食生活の改善から。より演技に集中できる環境づくり

北京2022冬季オリンピックでの女子シングルス銅メダルをはじめ、全日本選手権5回優勝、世界選手権3連覇と、日本フィギュア界でトップを走り続けてきた坂本花織選手。演技時間を全力で滑りきる体力、そしてウエイトコントロールも必要となるフィギュアスケートにおいて、栄養管理は勝利を左右する一因にもなります。坂本選手にとっても毎日のコンディショニングは、さらに強くなるための鍵となっています。

フィギュアスケートは体力勝負のスポーツ。ショートは2分40秒(±10秒)で、ジャンプやスピンなどの要素が7つ。フリーは4分(±10秒)で、12個の要素を組み合わせて自由に構成することができ、その合計得点で順位を競います。指先までこだわった振付けには集中力、仮にジャンプに失敗した場合はリカバリーなど考えながら演技を進める判断力。そこには持久力と瞬発力の両方が求められます。

そのベースとなる強いカラダをつくるために欠かせない食事。坂本選手の食に対する考え方は、コンディショニングサポートを受けるようになり大きく変わってきました。

「高校生から大学生のはじめまでは、ダイエットや減量目的でご飯を減らしたり、欠食することが多くありました。20歳を過ぎてからは好きなものを食べて、量はその時で変えるようなアバウトな感覚でした。そうすると、シーズンが始まってから体調を崩すなど、課題がたくさん出てきて。実際にアドバイスを聞くと『この食生活ではそうなってしまうんだな』と新たな発見があり、少しずつ意識が変わってきました」

エネルギーを生み出すためには、基になる「燃料」が必要。それを知り、今では食べる量と栄養バランスを考えた食事を心がけています。大好きな白米は食べる量を増やし、その分、甘いものや余分な脂質は減らしたり。スーパーで買い物をするときも、色の濃い野菜を選ぶようになり食生活は大きく改善されました。

「アミノバイタル®は練習前後に、タイミングと目的に応じて飲んでいます。曲かけ練習もこれまでは、ショートとフリー1回ずつやるだけで『もうこれ以上できません』という感じでした。でも今は、何回も曲かけ練習ができるぐらい全力を出し切れるようになった気がします。今では、食事と同じように欠かさず飲む習慣がつきました」

摂取するものを見直すことで、彼女はより演技に集中できる環境を手にできたのです。

決心は自分に喝を入れるためにも言葉にする

世界選手権やグランプリファイナルなど数々の激闘を制してきた坂本選手。彼女にとっても冬季オリンピックは特別な大会ですが、過去2大会では胃腸炎になるなど、ピークを合わせる難しさを体験しました。

「オリンピックは4年に1度。そこでどれだけ自分の最大限の力を発揮できるかは、毎年行われる世界選手権などの大会以上に求められます。そのため、コンディションもメンタルもここ一番の状態を持ってこないといけない。それは過去2回経験して感じたことです」

次のミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックは、競技者として最後のオリンピックになると公言している坂本選手。「団体・個人ともに銀メダル以上を獲得する」と、揺るぎない目標を掲げています。

「目指すところまで行きたいけど、自分がまだそこに辿り着ける状態ではないときは、敢えてメディアなどではっきり目標を言葉にしています。『自分で言ったんだから、ここまで持っていかないといけない』そうやって、喝を入れます。今回の決心も自分に喝を入れるために、そうしました」

「最後とは言いつつその感じがなくて、いつも通りのシーズン前です。常に先生に『やれー』って怒られながら、一所懸命な毎日です(笑)。多分、そのまま本番を迎えそうなので、最終目標に向けて精一杯頑張りたいと思います」

集大成に向けて「今を必死に生きている」と話す坂本選手。一片の後悔も残さないために。そのラストチャレンジの日々は続いていきます。