分析技術に基づいた品質保証技術や安 全性評価技術に支えられ、他社に対し優位性を持って展開しています。

■アミノ酸関連事業を支える技術開発の発展