コンディショニングを意識し始めた理由

2021年、僅か18歳で陸上10000m日本歴代2位(当時)の記録を打ち立て、女子陸上界のニューヒロインとして注目を浴びた不破聖衣来選手。
翌年は怪我などにより長期離脱。世界選手権への挑戦も諦めました。
しかし、地道なリハビリや周囲からのサポートによって復帰を果たした彼女は、インカレ10000mで優勝、全日本大学女子駅伝では区間賞と活躍。
再び世界を目指し、走り出しています。
中学・高校から実力派ランナーとして評価されてきた不破選手。
特に大学に入ってからは、ベストパフォーマンスを発揮するためコンディショニングを意識し始めたと言います。
それは入学して間もなく感じた、“カラダの変化”がきっかけでした。

環境が変わって気付いた食事の重要

大学に入学してすぐ、不破選手は貧血で思うような走りができなくなりました。
「急に走れなくなったと思っていたら、貧血だったんです。練習でも普段なら余裕でこなせるような練習についていけなくなり、カラダの異変を感じました」
環境の変化に加えて、食事を自分で作らなければならなくなり、不安に感じることもあった大学生活。
そんな中で彼女は、周囲のサポートに助けられることになります。
「栄養面で普段お世話になっている方に血液検査の結果を見てもらって、『食事での摂取エネルギーが足りていない』と言われました。それで、こういうものを食べた方がいいとか、改善点をアドバイスをしてもらいましたね」
貧血になって食事指導を受けてから、コンディショニングに対する考えも変わりました。
「やっぱり食べる量はすごく大事と気付いたので、まずはしっかり量を食べるようにしています。一食だけ多いとかなら食べられますが、それが毎食だったので、はじめは割と辛かったですね。でも継続すると食べられるようになって、今はあまり苦ではなくなりました」と、食生活の変化を語ります。
高校時代に先生から勧められて飲んでいるアミノバイタルも、今では強い味方となりました。
「必ず練習後にすぐ飲んでいますし、補食としてゼリードリンクなども活用しています。アミノバイタルを飲んで練習が終わる感じなので、自分の中ではトレーニングのルーティンに欠かせない存在ですね」

一つひとつの大会を経験して強くなりたい

今はまず、ベストコンディションに戻すのが第一優先。度重なるケガを経て、休養やリカバリーの大切さも学びました。
「今まで“休むことは良くない”という捉え方をしていましたが、怪我をしてからは“きちんと休むことがすごく大事”だと本当に実感しました。今までもわかってはいたけど、実際はちゃんと休んでいなかった部分があったので、しっかり休めるようになったなと思います」
そのうえで狙うのは、10000mでの世界大会出場。
現在の陸上女子長距離界は、多くのスター選手がひしめく激戦区。彼女たちライバルが持つ記録も、超えていかなければいけません。
「他の選手の走りは映像などで見ていますが、一緒に走ったりする機会はまだありません。そういう選手たちにも勝たないと、自分の目標である『世界で戦う』には届かないとは思っています。過度に意識をするわけではなく、今後戦って勝っていきたい存在ですね。この1~2年では10000mの日本記録更新を目標にしたいと思っています」
そして目指すは2年後、大学在学中に迎える2024パリです。
「一番大きな目標、自分にとっての挑戦はパリ大会への出場になります。その前には世界選手権にも出場して、一つひとつの大会を経験しながら、最終的にパリ大会で走れるぐらい強くなりたい。将来はマラソンに挑戦したいと考えていますが、まずは10000mで、支えてくださっている方々に結果で恩返しがしたいと思っています」
悔しさを糧に一歩ずつ上ってきた階段。
その階段は、いずれ世界へと繋がり、多くの人に支えられながら不破選手は、未来へと羽ばたいていきます。