チームで個人で取り組む
新しい環境でのメンタルケア

新チームでの活動が本格化する春。よいスタートを切るためにチームや個人で取り組んでほしいメンタルケアについて紹介します。環境が変わるこのタイミングで選手が意識しておきたいポイントも解説します。
上級生がリードして
“チームの価値観”を明確にする
チームには独自の文化や価値観が存在します。メンバーはそれらをきちんと理解することが重要です。個人の価値観で行動してチームが空中分解しないよう、「チームがどこを目指しているのか」「チームに求められる行動指針は何なのか」指導者や上級生が中心になりチームの価値観を明確にしておきましょう。

大事な試合前や1~2カ月に1回程度のペースなど、メンバーが忘れないよう定期的にチームで振り返りを行いましょう。また、チームの目標や行動指針は、適宜アップデートすることも大切です。
環境移行期の新入生は
いち早く “暗黙の了解”を知る
新1年生は、何よりも新しい環境に慣れることが先決です。例えば、10時からミーティングがある場合、その10分前に集合するのがチームのルールだった、など。そういったチームの“暗黙の了解”を早く理解しておくことは後々のメンタルにいい影響をもたらします。

そこで鍵になるのがコミュニケーションです。特にこれから人間関係を形成していく1年生にとっては難しい部分ですが、同じ高校出身の先輩や、コミュニケーション上手な先輩など話しやすい人に聞くと良いでしょう。
1日1個、 “小さな”成功、
感謝、幸せを書き出す
1日1つ、手帳やノートに小さな成功、感謝、幸せを書き出してみましょう。翌日は同じことは書けないのがルール。日々の練習ノートにダメ出しばかり書いてしまう人は、求める成功レベルが高く、小さなことですら満足できていない傾向にあります。日々の小さな成功体験で確実に前に進んでいる感覚を自分に認識させることで自己効力感も高まります。

最近は、スマホのメモ機能などを活用している人も多いですが、この作業中だけでもスマホは遠ざけてください。ノートであれば振り返りもできるだけでなく、手書きによる記憶の定着が期待できるからです。
監修者

鈴木颯人さん
一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会代表
「心から競技を楽しめる人を増やすこと」を信条に言葉を大切にするスポーツメンタルコーチとして活動中。教え子には世界大会優勝、プロ野球ドラフト会議指名、日本代表選手も。『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA)など著書多数。