本番を迎える学生アスリートのための
スポーツメンタルQ&A

メンタルはトレーニングよりも取り組みが難しく、多くの悩みを抱えている方も多くいるでしょう。では、どうすれば試合で全力を発揮できるメンタルをつくることができるのでしょうか? 本番直前になって起こり得るメンタルの課題とその解消法についてQ&A形式で紹介します。
Q.試合を意識しすぎて緊張しています。
どうすればいいですか?
A.実力以上のものを出そうと背伸びしないこと

すべての緊張がダメなわけではありません。適度な緊張は、集中力が高まりパフォーマンスの向上につながります。良くないなのは「過緊張の状態」になることです。緊張には自律神経のバランスが関係しており、普段は活動を司る「交感神経」とリラックスを司る「副交感神経」が適度なバランスで働いていますが、不安を感じると交感神経が過剰に優位になって過緊張を引き起こします。過緊張を防ぐには、まずは実力以上のものを出そうとしないこと。そして、試合中に最低限自分がやるべきことは何か、コントロールできる範囲以内のことを考えるようにしましょう。
Q.気持ちに浮き沈みがあります。
メンタルを安定させる方法を教えてください
A.感情を吐き出すワークとお手玉で気持ちを切り替える

メンタルの安定には気持ちの切り替えが重要です。チームの場合、試合前の感情を吐き出すワークを試してみてください。3~5人のグループに分かれ、今どんな気持ちなのか、1人約10分間、話をします。話を聞いたメンバーは、励ましたり感想を伝えたりして、メンバー同士の気持ちを共有すると、気持ちが切り替わります。
また、お手玉もおすすめです。お手玉をするとき、人はお手玉の動きを目で追いながら手を動かします。目と手の動きを連動させることをハンドアイコーディネーションといい、認知能力を高めて脳を活性化する効果があり、気持ちの切り替えにも役立ちます。
Q.周りの期待に応えたいと思うと、
それがプレッシャーに感じてしまいます
A.プレッシャーに感じるのではなく期待されていることに感謝する

アスリートのほとんどが「期待通りの結果を残さなければ」とプレッシャーを感じています。その心理は、過剰な承認欲求にとらわれているせいかもしれません。承認欲求の呪縛は(認知された期待-自己効力感)×問題の大きさ という公式に当てはめることができます。たとえば、自分に集まっている期待をチーム内や他者とシェアすることができれば、認知された期待は下がり、プレッシャーを緩和することができます。そもそも期待されていることはとても尊いこと。逆に期待されなければ寂しいと思いませんか? 期待をプレッシャーにじるのではなく感謝できるとよいでしょう。
監修者

鈴木颯人さん
一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会代表
「心から競技を楽しめる人を増やすこと」を信条に言葉を大切にするスポーツメンタルコーチとして活動中。教え子には世界大会優勝、プロ野球ドラフト会議指名、日本代表選手も。『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA)など著書多数。