社会とともに歩む味の素グループの取り組み

Along with society

環境課題への取り組み(ブラジル)

アミノ酸の活用でGHG排出軽減、コーヒー農家支援

2023年で設立50周年を迎えた味の素AGF社。その主力商品であるコーヒーの原料となるコーヒー豆の輸入国のひとつであるブラジルでは、バイオサイクルを構築しながら、環境課題の解決に向けたコーヒー栽培に取り組んでいます。

広大な農園でのコーヒー栽培における環境課題とは

味の素AGF社では、コーヒー豆をブラジル、コロンビア、ベトナム、インドネシア等の国々から輸入しています。各国の農園と密接に信頼関係を築きながら企業活動を行っていますが、そのひとつがブラジルにある「バウ農園」です。

福田ファミリーを中心に運営しているバウ農園は、ブラジルでも有数の大農園で、その敷地面積はのべ1,910ha(東京ドーム約406個分)、栽培面積は1,164ha(東京ドーム約248個分)にもおよびます。
コーヒー豆の一大生産国であるブラジルでは、良質のコーヒー豆を育てるための肥料の研究が進んでおり、季節やコーヒーの木の生育状態によって使い分ける等、非常に進化しています。その一方、ブラジルのコーヒー栽培では、化石燃料を原料にした化学肥料由来による温室効果ガス(GHG)の排出が、深刻な環境課題となっています。特にバウ農園のような広大な農地においては、その影響が懸念されています。

バウ農園での収穫の様子
コーヒーチェリー(3〜4月頃完熟)
コーヒーフラワー(9〜10月開花)

コプロでコーヒー農園を支援。環境課題の解決へ

味の素グループは、それぞれの地域で入手しやすい農作物を主原料として発酵法でアミノ酸を生産しており、アミノ酸抽出後の栄養豊富な副産物(コプロ)を肥料や飼料としてほぼ100%活用しています。味の素AGF社では、この循環型アミノ酸発酵プロセスによるGHGの排出削減に貢献する「バイオサイクル」を構築しながら、コーヒー農園が抱える環境課題に対し、コプロによる支援に取り組んでいます。

2017年からは、バウ農園およびブラジル味の素社と協働でコプロ製品の一つである有機質肥料「AJIFOL®」を活用したコーヒー栽培を始めています。コーヒーは、日照時間や天候に左右されやすく、また苗木を植えてから収穫まで3~5年かかる繊細な農産物ですが、「AJIFOL®」を使った栽培では、収穫量、品質ともに、化学肥料を使用した場合と遜色ない良質なコーヒー栽培を実現しています。また、コプロの使用により、GHGの排出量も軽減されることが分かりました。

「AJIFOL®」散布の様子
「AJIFOL®」を散布したコーヒー

「2050年問題」に向けて、持続可能なコーヒー栽培を

コーヒー栽培は、2050年問題という大きな世界的課題に直面しています。コーヒーは、“コーヒーベルト”と呼ばれる赤道をはさんで北緯25度~南緯25度の間の熱帯・亜熱帯エリアで生産され、ブラジルやベトナムをはじめとするコーヒー生産国はすべて、このコーヒーベルト上に点在しています。しかし、地球温暖化の影響による気候変動で、2050年までにコーヒーの栽培地が約50%減少するといわれています。味の素AGF社では、将来的に懸念されるコーヒー栽培の課題に向けて、コプロの活用でGHG排出量の削減とともに、持続可能な農業の支援、生産量の確保を目指しています。そのためにバウ農園をはじめとし、ベトナム等東南アジア圏での協働にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

コーヒーベルト
収穫の様子