パッ(あずき)カルクッス
冬においしいクッス。ゆであずきを煮干しだしと一緒にひいてスープを作る。
雨がしとしとと降る季節...目に浮かぶのは豪華な晩餐でもなく、山海珍味でもない、アツアツの「カルクッス」。
さっぱりした煮干しだしにいろんな野菜を加えたカルクッスは、およそひと月も続くうんざりする梅雨を乗り越えるための料理でもあります。庶民的なメニューのひとつでもあるカルクッスは、サラリーマンの昼食メニューとしてもおなじみ。
一時は若鶏を一羽丸ごと使った「タッハンマリ(鶏一羽)カルクッス」や、「バジラッ(あさり)カルクッス」が流行ったこともありましたが、近頃は大きな手長だこを丸ごと一匹入れた「ナッチ(手長だこ)ハンマリ(一匹)カルクッス」に人気があります。
カルクッスは、それぞれの地方の個性が表れる食べものでもあります。農村地域では小さなズッキーニやじゃがいもなどを入れ、山間地方では煮干しスープをベースにして作ります。海岸地方ではあさりなどの海産物を入れますし、内陸では牛の脚骨を煮込んだスープに、ズッキーニのナムルと牛肉の具を入れます。南道地方では煮干しのスープにコチュカルを入れ、辛くして食べるのが特徴です。
どんなスープ、どんな材料を使うかによって、カルクッスにはたくさんのバラエティがあります。
一般的な麺料理は麺にスープを注いで食べますが、カルクッスの一番大きな特徴は“スープに麺を入れて煮る”ところにあります。
カルクッスは他の麺料理に比べて、麺がのびないように、コシのある仕上がりになるように、より注意を払う必要があります。カルクッスでは生地作りが最も重要なポイントなのです。生地が柔らかいと薄くのばすことができず、煮るときに麺がのびてしまいます。小麦粉と水の量は正確に計る必要があり、こねればこねるほど麺のコシが出るので、しっかりとこねなければなりません。麺棒でのばすときも、あまり薄いとすぐに破れてしまうので、ちょうどよい厚さに調節する必要があります。
一見面倒なようですが、小麦粉と水、塩の分量を忠実に守れば、誰でも簡単に作ることができます。さっそく作ってみましょう。