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「味の素®」 マガジン

Vol.2味噌汁の塩分を減らすには「だしのうま味」が重要だった!

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健康食として注目の和食は「塩分」がネック?

和食は世界から健康食と注目されていますが、問題とされているのは塩分が多くなりがちなことです。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」(厚生労働省)では、食塩の摂取量の目標値が、男性1日8g未満、女性7g未満。実際の食塩の平均摂取量は男性10.5g、女性8.9g(平成26年国民健康・栄養調査)で、この目標値は厳しい印象があるかもしれません。

日本人は塩分過剰?

世界基準のWHOでは5.0gを推奨し、まだまだ減塩する必要があるのです。

塩は、化学的には塩化ナトリウム。体内では、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムとして体液中に存在しています。ナトリウムは、カリウムとともに細胞内外の水分や体液のphを調節し、栄養の吸収を助け、神経の伝達、筋肉や心筋を弛緩させるなどの作用があり、生命維持には欠かせません。もしナトリウムが不足すると、倦怠感や脱水症状、筋肉の痛み、ひどい場合は昏睡状態になることもあります。しかし、通常の食事や生活でナトリウムが不足することは滅多にありません。

逆に、塩分を取りすぎることによるリスクもあります。最もよく知られているのが高血圧の関係でしょう。健康であれば余分な塩分は腎臓から尿中に排泄されますが、腎臓の働きが低下して十分に排泄されないと、体は水を溜め込み、血液量が増え、血管に圧力がかかり、高血圧につながりやすいと考えられています。
食事からの塩分が血圧にどの程度影響するかは個人差が大きいと考えられていますが、一般的には高血圧予防には減塩がすすめられています。

また、厚生労働省の多目的コホート研究より、塩分・塩蔵食品の多量摂取で、がん・循環器疾患の発生リスクが高まるという報告もあり、日頃から減塩を心がけることは健康維持のために必要不可欠なことだと言えるでしょう。

和食に欠かせないお味噌汁、塩分は本当に多い?

減塩においては「お味噌汁」は長年、悪者扱いされていましたが、味噌汁の摂取頻度と血圧の間に関係性は認められないことが発表されました。味噌汁1杯(150ml)を飲む時の塩分摂取量は1.2g~1.5g前後で、他の料理と比較しても、塩分はそれほど多いものではありませんでした。また味噌には、抗動脈硬化作用を持つ成分が含まれているという可能性も示唆されました。

味噌汁は問題なく健康に役立つものですが、作る際にお味噌を多く使えば、結局塩分を摂りすぎることになってしまいます。
お味噌汁をおいしさはそのままに、適塩にするコツをご紹介しましょう。

お味噌汁を美味しさそのままに「適塩」にするコツ

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お味噌汁などの汁物や煮物などは、うま味のしっかりとした出汁(だし)を使うと、味噌や塩、醤油の使用を控えても美味しく仕上がり、減塩に役立ちます。だしのうま味成分には幾つか種類があり、例えば昆布にはグルタミン酸、鰹節にはイノシン酸、干し椎茸にはグアニル酸が多く含まれます。これらの異なるうま味成分を合わせると、単独で使うよりもおいしさが何倍にも強くなることが知られています。鰹と昆布の合わせだしは、理にかなった使い方なのです。

また、うま味調味料を入れると、「うま味」がきいてだし感が増すので、減塩しても味がしっかりしておいしいお味噌汁に仕上がります。

「うま味」で減塩

ナトリウムは、同時にカリウムを摂取すると、体外に排泄されやすくなります。味噌汁の代表的な具といえば、野菜や芋類、わかめなどといったカリウムを多く含む食品です。減塩のためにも、ぜひ具だくさんに作るようにしましょう。

また、1日の食塩摂取量を8gとすると、1食に使えるのは2.3gですから、お味噌汁だけでなく、主菜や副菜のおかずも、減塩を心がけましょう。かけ醤油はだしやレモン、すだち、ゆず等の酸味を加える。料理にはニンニクやハーブなどを活用すると、塩分が少なくても、香りの効果でおいしく食べられます。

お味噌汁は、うま味をしっかりと感じることができ、具だくさんにするなど工夫すれば、一品でさまざまな栄養成分をとれる手軽な料理です。和食の良さが見直される中、ぜひお味噌汁も見直してくださいね。

(参考資料)

All About「食と健康」ガイド 南 恵子

2016年6月21日掲載

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