スポーツの舞台裏に迫る『挑戦のそばに』

今回は女子カーリングチームのロコ・ソラーレのみなさん。2018年、平昌で一躍脚光を浴びた彼女たちはカーリング人気に火をつけました。その一方で今シーズンは、“注目されるプレッシャーを感じながら戦うことの難しさ”を実感したと言います。さらなる高みに向けて走り出したロコ・ソラーレのみなさんに、挑戦の日々を語ってもらいました。

“そだねー”“もぐもぐタイム”の反響。「カーリングを知ってくれる人が増えました」

「ロコ・ソラーレ」と聞いて、すぐに「カーリング」と結び付く人は、スポーツ通か彼女たちのファンでしょう。「ロコ・ソラーレ」は2018年に一般社団法人化されたカーリングチーム。以前は「LS北見」として数々の大会に出場し、2018平昌では日本のカーリングチームとして初めて準決勝へ進出。銅メダルに輝く快挙を達成しました。
それだけではなく、試合中に彼女たちがコミュニケーションとして使った言葉“そだねー”が2018年の「新語・流行語大賞」を受賞。ハーフタイムに間食を摂るシーンは“もぐもぐタイム”と称され、話題となりました。
結果と話題性。その両方が相まってロコ・ソラーレは、一躍注目の的となりました。2018平昌以前と以後との違いをオリジナルメンバーのひとり、鈴木夕湖選手はこう表現します。
「カーリングを知ってくださった方が、すごく増えたのが印象的でした。私たちのホームタウンである北見市常呂町のカーリング場までわざわざ見に来てくださる方もいらっしゃるくらいです」
常呂町は北見市の中心からやや離れた、オホーツク海沿岸に位置する街。女満別空港から車でも40分ほどかかる道のりを、歩いてきた方もいたそうです。それほどまでに彼女たちへ注がれる視線は、2018平昌を境に大きく変化したのです。

試行錯誤の連続。さらなる飛躍に向けてステップとなった今シーズン

注目は当然ながら、彼女たちのアスリートとしての側面に向けられます。なにしろ世界3位のチーム。周囲から「勝って当たり前」と思われるようになったとしてもおかしくありません。
カーリング競技は通常8月あたりから新しいシーズンが始まります。終わるのは翌年の5月ごろ。2018平昌以降のフィーバーぶりをヒシヒシと感じながら、選手として一時休養を宣言した本橋麻里代表理事のもと、「ロコ・ソラーレ」は2018-2019シーズンに臨みました。
「平昌が終わった後にミーティングをして、きっと周りから注目されてすごくプレッシャーのかかる年になるだろうから、チームで助け合っていこうと話していたんです。あらかじめみんなで準備していたので、そこはすごくよかったと思います」。
「勝って当たり前」と思われるプレッシャーを、チームの結束力で乗り越えたと明かすのは鈴木選手。
戦績に目を向ければ、新設されたワールドカップの第2レグ・アメリカ大会こそ優勝したものの、日本カーリング選手権大会は決勝で中部電力に敗戦。シーズン最終戦となったワールドカップのグランドファイナルも決勝に進めず、予選敗退となりました(通算成績4位)。それ以外にも、負けた試合がいくつもあります。不本意とも受け取られそうなシーズンですが、チームの司令塔ともいうべきスキップの藤澤五月選手は語ります。
「今シーズンは平昌からルールが若干変わったり、国内外のチームから追いかけられるシーズンだったので、私たち自身も様々な挑戦や試行錯誤を繰り返しました。結果的にあまりよくない大会もありましたが、結果以上に成長できた実感はあります」
さまざまな重圧を感じながら戦った経験は、選手やチームの大きな成長につながるもの。2018-2019シーズンはロコ・ソラーレにとって、さらなる飛躍に向けた一年となりました。