Vol.8栄養満点! 簡単野菜スープの作り方
●野菜は元気のサポーター
野菜は私たちの元気を支えてくれるサポーターです。野菜にはビタミン・ミネラル・食物繊維などの体の調子を整える栄養素に加え、健康効果のある成分も多く含まれているので、不足することがちょっとした体調不良につながりやすいと言われています。
健康でいるためには1日350gの野菜(※1)を食べることを推奨されているのですが、1日の野菜類摂取量の平均値は292.3g(※2)という調査結果が発表されています。あと少し足りないという感じですね。ちなみに、野菜350gの目安量は、両手いっぱいくらい。日々の食事でなんとかなりそうな量ではありますが、実際に毎日用意することを考えると、なかなか大変です。そこでおすすめしたいのが「スープ」です。
●スープなら野菜をたくさん摂れる!
スープを毎日の食事に取り入れるのメリットは大きく分けて3つあります。
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1. スープ1杯で豊富な種類の野菜を多く摂れる
ひとつの鍋に10種類以上もの野菜を入れても、味がきちんと成立するのがスープです。煮込むことで量が減って食べやすくなることはもちろん、野菜の種類が増えるほど味わい深く、うま味たっぷりのスープになります。自分の体調に合わせた野菜の組み合わせにしたり、雑穀を足して食事スープにしたり、肉や魚を加えてメインの食事にすることも可能です。 -
2. 流出しやすい水溶性のビタミン・ミネラルも摂取できる
栄養素には水に溶けやすい水溶性のものが多くあります。例えば、野菜に多く含まれるビタミンB群とビタミンCは、洗ったりゆでたりしただけで水に溶け出てしまいますが、スープなら煮汁ごと摂取するので、大切な栄養素を効率よく摂り入れることができます。 -
3. 固い細胞壁に守られているフィトケミカルも摂取できる
ポリフェノール、リコピン、アントシアニンなどのフィトケミカルは、固い細胞壁に守られているため、野菜を生で食べても胃腸で吸収されにくく、大部分が排出されてしまいます。そこで、野菜の細胞壁を壊して吸収しやすくしてあげることが重要です。すりつぶしてジュースにすることも可能ですが、コトコト煮込んでスープにすることが最も手軽です。
●ベーシックなスープを使えば、バリエーションも楽しめる!
スープは作り置きが可能なので、週末や夜など時間があるときに、具だくさんのベーシックなスープのまとめ作りをおすすめします。ベーシックスープは野菜だけで作れば、あとから別の野菜やハーブ、市販のルウ、肉、魚などを足して、応用スープを作ることができます。塩と野菜でコトコト煮込んだスープにトマトを足してミネストローネに。豚肉とキムチを足して豚キムチスープに。カレールゥを足してカレーに……と、同じ野菜しか使っていなくても、個性の強い食材を足してあげることで全く表情の違うスープになります。忙しいけど、野菜はしっかり食べたい人にはいいですね。
ベーシックスープは、野菜を食べやすい大きさに切って、たっぷりの水と少々の塩で、弱火でコトコト煮ましょう。ゆっくりと温めて栄養と旨みを引き出してあげれば、まろやかなスープに仕上がります。強火だと食材が崩れて焦げついてしまいます。野菜はできれば数種類用意してあげると、深みのある味になります。野菜の種類、分量、調味料などの組み合わせ次第で味が無限に広がるので、自分好みのものを見つけてみてくださいね!
●野菜たっぷり塩スープ(ベーシックスープ:10人分)
■ 材料
- 玉ねぎ 1個
- にんじん 1個
- じゃがいも 1個
- キャベツ 葉3枚
- れんこん 50g
- しめじ 1/2株
- にんにく 1片
- オリーブオイル 大さじ2
- 塩 小さじ1+調整用少々
- 水 1200ml
- きび砂糖 少々
■ 作り方
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1. 野菜を切る
にんにくは皮をむき、芯を取り除き、みじん切りにします。
玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、れんこんはそれぞれ皮をむき、3cm角くらいの大きさに切ります。
しめじは株元を切り落とし、ほぐします。
キャベツは1口大にちぎります。 -
2. にんにくを温める
大きめの鍋にオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火にかけます。オイルがプツプツして、にんにくがほんのり色づいてくるまで5分ほどかけて温めます。 -
3. 野菜を煮る
切った野菜を加え、全体に油がなじむようひと混ぜしたら、水と塩を加え強火にします。沸騰したら蓋をして、弱火で20分煮こみます。味を見て、塩気が足りないなら塩を、まろやかさが足りないようならきび砂糖を少々加えて、味の微調整をしてできあがりです。
アレンジ例1:
ミネストローネ(2人分)
■ 材料
- 野菜の塩スープ 600ml
- トマトの水煮 100g
- ベーコン 1枚
- 塩こしょう 調整用
■ 作り方
- 1. ベーコンを1mm幅に切ります。
- 2. 鍋にスープ、ベーコン、トマトの水煮を加え、温めます。沸騰したら味をみて、足りないようなら塩こしょうで調整します。
- 3. ミニパスタを加え、柔らかくなったところで、できあがりです。
アレンジ例2:
カレールゥを足してカレーに
■ 材料
- 野菜の塩スープ 600ml
- 鶏もも肉 100g
- カレールゥ 2個
■ 作り方
- 1. 鶏肉を食べやすい大きさに切り、フライパンに油を引き、両面に焼き目をつけます。
- 2. 鍋にスープを温め、沸騰したら鶏肉を加え、10分煮込みます。鶏肉に火が通ったら火を止め、カレールゥを溶かし、仕上げに弱火で5分煮込んで、できあがりです。
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(※1)1日に健康でいるために日本人が必要な野菜の摂取量
厚生労働省「健康日本21」より、栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21/kenkounippon21/mokuhyou05.html -
(※2)日本人の野菜の平均摂取量
厚生労働省 平成26年「国民健康・栄養調査」の結果
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000106405.html
All About「毎日の野菜・フルーツレシピ」ガイド 江戸野 陽子
2017年1月12日掲載