本人の個性に合わせ、隅々まで徹底的にサポート

渡辺研太トレーナーの仕事は、プロゴルファー今平選手が試合で活躍できるように身体のコンディションを整えること。サポートの中心であるトレーニングは、今平選手の状態に合わせて行います。「今平選手は、肩甲骨と股関節の可動域を重視しています。あとは本人の話を聞きながら、どういうものを求めているかに合わせてメニューを提供するようにしています」
強靭な体を作るにはトレーニングも重要。ですが、肉体を作る礎となる食事も当然疎かにできません。渡辺さんはトレーナーとして専門分野ではない、栄養補給などの面も可能な限りでサポートしています。
「体重を増やすために、このタイミングでプロテインやサプリを摂ろうと話すことはあります。また、今平選手は体質的にあまり汗をかけないので、水分補給が大切になります。ラウンド中は意識的にお茶を飲むようにしていますが、それだけでは栄養が不足するので、「アミノバイタル」を飲むことも提案しています。そういう形で足りない栄養素を補うようにしています」
トレーナーは、選手の体だけを気遣っていれば良いわけではありません。「体力面で選手に負けると説得力がなくなってしまうので、自分のトレーニングも週に1度は行い、体を鍛えるというノルマを課しています。同様の理由で、体調管理にも気を遣っています」。頼りがいのあるトレーナーであるために、自分の体を万全の状態でキープすることも、仕事の一つ。それが、渡辺トレーナーの選手を支える側として譲れないこだわりです。

2人で目指す1つの夢。一致団結して2020へ

渡辺さんが今平選手のトレー二ングを担当するようになって、2年半。出会った頃の今平選手について、「最初は体がとても硬かったですね。常に7割の力でゴルフをしていたようなものです。本来のポテンシャルはもっと高いので、ケアを学んだら、もっと伸びる。あんな天才中々いないですから、勿体ないと思いました」と振り返ります。
そして現在、今平選手に対して改めて思うのは、「サポートのしがいがある選手である」ということ。「今平選手は記憶力が良く、以前行ったトレーニングとその効果を覚えています。上を目指す選手はそこまで考えている。だからこそ、私もそこまで頑張らないといけないと思わせてくれる選手ですね。今平選手に一つ教えると、自分の中でかみ砕いて、こちらが伝えた以上のことを考えているので、自分も負けていられないと日々感じています」
本来サポートする側である渡辺トレーナーですが、プロとしての仕事をこなす一方、今平選手からもたくさんのことを学んでいます。今平選手を支えながらも、同時に支えられている。それは、ひとつの理想的な関係と言えるかもしれません。渡辺さんのトレーナーとしての目標も、今平選手の目指す場所と同じです。
「今平選手と2020東京に出たいというのが、今の私の目標です。世界ランキングで上位に居続けるには、試合は絶対に穴をあけることができません。そのために責任を持って、万全のコンディションを整えて、出場できるようなサポートがしたいと思っています」
今平選手の夢は、渡辺トレーナーの夢。試合中、プロゴルファーは孤独な戦いを強いられますが、陰ではトレーナーやキャディーなど様々なプロフェッショナルが選手を支えています。渡辺トレーナーも今平選手と共にお互いを高め合いながら、チーム一丸となって2020東京への道を進んでいきます。