野菜、食べてますか?健康と野菜摂取量の関係

健康維持のためには、栄養バランスの整った食事をとることが大切であり、特に野菜の摂取は重要とされています。野菜がなぜ健康にいいとされるのか、その働きについてご紹介します。

野菜とは?

野菜とは、農林水産省の定義では「食用に供し得る草本性の植物で、加工の程度の低いまま副食物として利用されるもの」とされています。果実類等は栽培方法、栄養面など、視点によって変わり、農林水産省の統計分類では、すいか、メロン及びいちごは、栽培方法が苗を植えて1年で収穫する点で一般的な野菜と同じため、野菜としての取扱いとなっています。

一方で、総務省の家計調査や厚生労働省が発表する「健康日本21」の野菜の定義においては、食生活的観点からいちご、メロン及びすいかは、果実類に分類されています。
また、ほうれん草・にんじん・かぼちゃなどの「緑黄色野菜」は、一般には、緑色や黄色・赤色などの色の濃い野菜と思われていますが、「原則として可食部100g当たりカロテン(カロチン)含量が600マイクログラム(μg)以上の野菜」という基準が厚生労働省により決められています。
ただし、トマト・ピーマンなどは、可食部100g中のカロテン含有量が実際には600マイクログラム未満であるものの、食べる回数や量が多いため、緑黄色野菜として分類されます。

緑黄色野菜・単色野菜の仕分け図

野菜を食べると健康になる!?

1日に必要な野菜はどのくらい?

厚生労働省健康日本21(第二次)では、栄養・食生活の目標項目のひとつに野菜の摂取量が設定されており、「1日350g以上」が推奨されています。
この350gに含まれるのは、文部科学省の出している日本食品標準成分表の分類を基礎としており、「緑黄色野菜」「その他の野菜」「野菜ジュース」「漬物」が含まれ、いも類及びきのこ類は、野菜類とは別区分としてカウントされません。

2019年「国民健康・栄養調査」の結果では、野菜摂取量の平均値は、男性288.3g、女性273.6gとなっており、現状目標を達成できていません。

野菜の摂取量 目標と現状の差

野菜を食べると病気の予防につながる?

野菜には、カリウム、食物繊維、ビタミンなどが含まれており、循環器疾患やがんの予防に役立つと考えられていますが、これらの栄養素を、通常の食事から摂取しようとすると、1日当たり350~400gの野菜摂取が必要と推定されます。
野菜に含まれるビタミンB群は、代謝に必要な栄養素で、炭水化物・たんぱく質・脂質がエネルギーに変わる手助けをしてくれるなど、身体の機能が正常に働くための重要な役割を果たします。またカリウムは、余分なナトリウム(食塩)を身体の外に排出する手助けをしてくれて、高血圧の予防にもなります。

特に緑黄色野菜に含まれるカロテンには体内の活性酸素を減らす抗酸化作用があります。β-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されるので「プロビタミンA」とも呼ばれています。緑黄色野菜にはカロテン類だけではなく、ビタミンCも豊富に含まれ、ほかにビタミンK・葉酸・ミネラルなども多く含んでいます。

野菜摂取量が健康に影響する研究結果も?

野菜の摂取にはがんなどの予防効果があると言われてきましたが、最近はそれを裏付ける研究論文も発表されています。
英国を拠点する科学雑誌の出版社・BioMed Central(BMC)に公表されている論文(※1)によると、野菜の摂取が、日本人の将来の障害調整生存年数(DALY)にどう影響するか、予測した研究結果が報告されています。研究報告によると、野菜の消費量の増加が、日本のがん、心血管疾患、糖尿病性腎臓病の負担を大幅に減少させることを示唆しています。

障害調整生存年数(DALY)とは?
障害調整生存年数(DALY)は、「疾病による障害で健康ではない期間」、「早死により失われた期間」を合わせた指標です。集団の健康状態を評価する指標として採用されています。

野菜の摂取目標1日350g以上を目指す取り組み「ラブベジ®」

ラブベジ®とは、「野菜をもっととろうよ!」をスローガンに、厚生労働省健康日本21(第二次)が推奨する、「野菜の摂取目標1日350g以上」の実践を応援する味の素株式会社のプロジェクトです。
旬の野菜をふんだんに使い、”調理”で野菜の魅力や栄養素を引き出した野菜がおいしいレシピ・献立で、野菜に興味を持ち、好きになることで、たくさん野菜を摂取できることを目指しています。時短調理や使い切りにも工夫をしています。
メニューに困ったときなど、ぜひご活用ください。
「ラブベジ®」野菜をおいしく食べよう♪|スペシャルコンテンツ|【味の素パーク】たべる楽しさを、もっと。 (ajinomoto.co.jp)

まとめ

健康維持のための食事では、栄養バランスを整えることが大切ですが、そのためには野菜を1日350g以上とることがすすめられます。いつもの食事に少しでも野菜を追加することを意識づけてみましょう。日本各地には、その土地ならではの野菜もあり、食べたことがない野菜を試してみると、おもしろい発見があるかもしれません。ぜひ、楽しみながらチャレンジしてみてください。

※1

Tanaka, S., Yoneoka, D., Ishizuka, A. et al. Projections of disability-adjusted life years for major diseases due to a change in vegetable intake in 2017–2040 in Japan(日本における2017年から2040年の野菜摂取量の変化による主要な疾患の障害調整生存年の予測). BMC Public Health 21, 770 (2021).