サステナビリティ担当役員メッセージ

ネガティブインパクトの削減とポジティブインパクトの創出
~持続可能な成長に向けて~
当社グループは、「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」ことを志(パーパス)として、ASV経営の根幹にサステナビリティを位置付けています。2030年へのロードマップでは、当社グループにとって重要な事項(マテリアリティ)である6つの重要テーマに沿って、取り組みを進めています。
2030年まで5年となった今、事業活動を通じて、ネガティブインパクトを着実に削減するだけでなく、強みであるアミノサイエンス®を活かし、多様なステークホルダーと共に、社会へポジティブなインパクトを創出する技術やノウハウ、製品やサービスを展開します。これらのアプローチを通じて、健全な社会の繁栄、健康でより豊かな暮らしに向けて継続的に取り組み、また企業価値の持続的な向上を目指します。
課題をシステムでとらえ、グローバル・ローカルで協働する
2024年は観測史上最も暑い年となり、産業革命以前からの平均気温上昇は1.5度を上回りました。各地で洪水、山火事などの災害が起こり、私たちの生活や経済に甚大な影響を与えています。
豊かな地球環境と健全な社会を次世代に受け継ぐことは私たちの責務であり、持続可能な事業活動にとって不可欠です。中でも気候の安定化は喫緊のテーマです。そのためにも、ネイチャーポジティブ、すなわち自然の損失を止め、回復軌道に乗せることが求められています。このほかにもサーキュラーエコノミー、栄養バランスのとれた食生活、人権など、様々な課題は相互につながっており、同時に取り組んでいくことが必要です。当社グループは強みを活かし、科学者、政策決定者、ビジネスリーダー等のグローバル・ローカルのステークホルダーと協働することで、より大きな結果を出すことを目指しています。2024年からは、WBCSD(World
Business Council for Sustainable Development)にも加盟し、活動をさらに推進していきます。
アグリフードシステムの変革を目指して
当社グループの調達の7割は農畜水産物であり、自然に大きく依存しています。アグリフードシステムは、GHG総排出量の2割超を占め、エネルギー産業に次ぐ大きな排出源であり、地球環境に大きく影響を与えると共にその変化も大きく受けています。また、世界では食料の3分の1が廃棄されており、人口の3分の1にあたる28億人が健康的な食へのアクセスを持ちません。不健康な食生活による疾患を含む、アグリフードシステムの「隠れたコスト」は、世界のGDPの約1割に上ると報告されています。
このようにアグリフードシステムには変革すべきことが多く、ビジネスや雇用の多様な機会があります。当社グループは発酵副産物を肥料・飼料とするバイオサイクルに取り組み、栄養素を循環させることで農畜産物の生産を支援し、地域環境や農家の生活向上に尽力してきました。近年はこれらの活動をもとに、農畜産業の変革に貢献する事業を展開しています。
当社グループは、110年を超える歴史の中で、世界各地の食文化やおいしさに妥協することなく、栄養バランスの良い食事をサポートしてきました。近年では、調理や食事を共にすることが、主観的なWell-beingと関係することも明らかになっています。これからも、アミノサイエンス®をベースとして有形・無形の資産を活用しながら、様々なステークホルダー、パートナーの皆様と共に課題解決に取り組んでまいります。
2025年5月
執行役
サステナビリティ担当
小野 郁