豆知識
その1 塩の役割
食塩は、調味料として、また、食品の保存性を高めるうえで重要なものです。しかも、食塩は人体生理的に不可欠なもので、塩なしではヒトは生きることができません。 塩は天然に、岩塩や海水、汽水の3つの形で存在していますが、日本では海水から塩を製造しています。海外では、岩塩からつくられているものも海水からつくられているものもあり、その製法もさまざまです。 調味料としての食塩は、塩味付加としての役割のほかにいろいろな用途、目的で使われています。それを列挙してみましょう。


(1)
防腐作用(いろいろな塩蔵品)
(2)
蛋白質の熱凝固を促進する(焼き魚、焼き肉など)
(3)
浸透圧により食品の水分を抽出する(漬物、酢の物)
(4)
ポリフェノールオキシターゼ(酸化酵素)の作用をおさえ、褐変を防ぐ(りんごの褐変など)
(5)
クロロフィル(葉緑素)の退色を防ぐ(青菜の茹でものなど)
(6)
小麦粉のグルテンの形成を促進する(パン、めん類など)
(7)
粘質物(ぬめり)を除去する(さといもなど)
(8)
魚肉すり身の弾力性を増す(練り製品、蒲鉾など)
(9)
氷に入れて水の氷点を下げる(家庭用のアイスクリームの製造など)
(10)
ビタミンCの酸化を遅らせる(ジュースなど)
(11)
グロブリン系の蛋白質の溶解性を高める
(12)
人体体液の補給に欠かせない
 
 


などいろいろな役割をもっています。
食塩の水溶液を食塩だけの味で口に入れたとき、もっとも適当と感じる濃度は、約0.8〜1.1%程度のもので、吸い物をはじめとした汁ものはこの濃度になるように味付けされています。 人体の体液濃度がナトリウムとして約0.9%であるため体液とのなじみがよい濃度といえます。しかし、運動して汗をかいた後と汗をかかないで塩味をみると、汗をかいて塩分が少なくなっている状態では塩分の要求が高いため0.9%ではうすく感じ、濃くしないと塩味が効いた感じがしません。そのため、汗をかきやすい夏場は塩分が濃く、汗をかかない冬場はやや薄めで料理の味を調節する等、工夫をするとよいでしょう。

※汽水:海水と淡水との混合によって生じた低塩分の海水。

参考:食品加工の生理学<連載19>塩の利用 八藤 眞(FLI食と生活情報センター所長)
その2 塩にまつわる言葉
 

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