社会とともに歩む味の素グループの取り組み

Along with society

マレーシア:人権尊重の取り組み

パーム油調達にかかわる人権デュー・ディリジェンス

味の素グループは34の国・地域で事業活動を行っており、原材料の調達から製造、販売に至る事業活動全体において、農、畜、水産資源等の自然資本に大きく依存しています。持続的な原材料調達を行うため、多様なステークホルダーと連携のもと、気候変動をはじめ、生物多様性、人権等多方面のリスク低減に取り組んでいます。

サプライチェーンにおける人権侵害のリスク

味の素グループでは、食品から化成品まで幅広く、原材料のひとつとしてパーム油を採用しています。パーム油は以前から、サプライチェーン上の児童労働や強制労働などの人権リスクが指摘されている産品です。当社グループの主要調達国であるマレーシアも事前のデスクトップ調査の結果、「適正賃金」「労働安全衛生」「現代奴隷」などの人権侵害のリスクが懸念されていました。当社グループ製品のサプライチェーン上でも人権侵害が発生するリスクは存在し、その予防・是正をするために、2024年1月、現地サプライチェーン上のステークホルダーとの対話を通じた人権リスクの点検を行いました。

多岐にわたるサプライチェーン上のステークホルダーとの対話を実施

味の素グループが、人権デュー・ディリジェンスを推進するうえで重視しているのが対話です。課題を共有・改善し、信頼できるよきパートナーとして共存・共栄していくために、国際スタンダードで求められている対話手法が有効であると考えるからです。
今回訪問し、対話した現地ステークホルダーは、パーム椰子農園での農園主や収穫する外国人労働者、精製工場、積地・港湾関係企業、農家組合、そしてパームオイル認証協議会、パーム油庁、連邦土地開発庁等の関係機関など、多岐にわたっています。対話を通じて、マレーシアではパーム油サプライチェーンの健全化を目指し、政府とパーム油産業に携わるステークホルダーが協働した仕組み作りを国を挙げて進めていることなどが分かりました。

パーム椰子農家
MPOCC(マレーシアパームオイル認証評議会)
収穫したパーム椰子の房

国際スタンダードを踏まえたステークホルダーとの積極的な対話を継続

今回の調査時点では、訪問先に深刻な人権侵害リスク事例は確認されず、また当社グループがパーム油調達の基準としているRSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil/持続可能なパーム油のための円卓会議」および、マレーシア政府が国を挙げてと普及を進めているMSPO(Malaysian Sustainable Palm Oil/持続可能なマレーシアのパーム油)などの認証システムが機能不全を起こしている状況は確認できませんでした。
今回の人権リスク確認と点検については、ASSC(一般社団法人The Global Alliance for Sustainable Supply Chain)が、2024年3月に報告書を作成。同報告書は以下の当社ホームページで開示し、この詳細からも明らかにされています。

当社グループでは今後も、国際スタンダードを踏まえ、現地サプライヤーとの対話を積極的に行い、人権侵害リスクを低減する努力を続け、よりよいサプライチェーンの構築に尽力していきたいと思います。

パーム椰子収穫の様子