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高齢者の食事で気をつけたいポイント高齢者の食事で気をつけたいポイント

からだの変化を理解しよう

食事の偏りに注意しよう

高齢になるとあっさりした味付け、淡白な食材を好むなど嗜好(好きな食べ物)が変わることもあります。また、認知症の症状のひとつとしての嗜好の変化もあります。
一人暮らしの場合や、家族と同居していても日中は一人で過ごすときは、どうしても手軽に食べられるめん料理やお茶漬け、パンですませてしまいがちです。 基本は毎食、主食・主菜・副菜の料理をそろえて食事をすると栄養バランスが良くなります。

高齢者が食べやすい食品・食べにくい食品

高齢者の場合、食べやすい食品と食べにくい食品があり、どうしても栄養バランスが偏ってくる可能性があります。

食べやすい食品 食べにくい食品
めやす 食材・料理 内容 食材・料理
おかゆ状のもの
おかゆ状のもの
おかゆ、パンがゆ
硬い生野菜
硬い生野菜
きゅうり、千切キャベツ、レタス
乳化されたもの
乳化されたもの
ヨーグルト、飲むヨーグルト、アイスクリーム
繊維が残るもの
繊維が残るもの
ふき、ごぼう、たけのこ、セロリ、もやし、水菜、青菜の茎の部分、パインアップルなど
ポタージュ ポタージュスープ、シチュー、カレー スポンジ状 がんも、凍り豆腐、はんぺん
ネクター ピーチネクター、果物缶詰をミキサーにかけたもの、ピューレ 酸味の強いもの
酸味の強いもの
柑橘類、酢の物、酢みそ
とろろ すりおろしたとろろいも 弾力が強いもの パン、スパゲッティ、ラーメン、こんにゃく
ゼリー状
ゼリー状
ゼリー、水ようかん、煮こごり
噛みにくい(硬い)
(薄くてぺらぺらしたもの)
煎餅、厚みのある肉、りんご、梨、柿、フライなどの衣、薄切り肉、ハム、かまぼこ
プリン状
プリン状
プリン、ムース、卵豆腐、茶碗蒸し(具が無いもの)
パラパラとまとまりがない
ボソボソするもの
>パラパラとまとまりがない
こふき芋、蒸かし芋、そぼろ、焼き魚
チャーハン、ピラフ、お茶漬け
ミンチ状
ミンチ状
やわらかい肉団子、つみれ、つくね、ハンバーグ
喉につまりやすい、口の中に張り付く
ボソボソするもの 喉につまりやすい、口の中に張り付く
のり、わかめ、青菜などの葉、きなこ、こんにゃく、もち
    口の中でまとまりにくく、喉へ流れ込みやすい
口の中でまとまりにくく、喉へ流れ込みやすい
水、お茶、味噌汁、すまし汁

高齢者に不足しがちな栄養素

麺類が多くなるなど手軽な料理が増える、硬くて噛み切りにくい厚みのある肉類や硬い野菜などが敬遠されるなど、食事が偏ると以下の栄養素が不足しがちです。

  • たんぱく質
  • ビタミン
  • ミネラル
  • 食物繊維

また栄養素ではありませんが、水分不足になりやすい傾向もあります。

食べにくい食材を食べやすくする調理のポイント

噛みやすくする工夫
~噛む力、口の中でまとめる力を助ける~

  • 肉・野菜類・いも類は一口大の食べやすい大きさに切ります。
  • 噛み切りにくい肉は叩いたり、皮の部分や脂身は取り除くか切り目を入れます。
  • 野菜などは時間をかけて加熱し歯ぐきでつぶせるくらいにやわらかくします。また隠し包丁を入れると噛み切りやすくなります。
  • 野菜の皮はむき、トマトやナスの皮はむくか、切り目を入れます。
  • 葉野菜はやわらかい葉先を使用し、根菜などは繊維を断ち切るようにして切ります。
 

飲み込みやすくする工夫
~まとめたり飲み込む力を助ける~

  • 食材は煮崩れるくらいに加熱し、舌と上あごでつぶせるくらいにやわらかくします。また滑らかになるよう裏ごしたり、ミキサーにかける方法もあります。
  • 飲み込みを助けるために、片栗粉やコーンスターチ、ゼラチン、とろみ調整食品などを利用するのも一つの方法です。

口から食べることを大切にしよう。

当たり前のことのようにも思いますが、口から食べることは多くの利点があり、心身に良い影響をもたらします。

○視覚、嗅覚、味覚…など様々な感覚を使って、身体機能をフル活用して食べるため良い刺激になる
○食べ物を噛むと脳が活性化し、唾液も出やすくなることから、口腔内の衛生状態がよくなる
○胃腸の動きが活発になる

食事介助の方法

食事は毎日の生活で大きな楽しみとなり、食べることは生きる活力になります。食事の介助では誤嚥(食べ物が器官に入ること)に注意し安全に食事ができるように心がけましょう。

目が覚めているか意識状態をチェック

ぼーっとしていたり意識がはっきりしないときは誤嚥の危険が高まります。前もって声掛けをして目を覚ましたり、食事時間を決めて生活リズムを整えるなど工夫します。

正しい姿勢で食べてもらいましょう

食べにくい体勢だと食事に集中しにくくなったり、誤嚥を引き起こすもとになります。基本は、あごを引き気味にして前かがみの姿勢となります。

座って食べる場合
足が床につくようにし、安定させます。

ベッド上で食べる場合
首を少し前にまげて、背中と後頭部が直線にならないようにタオルやクッションを入れて安定させます。

90度座位 (自力摂食可能)
30度仰臥位 (介助者が介助する場合)

口腔内を良い状態に保ちましょう

歯が無く思うように食べられない、入れ歯が合わず痛みがあるなどの口腔トラブルを抱えていると、思うように食事がとれなくなります。また、唾液の減少に伴い歯周炎・歯肉炎を招き口腔内が不衛生になりやすいので、歯みがきなど口の中のメンテナンスは定期的に行いましょう。

環境を整えましょう

食事に集中できるように、テレビやラジオなどは消すようにします。暗い部屋だと手元や料理がわかりにくいので、部屋の中は適度な明るさにしましょう。

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