ステークホルダーエンゲージメント

味の素グループは、事業活動を行う上で、多様なステークホルダーと関わりを持つと共に、社会や地球環境の様々な資本を活用しています。自社の利益を追求するだけでなく、あらゆるステークホルダーと創出価値を共有しながら、社会や地球環境のサステナビリティに対する責任を果たすためには、各ステークホルダーが何に関心を持ち、当社グループに何を期待しているかを理解し、分析して事業活動につなげる必要があります。このため、各ステークホルダーと双方向のコミュニケーションを通じたエンゲージメントを、当社グループの経営において重要かつ不可欠なものと位置付けています。

お客様・生活者

味の素グループは、製品・サービスを届けることを通じて、世界に暮らす一人ひとりの健康なこころとからだへの貢献を目指しています。生活者の多様な嗜好やニーズを捉え、それに応える価値提供を行います。

お客様から製品のお問い合わせを受け付けるお客様相談窓口では、一つひとつのご意見やお問い合わせに対して真摯に耳を傾け、内容を分析し、事業部門と課題や改善方法を協議、検討しています。また、当社グループのWEB サイト、工場見学、イベント等を通じて食にまつわる様々な体験や情報を提供しています。

株主・投資家

味の素グループの経営と事業に期待を寄せていただいている株主・投資家の皆様に対しては、サステナブルな企業価値の向上と、その実現を通して安定的・継続的に株主還元を拡充していくことを目指しています。

株主総会、機関投資家・アナリストを対象とした決算説明会・IR Day・事業説明会、機関投資家との対話、個人投資家向け会社説明会等、当社グループへの理解を深めていただくためのイベントを開催すると共に、適時・適切な情報開示に努めています。

イベントや直接対話でいただいたご意見・ご質問に対しては、その場で回答を行うと共に、当社グループへの理解を深めていただくためのコンテンツとしてWEB サイトでもQ&A を含めた各種説明会の動画等を公開しています。

取引先

味の素グループは、取引先を共に成長を目指すビジネスパートナーとして捉え、法令・ルールを順守し、公正で透明な取引を行っています。

「調達に関するグループポリシー」「サプライヤー取引に関するグループポリシー」に基づき日々の調達活動・営業活動を実施すると共に、調達方針説明会・監査等を通じて、取引先に対する期待事項を共有し、ご理解・ご協力をいただいています。

また、サプライヤーとの対話を通じて環境に配慮した包装資材を採用する等、製品の改善を行っています。

従業員

味の素グループが事業を通じて社会に貢献し、会社として成長するためには、一人ひとりの従業員の活躍が不可欠です。

従業員の成長を支え、ダイバーシティ&インクルージョンを促進する組織風土作りと個々のキャリアに必要な各種の能力開発・研修の機会を設けるほか、CEO および事業本部長・コーポレート本部長と従業員との直接対話、AGP 職場検討会、グローバルに従業員をつなぐSNS 型プラットフォームを通じて、経営に対する理解を促進すると共に、従業員の声を経営に伝達しています。

また、経営と従業員との労使協議会等の対話を通じて、労働安全衛生や給与・福利厚生等の労働環境について相互理解を深めています。

通報や相談は、ホットラインや社内外のハラスメント窓口に加え、障がい者・LGBT の相談窓口を設け、プライバシー保護のもと適切な対応を行っています。

地域社会

グローバルに事業を展開する味の素グループは、それぞれの地域の皆様とコミュニケーションを図り、関係構築に努めています。

それぞれの地域での当社グループの事業展開、提供している製品・サービスが異なることから、地域の皆様のニーズも多岐にわたります。このため、現地に根ざしたコミュニケーションを重視しています。さらに、現地の政府・自治体とも密接にコミュニケーションを図り、地域に存在する健康・栄養課題を把握し、その解決に向けた取り組みを進めてきました。工場の近隣住民との対話や地域のイベントへの参加・協賛にも積極的に取り組み、自然災害等が発生した際には被災地に対する復興支援活動を行っています。

新型コロナウイルスの感染が拡大して以降は、影響を受けた各地の家庭・飲食店や医療機関等の施設に対する支援も行いました。

社外有識者/ NPO・NGO /業界団体等

社会課題に対する理解を深めるために、各分野で実績のある社外有識者、NPO・NGO、業界団体等と対話・議論を重ね、具体的な行動に反映しています。

グローバルの活動としては、当社グループに対して「栄養不良の二重負荷に対する取り組みを強化してほしい」といった期待が寄せられていることから、GAIN※1やATNF※2等、国際的な団体とのエンゲージメントを重ね、地域協働のエコシステム等を通じて栄養改善の具体的な活動に落とし込んでいます。

また日本では、ドライバー不足や独自の商慣習により、食品物流の持続可能性が危ぶまれる中、関係者との対話を通じて課題を抽出し、外装サイズの標準化やデータ化など業務の効率化や物流従事者の労働環境改善等、スマート物流の実現に業界団体を巻き込み、行政とも連携して取り組んでいます。

※1 Global Alliance for Improved Nutrition。2002年に国連主導で発足した栄養改善のNGO

※2 Access to Nutrition Foundation。食品・飲料メーカーの栄養改善活動のランキング「ATNI(Access to Nutrition Index)」をとりまとめている団体