歴史や製法など アミノ酸を詳しく学ぼう!

アミノ酸の製法について

~アミノ酸の基礎知識~

アミノ酸は天然素材でつくられています

味噌や醤油などの発酵食品は、大豆や麦などを麹菌によって発酵させたもので、含まれているたんぱく質は発酵の過程でアミノ酸に分解されています。こうした食品によって、私たち日本人は、古くからアミノ酸を食生活に取り入れておいしさを追求してきました。現在、アミノ酸製品に使われるアミノ酸も味噌や醤油と同じように、天然素材を原料にした発酵法を中心につくられています。

発酵法は天然の仕組み

アミノ酸発酵法は、微生物が栄養源をとって微生物自身に必要なさまざまな生体成分に変換していく仕組みを利用してアミノ酸をつくる方法です。
発酵法では、微生物を培養する培地に糖蜜などの原料を入れ、微生物の増殖とともにアミノ酸を生産させます。ここで重要な役割を担うのが酵素です。酵素とは、生体内で起こる化学反応を触媒するたんぱく質で、物質を分解したり、合成したりするために必要不可欠なものです。発酵のプロセスには、10〜30種類ほどの酵素の連続反応が関与し、この反応の結果さまざまなアミノ酸がつくられます。

まずは優れた微生物を探し出す

微生物を利用してアミノ酸を生産するには、アミノ酸生産の潜在能力の高い微生物を探し出すことが重要です。自然の土の中1グラムには約1億個の微生物が存在しています。その中から有用な微生物を探し出します。
発酵法に適した微生物が見つかると、さらにその能力を高めること、すなわち微生物のもっている能力を最大限に活かすための改良が必要になります。
生産されるアミノ酸の量は、酵素の量と質によって決まります。つまり目的とするアミノ酸の生成に関与する酵素が働ける状態でたくさん存在すれば、生産されるアミノ酸量は増え、逆に、少なければそのアミノ酸量は減少します。微生物がA→(a)→B→(b)→C→(c)→Dという代謝経路を持つとき(a、b、cは酵素)、Cというアミノ酸だけを大量につくるためには、酵素a、bの働きを強め、酵素cの働きをなくせばよいわけです。これを可能にするためにいろいろな手法を使って菌株を改良するわけです。
発酵を行うタンクに、さとうきび、とうもろこし、キャッサバなどを原料とした糖蜜や糖を入れて、攪拌する条件や空気の供給、温度やpHなどが最適となるように条件を設定します。この培養液から目的とするアミノ酸だけを純粋に取り出します。

食とアミノ酸

アミノ酸のその他の製法

アミノ酸の製造方法には発酵法の他に、酵素法、抽出法、合成法などがあります。
酵素法では1、2種類の酵素を利用してアミノ酸になる手前の物質を目的とするアミノ酸に変換させます。酵素法では、微生物の増殖をともなわず、グルコースからの長いプロセスを経ることなしに、特定のアミノ酸に変換することができます。酵素法は、アミノ酸になる直前の物質が安価に供給されるとき威力を発揮します。
また、抽出法では天然のたんぱく質を分解して各種のアミノ酸を得ますが、原料たんぱく質に含まれる個々のアミノ酸の量によって生産量がおのずと制約されます。特定のアミノ酸だけを大量に生産したいときには不向きです。
合成法は、化学反応によってアミノ酸を製造する方法です。初期のアミノ酸製造には、この方法も多く用いられました。しかし、化学反応ではL体とD体のアミノ酸が同時に等量生成されるために、生成したD体のアミノ酸を再びL体に変換する工程が必要でした。その為、製造工程や製造設備が複雑になり次第に廃れて行きました。しかし、今でもD体とL体の区別が無いアミノ酸であるグリシンや、使用時にD体とL体を区別する必要の無い一部のアミノ酸の製造には用いられている方法です。
発酵法は、コンパクトな設備で必要とするアミノ酸を低コストで大量に生産できる利点があり、これがアミノ酸市場を拡大する大きな原動力となりました。1960年代にグルタミン酸の製造が抽出法から発酵法に切り換ったのを皮切りに、他のアミノ酸も順次、発酵法への転換が図られました。