スポーツの舞台裏に迫る『挑戦のそばに』

今回は2010年の加入以来、FC東京の最終ラインを長年支え続けているDF森重真人選手。今シーズン開幕から第12節まで無敗を続け、首位に立ったチームに“今年こそ優勝”と強い想いを重ねます。2年前に怪我をしてから、栄養管理やコンディショニングなど自分の身体と向き合う姿勢も変わったという森重選手。FC東京好調の理由から、長くトップパフォーマンスを続けるための考え方まで、話をお聞きしました。

選手それぞれの役割が明確になり、生まれた余裕

長谷川健太監督が就任して2年目、今シーズン目覚ましい躍進を見せ、J1序盤戦で首位を定位置としたFC東京。好調の要因をDF森重真人選手は、「皆のやるべきことが明確になったから」だと分析します。
「昨シーズン、長谷川健太監督の元でプレーして、出た課題がありました。それをみんなが意識しながら2年目を迎え、様々な状況を想定しながら意思統一をして戦えているのが結果につながっていると思います。攻撃でも守備でも課題はありますが、今年は昨年よりうまくいくイメージを持ちながら、入れているのが大きいと思います」
今年は特に、追いついて逆転するだけの力強さをチームから感じます。「いくつか要因はあると思いますけれど、それぞれ個人でやるべき仕事が明確になっているからこそ、自分達が先制しても失点したとしても、焦らなくなった。自分たちがやるべきことをやれば結果はついてくるということを、昨年から積み重ねているので、それが自信になっているのだと思います。そういう精神的な部分での強みが、試合展開に表れていると思いますね」。
プロの世界でも、メンタル面は大きく結果を左右する要素。生まれた心の余裕が、チームにとっても良い影響となって出ています。「90分通して試合を考えるというか、20分で失点しても残り70分あるわけですから、残り70分で逆転できるという心の余裕も、勝ちにつながっている理由のひとつだと思います」と、森重選手は語ります。

結果がわからなくても挑戦を続けることの大切さ

リーグ後半戦はチームの総合力が問われる戦いになります。森重選手も「最終的にタイトル獲得を最大の目標として戦っていますし、昨シーズンは夏場に失速してしまったので、調子を落とさないことが非常に重要になってきます」と、この夏をどうチームで戦うかが終盤のキーポイントと考えています。
「この夏の時期にコンディションを含めて怪我人などが出た時、代わりに入った選手が活躍できるかはすごく重要。その意味では全体的なチーム力も問われるので、この期間でどれだけ勝点を積み上げられるかが、最後の優勝に向けて最も大事なことだと思っています」。
ずっと好調を維持する、首位をキープするのは実際にどれだけ実力のあるチームでも難しい。森重選手自身もこれまでの経験から学び、優勝につなげていきたいと考えています。「どれが正解かはまだ分かりませんし、自分たちが考えていることをやってみてどうなるか、実際は分かりません。でも、それぞれ昨年の戦いから学んだことがある。逆に今自分たちが昨夏の経験を持っているからこそ、この夏場の結果がどうなるのかすごく楽しみでもあるので、ポジティブに捉えています」。
そして狙うのは、クラブ史上初のリーグ優勝。首位として前半戦を乗り切ったこのチームには、その資格があると森重選手は考えています。「それぞれの選手に特徴があり、すごく面白いチームになっていると思います。東京はまだリーグ優勝したことがないクラブ。だから、色々なことにチャレンジして優勝への道を見つけていかなければならない。昨年苦い思いをした分、“今年こそ”という思いは強いです」と、力強く語りました。