プラスチック廃棄物削減に対する味の素グループの取り組み

「プラスチック廃棄物ゼロ化」へ

味の素グループはプラスチックの優れた性能を生かしつつ、
使用量削減、リサイクル可能な素材への転換、回収・分別・リサイクルの
仕組みづくりなどで環境問題に取り組みます。

プラスチック問題が環境に及ぼす3つの影響

  • 地球温暖化

    プラスチックの製造過程やゴミとして焼却される際に大量の温室効果ガスを排出するため、気候変動への影響が懸念されています。

  • 資源の枯渇

    プラスチックの原料である化石燃料は限られた資源です。生産量が増えるほど資源枯渇のリスクが高まります。

  • 海洋汚染

    自然環境に流出したプラスチック廃棄物は分解に数百年かかるともいわれており、生物による誤飲などの他、マイクロプラスチックとなって食物連鎖に取り込まれるなど、生態系への影響も懸念されています。

これらの解決策として、使用量削減、プラスチックの回収・リサイクルが求められています。

味の素グループが目指すのは「有効利用されずに環境に流出するプラスチック・ゼロ」

なにかと問題視されるプラスチック。
でも実は、食品の品質と安全性を保つためには欠かせない優れものなのです。
プラスチックを悪者にするか、資源にするかはわたしたち次第。
環境への流出を抑え、適切にリサイクルすれば、資源として有効活用し続けられる。
だから、単にプラスチック・ゼロではなく「有効利用されずに環境に流出するプラスチック・ゼロ」へ。
味の素グループは、使用量削減、リサイクル可能な素材への転換、リサイクルの仕組みの
実装化といった「資源循環の仕組み」を構築することで、経済活動と環境保全の両立を目指します。

表彰事例

JAPAN PACKAGING
CONTEST 2023

「ほんだし®」のスタンディングパウチ紙パッケージが包装部門賞「食品包装部門賞」を受賞。
横にまっすぐ開封しやすいよう、パウチ上部にミシン目を付与。裏面にぬりえをデザインするなど、紙ならではの遊び心も評価されました。スティック・パウチ合わせてプラスチック使用量を約32%軽減しています。

参画団体

味の素グループは、環境への取り組みをリードする団体への参画により、循環型社会の実現に貢献します。

FAQ

プラスチックゴミは世界にどれくらい存在しているの?

プラスチックの生産量増大に伴い、その廃棄量も増えており、2020年時点で63億tがゴミとして廃棄されたといわれています。このペースが続けば、2050年までに250億tのプラスチック廃棄物が発生し、120億t以上のプラスチックが埋立・自然投棄されるだろうと予測されています。

出典:環境省 https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r02/html/hj20010103.html

日本はどれくらいプラスチックゴミを出しているの?

2021年を例に挙げると、日本の廃プラスチック総排出量は824万tでした。2014年以降、プラスチック廃棄物の排出量は減少傾向にあります。

出典:プラスチック循環利用協会 https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf

なぜパッケージにプラスチックを使用するの?

パッケージは食品を守り、製品の品質と安全性を保つために重要な役割を果たしています。そしてプラスチックは「安価」、「軽い」、「形を変えやすい」、「製品の保存性を高め、品質や安全性を守るための機能を加えやすい」など、いくつもの特長をあわせ持つ、理想的なパッケージ資材です。
味の素グループでは、こうしたプラスチックの特長をパッケージに生かし、製品の品質と安全性を確保するために必要最小限のプラスチックを使用しています。また、プラスチックを使用するパッケージはリサイクルしやすいよう工夫し、使用後のプラスチック回収・リサイクルを支援することを目指しています。

世界ではプラスチック廃棄物問題にどう対応しているの?

欧州では、欧州委員会が2018年1月にプラスチック戦略を発表。2030年までに全てのプラスチック容器包装をコスト効果的にリユース・リサイクル可能とすることや、企業による再生材利用、シングルユースプラスチックの削減の方向性などを盛り込んでいます。また、2019年3月に欧州議会は、食器等のワンウェイプラスチック製品を2021年までに禁止する規制案を可決しました。
アジアでは、2017年7月、中国政府が「固体廃棄物輸入管理制度改革実施案」を発表しました。2019年末までに国内資源で代替可能な固体廃棄物の輸入を段階的に停止するため、2017年末までに生活由来の廃プラスチックなどの輸入を禁止することが示されました。この影響により、タイ、ベトナム、マレーシアなどの東南アジア諸国への輸出量が短期間で大幅に増大。同国内にプラスチックゴミが滞留し、プラスチックゴミの輸入に制限をかける国が出てきました。
2022年2月から3月にかけて開催された国連環境総会においては、海洋環境等におけるプラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた政府間交渉委員会を立ち上げる決議が採択されました。
また2023年4月、日本が議長国として、G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合を開催しました。その中で、プラスチック汚染を終わらせることにコミットするとともに、2040年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心を掲げています。

出典:環境省 https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r02/html/hj20010103.html

日常生活の中でプラスチック廃棄物問題に取り組むにはどうすればいいの?

「使い捨てプラスチック製品を使う機会を減らす」「リサイクル可能な製品を選ぶ」「再利用可能なアイテムを使用する」といったことが重要です。
また、「廃棄物は分別することにより、ゴミから『資源』になる」と意識して、地域の分別ルールに従い、適切な洗浄と分別を行うとよいでしょう。地域のクリーンアップ活動への参加や、環境にやさしい生活を心がけることも効果的です。

プラスチック廃棄物による生物や環境への被害はどれくらい出ているの?

生物への被害では、世界中で死んだ海鳥や魚の胃の中から誤って食べたプラスチックが見つかっています。また、海中のゴミとなった網やカゴなどの漁具が、海の生物に危害を加えることもあるといわれます。「2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超える」という予測もあります。
環境への被害は具体的にはなっていませんが、マイクロプラスチックには有害物質が含まれることがあるため、これが食物連鎖に取り込まれることで生態系に影響を及ぼすのではないかといわれています。

出典:環境省 https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r02/html/hj20010103.html

今、「地球温暖化」はどのような状況にあるの?

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第六次報告によると、工業化が進む以前の時代から現在にかけて、世界の平均気温は1.09度上昇しています。これは、今までに人類が経験したことのない速さといっていいものです。

出典:文部科学省 気象庁 https://www.mext.go.jp/content/20230531-mxt_kankyou-100000543_9.pdf

味の素グループのパッケージに使われているプラスチックの量は?

味の素グループがパッケージに利用しているプラスチックの使用量は、年間約69千万t(2022年度)です。

味の素グループならではのプラスチック廃棄物への取り組みは?

包材メーカーと技術開発を行い「品質を保ちつつ、リサイクルしやすい」包材の開発を進めています。また、包材の改良だけで品質を保つのが難しい製品は、中身の配合も含めて改良を検討することで品質を保ち、リサイクルしやすい包材への転換を目指しています。

どうやってプラスチック使用量を削減しているの?

包材やトレーをコンパクトにすることや、容器の強度を保ちつつ厚みを薄くする「薄肉化」、包装済みのものを包んでまとめる「二次包装」の削減、紙包材への切り替えなど、さまざまな工夫を行っています。これにより、2022年度は年間約800tのプラスチック使用量削減が進みました。

プラスチックをリサイクルする仕組みづくりをどう支援していくの?

プラスチックごみ問題への取り組みは、産官民の連携が重要です。味の素グループは、まず日本国内で業種を超えて連携を強め、イノベーションを加速するためのプラットフォーム「CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)」 に、設立メンバー企業として参画しています。また各国・地域においても各種プラットフォームへの参画を進め、プラスチックをリサイクルする仕組みづくりに貢献できるよう、検討を重ねています。例えば、インドネシアではスラバヤ市やスタートアップ企業と連携し、プラスチック回収に取り組んでいます。

リサイクルが難しいプラスチックはどうするの?

包材メーカーなどと協力して製品の品質や安全性を守ることができる「リサイクルしやすい」プラスチック包材の開発を進めています。またプラスチック以外の包材の使用や品質が保持されやすい製品の配合も検討しています。

「プラスチック包材を紙に換える」のは本当に環境にやさしいの?

プラスチックの原料は「限られた資源」である化石燃料。紙の原料は、森林を管理することで「再生可能な資源」である木材です。木材は成長過程で二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化の一因である二酸化炭素を減らすのにも役立ちます。
また、紙は他の多くの包装材料と比べてリサイクルしやすく、製造やリサイクルに使うエネルギーも比較的少量で済むケースが多い素材です。仮に自然環境へ流出しても、海洋汚染などの環境問題を引き起こすプラスチックと違い、紙は比較的短期間で分解されるため、一般的には「紙包材は環境にやさしい」と考えていいでしょう。
もちろん紙も、扱い方によっては環境へ大きく影響を与えることがあります。私たちは製品ライフサイクル全体での環境への影響を考慮して、包材の置き換えを検討していきます。

紙パッケージ開発で大変だったのはどんなこと?

プラスチックと比べて、紙には次のような弱点があります。
・「力がかかる」ことに弱く、破れたり穴が空いたりしやすい
・シワができやすい
・開封するとき、手だけでまっすぐ切るのが難しい
・プラスチック用に作られた既存の設備との相性がよくない
このような弱点を克服して、プラスチックと同等の品質を実現できるようにするのは特に大変でした。包材サプライヤーや包装工場と協力し合い、さまざまな面から工夫を凝らした包材設計を行いました。

リサイクルしやすい包材「モノマテリアル」とは?

一般的なフィルムパッケージは、それぞれ役割を持った複数の素材(マルチマテリアル)で構成されています。これを単一の素材(モノマテリアル)で構成されたパッケージに置き換えると、各素材を分離する必要がないため、リサイクルしやすくなるとされています。
なお、リサイクルを妨げない一部のバリア素材などは、モノマテリアルと併せて使われます。バリア性を備えたモノマテリアル包材の開発には、イノベーションが必要となりますが、より理想的なリサイクルの実現に向けて、取り組みが進められています。

リサイクルしやすいプラスチック包材は、どのような手順で開発されるの?

味の素グループでは「リサイクルしやすい包材」として、モノマテリアル(単一素材)や紙などを選定しています。どちらを選択するかは、商品の特徴や素材などの性質によって決められています。
プラスチックを使うモノマテリアルの包材を開発する際は、まずは包材が持つ商品の保護機能を損なわないよう、包材の強度や、酸素・水蒸気などの通しにくさ(ガスバリア性)を十分確保できる素材を探していきます。次に「包装の開けやすさ」など使っていただく上で問題がないかや、包装工場で安定的に生産できるかを検討し、実際に製造テストをして確認します。
一般的なフィルムパッケージは、それぞれ役割を持ったマルチマテリアル(複合素材)で構成されていますが、そのためにリサイクルしにくいとされています。これと同じ性能をモノマテリアルで実現することはとても難しく、創意工夫が求められます。

プラスチックは悪いもの?ゼロにしなくてはならないものなの?

プラスチックを悪者にするか、資源にするかはわたしたち次第です。
確かに、プラスチック廃棄物の環境への流出や燃焼による気候変動の加速、生物多様性の損失は、事業存続のリスクに直結する重要課題です。しかし、味の素グループにとってプラスチックは、製品の安全性や品質保持、ひいてはフードロス削減に必要な素材でもあります。そしてプラスチックは環境への流出を抑え、適切にリサイクルすれば、資源として有効活用し続けられます。
味の素グループは、使用量削減、リサイクル可能な素材への転換、リサイクルの仕組みの実装化といった「資源循環の仕組み」を構築することで、経済活動と環境保護の両立を目指します。