休息と食事の大切さを学んだ今シーズン。「どのタイミングで何を摂るか考える」

2018平昌での戦いから1年。注目されるプレッシャーや相手チームから追いかけられる難しさを感じながら、ロコ・ソラーレの選手たちはあることに気が付きました。
「以前はいくら練習を重ねても疲れなかったんです。もちろん今もフィジカルトレーニングはしていますが、試合後の疲れが抜けきらなくて、休むことの大切さを痛感するようになりました。つまり、“練習すればいい、というわけではない”ことに気が付いたんです」
そう言うのはオリジナルメンバーのひとりで、最年少の吉田夕梨花選手。その姉である吉田知那美選手も妹の言葉をつなぎます。
「私たちはカーリングという競技をシリアスにやっている分、“シリアスになりすぎていた”ところがありました。練習することで不安を取り除こうとして、結果的に身体や頭のバランスが崩れて、パフォーマンスが落ちることもあったんです。カナダ遠征のときはナショナルチームのJ.D.リンドコーチや、そのご家族の方々が私たちを休ませるために外に連れ出してくれるなど、カーリングから離れる時間を作って支えてくださいました。日本に戻ってからもそれぞれの家族がそうしたサポートをしてくれています」
周囲のサポートを受けながら、選手たちの意識は徐々に変わっていきました。それは休むことに限らず、食にも目を向けるようになったと言います。「実は今シーズン、食事の失敗から負けた試合もあるんです」と藤澤選手。そこから改めて食事の大切さを学んでいるところだと教えてくれました。
「今シーズンみんなで食事についての勉強会も開きました。私たちはたいてい試合が始まる3時間前に食事を摂るのですが、1日に2~3試合続くと食事をするタイミングがないんです。だけど1試合戦うためのエネルギーは摂らなければなりません。小柄な選手は1回で食べられる量も限られるので、試合をこなすための食事を、どのタイミングで何を摂るか考えなければいけないのです」
休息と食事—がむしゃらにやってきた2018平昌を経て、ロコ・ソラーレは新しいフェーズに突入したのです。

オフは何かを習得する時期「再集結したときのフィードバックが楽しみ」

脚光を浴びた大会から1年が経ち、2018-2019シーズンを終えたロコ・ソラーレ。1か月ほどのオフではしっかりリフレッシュして、来るべき2019-2020年に備えます。吉田知那美選手はオフ期間に仲間と離れる寂しさを認めつつ、その先にある変化に期待を寄せます。
「一度離れることによって、お互いの存在の大切さを再確認できます。オフはそれぞれが様々なことを学ぶ時間でもあるので、再集結したとき、何をチームにフィードバックするのか、楽しみにしています」
チームをまとめる本橋麻里代表理事もまた来シーズンに向けて、こう言及します。
「私自身は選手を休養させていただいて1年経ちますが、全日本選手権や世界での戦いを見て、みんなが年齢に合わせて成熟しているのを感じます。無駄な力が入ることなくプレーしている姿を見て、このチームの可能性はまだまだ大きいと感じました。来シーズンは多くの方々の応援をモチベーションに変えられるチームになっていければと考えています。そして、カーリングを楽しんでもらえるようなチームであり続けたいなと思います」。
ただ夢中でプレーしていた“青年期”を経て、休息や食事といったコンディショニングにも目を向ける。それによりロコ・ソラーレは“成熟期”のチームへと進化していきます。