未来のTOPアスリート解体新書~選手のリアルな日常が知りたい!~
Vol.1 エリートアカデミー生のトレーニングに密着!

中学1年生~高校3年生の、TOPアスリートの卵たちが
共同生活を営んでいるエリートアカデミー。

ふだん見ることのできない彼らの日常を、
「トレーニング」「栄養と食事」「生活全般」という
3つの観点からご紹介します。

エリートアカデミーとは?
将来、国際競技大会で活躍できる選手を育てるための事業。
全国から選抜された子どもたちが親元を離れ、近隣の中学・高校に通いながら
味の素ナショナルトレーニングセンター(味トレ)に寄宿しています。
「考える力」を中核に据え、「競技力」はもちろん、「知的知能」「生活力」も
向上させていきます。対象は、中学1年から高校3年まで。
平成30年度は、レスリング8名、卓球8名、フェンシング4名、飛込み3名、ライフル射撃5名、
ボート4名、アーチェリー6名の計38名で、未来のメダリストを目指しています。
※2018年4月現在

2015年4月現在

練習風景レポート ~卓球編~

“国際競争力を身につけ、世界で戦う準備を行う”ことが、
味トレにおけるトレーニングの最大の目的。
そのために、生徒たちはどのような意識を持ち日々、取り組んでいるのでしょうか。
今回は「卓球」にフォーカスし、ある日の練習風景を徹底レポートします。

練習について教えてもらいました!

近藤欣司コーチ
エリートアカデミー(卓球)
男女ヘッドコーチ

石川梨良りら選手(高校2年生)
平成26年度全日本選手権【一般】
- 加藤美優選手とダブルスでベスト8
石川佳純選手の妹

加藤美優選手(中学3年生)
平成26年度全日本選手権【一般】
- 石川梨良選手とダブルスで
  ベスト8

平野美宇みう選手(中学2年生)
平成26年度全日本選手権【一般】
- 女子シングルスベスト8
平成26年度全日本選手権【ジュニア】
- 女子シングルス3位

ウォームアップ
学校が終わったあと、練習に入る前にウォームアップを30分。試合前は体力増強、寒い時期は体を温め代謝を上げるなど、コーチと目的や内容を設定します。

練習スタート! 30分間


近藤欣司コーチ
ゴムバンドを使って脚に負荷をかけたり、
ボールを使って偏平足を正したりと、卓球に不可欠な
下半身強化や体幹アップを意識して行います。
基本練習
苦手な技の克服や身につけたい技の修得など、自分でテーマを考え、部分練習をして体を慣らします。どんな環境でも力を発揮できるよう、国際大会で採用される複数メーカーの卓球台が揃っています。

まずは体を慣らします! 60分間


石川梨良選手
全日本大会での反省を踏まえて、今日はフォアハンドで
ストレートコースに打つ練習をしました。
パワー強化も狙っているので、それも意識しました。
課題練習①
選手の試合結果を考慮した上で、「失点を防ぐ」「点を取る」「相手に点を取らせる」といった具体的な課題をコーチが与え、10分×4コマなどと時間を区切って40分指導します。

40分間


加藤美優選手
今日の課題練習はフットワークの強化を狙って行いました。
細かく時間を区切ることで、
集中力が途切れずに練習できます。

ここで、必要な栄養素をタイミングよく補う「補食」タイム!

課題練習②
今日はよりゲームを意識し、得点につなげる強いサーブに特化した練習を30分。いかにスウィングを早くして相手にコースを読ませないかがポイント。

ここから後半戦! 30分間


石川梨良選手
強い選手はサーブが上手だとコーチに言われているので、
試合でサーブを活かせるよう、さらに磨きをかけることを
意識して取り組みました。
多球練習
ネットを使って面を半分にするなど、試合よりも負荷をかけた多球練習をひとり20分。自分たちでボールも拾い、交代で連打するので、かなりのスタミナを使います。

いよいよ追い込み! 35分間


加藤美優選手
20回入るまで!など、自分を追い込もうと思ったときは
かなりハードに打ち込んでいきます。
2~3分間やるだけでも息があがるほどです。
トレーニング
評価シート
メンタル面の強化を狙い導入されたのが「トレーニング評価シート」です。プレイに対する目標や、競技をしているとき、していないときの心理状態などを細かく数値化し、専門家が管理。定期的に面談し、競技や生活面の向上に活かしています。

メンタル面の管理も徹底!

忘れないように、練習後はすぐに記入します。
毎日書くことで、次の練習でどこに
気を付けるかなど、目的意識がより
明確になってきました。
トレーニング
週に2回、施設内のジムで筋力トレーニングを1時間。専門のコーチがレクチャーしながら、鍛えたい部位を意識したメニューをこなし、フィジカル強化を図ります。

60分間


石川梨良選手
パワーや脚の瞬発力をつけたくて、
この1年ほど意識的に筋力トレーニングをしています。
最近かなり体力がついてきたなと実感しています。

お疲れ様でした! ようやく練習終了! 「勝ち飯食堂」で夕食をいただきます!

スポーツを頑張るお子様を持つ親御さんへのアドバイス

「スポーツを通して子育てをする
気持ち」を大切に

近藤欽司コーチ/エリートアカデミー(卓球)男女ヘッドコーチ

競技だけでなく、人間力を鍛える
私が日頃から親御さんに言っているのは、「競技だけでなく人間力を鍛えなさい」ということです。学業、睡眠、栄養のバランスが取れていない選手は成功しません。それと、子どもたちには「常に人の心を読みなさい」と言っています。相手が今何を考え、どうしてほしいのかを想像する。これはすべての競技にも通じることだと思います。
子どもの意思を尊重し、他の子と比べない
また、小さい頃からスポーツをしている子が陥りがちなのが、「怒られるから練習をやる」という意識。やりたくないならその意思を尊重し、話をしながら一緒に目標を設定して「自分のための練習」ができるようにしましょう。そして、プロのコーチによる指導を受けているなら、基本的に親は見守るだけが一番です。心配や不安もあると思いますが、親自身も広い視野と教養を身に着けるほうが結果的に子どもにいい影響を与えます。何より、他の子と比べず、すぐに結果を期待しないこと。その子の個性を見つけて「スポーツを通して子育てをする気持ち」を大切にしましょう。

未来のTOPアスリート解体新書Vol.2 アスリートのカラダをつくる食事と栄養編

未来のTOPアスリート解体新書Vol.3 エリートアカデミー生のホンネ調査編