マテリアリティ

味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)の特定プロセス

味の素グループでは、2050年を見据えたマクロ環境の変化を踏まえ、ASV を通じた短中長期の価値創造能力に実質的な影響を及ぼす重要な事項(マテリアリティ)を特定しています。
マテリアリティから機会・リスクを抽出し、重要度・優先度を明確にして、事業活動を展開しています。

マテリアリティ関係図

味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)は、味の素グループが長期にわたり持続的に社会価値と経済価値を共創し続けるための重要な事項です。
下の図は、長期視点で企業価値を上げていくための重要な事項とそのつながりを整理した「マテリアリティ関係図」です。
アミノサイエンス®の力や可能性(Scientific Possibilities)と、人・社会・地球のWell-beingに貢献するストーリーの力(Story of Well-being)を結び付けてこのサイクルを回すことで、サステナブルに成長していくという考え方を示しています。❶共創力を磨き、❷生活者視点をもって❸Well-beingを実現し、事業活動を通じて、❹共創された価値を還元していきます。
そしてこれらをつなぐ環は、インフィニティ(永遠)を象徴しており、からをつなげて回し続けることで、サステナブルに社会価値と経済価値を共創し続けるという意味を込めています。

味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)

味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ:12の要件とその解説)
重要な事項
(マテリアリティ:12の要件)
解説
1.1
変革能力
フードシステムの質や、レジリエンス、サステナビリティを高めるイノベーションを促進する、「アミノサイエンス®」(バイオサイエンスを含む)の深化と応用。
1.2
透明性・客観性
社会・環境課題のソリューション推進に不可欠なガバナンス体制を進化させ、社会価値・経済価値の創出を評価・測定するためのスタンダードづくりに積極的に参画する。
1.3
共同力
グローバルな知のプラットフォームに組み込まれた地域の資産、資源を効率的に活用できる誠実なプラットフォーマーとして、地域社会の長期的な発展を総合的(ホリスティック)に促進。
2.1
ホリスティック&インクルーシブ視点
個人それぞれの主観的ウェルビーイングを向上するための、生活者視点を起点とするR&D 能力の向上。
2.2
地域コミュニティー視点
現地の文化や価値観への理解と尊重に基づき、地域の権利を尊重し、権益を促進するような食製品、生産の推進。
2.3
未来世代の視点
将来の人口動態におけるライフステージ課題を理解し、長期的な健康に対する意識を高め、栄養をベースとしたソリューションを通じて、より良いライフスタイルに貢献する。
3.1
ヒューマン・ウェルビーイング
短期的・長期的な事業活動を通じた、権利としてのヒューマンウェルビーイングの推進・支援。
3.2
コミュニティー・ウェルビーイング
ライフとワークの両面において、個人がやりがいと充実感を得られるよう、個人のウェルビーイングを促進・支援する。
3.3
地球のウェルビーイング
地球全体のサステナビリティが確保できる食の入手可能性、アクセス、利用を促進する。
4.1
健幸寿命
現在および将来世代が、トレードオフや妥協に陥らず、自身の健康的なライフスタイルを表現し、共創し、実現できるようにエンパワーする。
4.2
コー・ウェルビーイング
地域、資源、能力の違いに関わらず、人々のウェルビーイングを促進するような価値を創造・共有するバリューチェーンにより、サステナブルなビジネスモデルを創造する。
4.3
ソリューションによる価値創造
事業のコアコンピタンスを活用し、リジェネラティブ(再生可能)なフードシステムおよび社会を実現する広がりのあるソリューションを共創する。
味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に関わるリスクと機会
主要なリスクと機会 (リスク 機会) 関連するマテリアリティ要件
No.1
アミノサイエンス®
  • 味の素グループの強みであるアミノサイエンス®を活かした事業成長の機会、および市場におけるモダリティの進化を先取りしアミノサイエンス®で貢献する機会
  • アミノサイエンス®だけでは市場におけるモダリティの進化に対応し切れないリスク
1.1
No.2
ブランド
  • MSGや甘味料に関するネガティブ情報が拡散され、コーポレートブランドが棄損されるリスク
  • 地域に根付く強いブランド力を活かした事業成長の機会
1.2
No.3
人財
  • 人財の需給imbalanceにより、イノベーションや事業活動に必要な人財が確保できないというリスク
  • 当社の志に共感して集う人財が、“ 多様性”と“ 挑戦”にフォーカスした積極的な人財投資のもと、共創価値をスケールするという機会
1.1 2.1 3.1 3.2 4.3
No.4
非財務データの収集・定量化
  • 技術革新により、従来測定・分析できなかった非財務データの収集が可能になり、機会を評価できる定量化メソッド開発へと貢献し、効果的なスタンダード作りと展開に参加しやすくなるという機会
  • 社会価値の評価・測定の水準(社会要請)の高まりに対応が遅れ、事業機会を逃すリスク
1.2
No.5
SDGsネイティブ世代の台頭、SNS普及、未来志向
  • 若者に見放され事業成長が抑制されるリスクや「おいしさ」が食の重要な要素ではなくなるリスク
  • フードシステム上に存在する他企業・機関とのサステナブルなソリューション共創の機運が高まり、リジェネラティブなフードシステム実現のためのエコシステム構築が容易になるという機会
2.3 3.3 4.3
No.6
気候変動、資源枯渇
  • 気候変動の環境影響や動物資源枯渇課題(プロテインクライシス等)の顕在化により地球全体のサステナビリティが確保できなくなり、原材料の調達ならびに生活者への食の提供、事業継続が困難になるというリスク、およびリジェネラティブなフードシステムの実現が困難になるというリスク
1.3 3.1 3.3 4.1 4.3
No.7
技術革新(フード・農業・環境・デジタル分野)
  • リジェネラティブなフードシステムを実現するソリューションの選択肢の幅が広がるという機会、高栄養価の農作物など健康的なライフスタイルに資する技術が普及するという機会、またデジタル化やAI技術導入により広範囲にバリューチェーンを形成しやすくなるという機会
  • 食を取り巻くテクノロジーの進化(調理自動化、培養肉など)への対応遅れが事業成長を抑制したり事業機会を損失するリスク
1.2 2.3 3.2 3.3 4.1 4.2 4.3
No.8
サステナビリティ消費・習慣
  • サステナビリティ消費・習慣の一般化により、サステナビリティに関する取り組みが経済価値に転嫁できず投資・コストを吸収できないリスクや日々進化を続けるサステナビリティやグリーン化に係る技術が先行し、地域によって生活者や社会の受容性に遅れが生じるリスク
1.1 2.1 2.2 3.1 3.2 3.3 4.3
No.9
人口増加、途上国への資本流入
  • 世界人口増加や公的機関による途上国への資本の流入の促進により健康・栄養をベースにしたソリューションの需要が高まるという機会やヘルスケア市場が大きく拡大する機会、新興国も含めたソリューション共創が促進される機会
2.3 4.1 4.2 4.3
No.10
法規制
  • 法規制の整備や一部地域で再生可能エネルギーの選択肢を選べず事業継続が困難となるリスク
  • フードシステムのレジリエンス向上に関連する法規制に適切に対応することで生まれる事業機会
1.1 1.3 3.1 3.3 4.2
No.11
ガバナンス
  • コンプライアンス違反や品質・安全管理の不備等により基盤リスクマネジメントが疎かになることによる事業継続リスク
  • 当社らしい安全・品質・環境マネジメント活動の継続によりステークホルダーからの信頼が蓄積されることで生まれる機会
1.2 2.2 3.1
No.12
パンデミック、紛争
  • パンデミックやウクライナ侵攻等に伴う物資の不足によりイノベーションの推進や事業活動が困難となるリスク、および紛争・貿易戦争等により国をまたぐ情報共有が制限され、全社および事業戦略の浸透や開発が滞るリスク
1.1 1.3 2.2 3.1 3.2 4.1 4.2 4.3
No.13
テロリズム・クーデター
  • テロリズム・クーデターにより現地幹部・駐在員が拘束されるリスクや特定国の事業活動が継続できなくなるリスク
1.1 1.3 2.2 4.2
No.14
ITセキュリティ、知的財産
  • ナレッジマネジメントの不備や急速な技術革新により戦略・重要機密などが漏洩・紛失されるリスクやサイバー犯罪のターゲットとなりセキュリティが脆弱化するリスク
  • グローバル視点での知的財産ポートフォリオの構築をはじめとする知的財産戦略の強化により、さらなる競争優位性と事業成長を後押しする機会
1.1 1.2
味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に関わる主要な取り組みとKPI

(表はクリックで拡大)