interview

ベストを食せ! VICTORY TALK

NEWバドミントン
奥原希望選手
×VPメンバー
上野祐輝

ただいま、バドミントン、
メジャー化計画進行中

味の素㈱社員が、アスリートたちの栄養サポート行うビクトリープロジェクト®。このビクトリートークは、プロジェクトメンバーと、彼らが担当する選手によるトークセッションです。毎回、選手それぞれのカラダづくりやトレーニング、食事や栄養のアドバイスなど、普段の生活にも応用できそうな内容を盛りだくさんでお届けします。日本国内のみならず世界のトッププレーヤーとして活躍し、東京2020オリンピックでのメダルが期待される奥原希望選手。リオ2016オリンピック以来サポートを続けてきたビクトリープロジェクト®️ディレクターの上野祐輝が、バドミントン選手の競技スケジュールや食事、オリンピック延期決定時の心境、現在の練習状況などを率直に聞きました。奥原選手の根底にあるものはただひとつ。バドミントンをもっとメジャーな競技にしたい、という想いです。

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海外遠征
180日間。
ひとり鍋のチカラ。

バドミントン選手は試合や合宿などで年間180日を海外で過ごすと言われています。いつ頃からこのような生活なのでしょうか?

私が初めて日本代表に入ったのは15歳のとき。その後A代表となったのが17歳です。そのときはランキングがなかったのでそんな生活ではなかったから……リオ2016オリンピックの選考レース前からだと思います。2014、15年くらいですね。

当時の海外遠征時の食事はどんな感じでしたか?

“レトルト生活”だったと記憶しています。代表選手は誰もが一応、ごはんを炊く鍋は持っていくんですが、おかずはレトルトパックばかりで。

どんなレトルトを?

ひたすら親子丼、中華丼、カレーのローテーションですね(笑)。

とりあえず良い悪いは別にして、当時は「そういうもの」だったということですよね。

それが当たり前だったんです。海外での食事はそれ以上でもそれ以下でもなかった。「これでしのぐしかない」という。食事に対する感度が鈍かったんだと思います。

それが当たり前だから「食事に困っている」という意識はなかったのかもしれません。ただ、コンディションを整えるための食事という意味では、やっぱり良くはない。

毎日レトルトというのは相当重いですよね。それに味の面でも今のほうがはるかにおいしいし、ヘルシーです。

私がバドミントン代表の選手たちと接するようになったのは、リオ2016オリンピックのあと。食事についてヒアリングすると皆さん「海外の試合のときもちゃんと自炊していますよ」みたいな感じでしたが、実は……。

「自炊=単にごはんを炊くこと」という認識でした(笑)

そう(笑)。よくよく話を聞いてみると、「海外に出て2週間くらい経つと身体がきついんですよね」なんて選手も結構いたので、おかしいな、と思いました。

でも「ごはんを炊く、食器を洗う」ことに慣れていたからこそ、味の素さんのサポートをすんなり受け入れることができたのかも。栄養のポイントを押さえて“ひとり鍋”などの料理を実践するという点では、どの競技の選手よりも適応能力は高かったのではないかと思います。

具体的にはどういう食事を意識するようになったんですか?

ごはんだけではなく、肉や魚といったたんぱく質と、コンディションを整えるためのビタミンをとるべきだと意識するようになりました。ちなみに女子選手より男子選手のほうが、料理にこだわったりする人が多いですね。

ただ、海外でも炒めものまで調理する選手は奥原選手くらいかもしれない。

ずっと鍋というのも飽きてしまうので(笑)。でも「Cook Do®️」を使うので簡単なんですよ。肉と野菜を鍋で、ちゃちゃっと。

そういう食事を意識するようになってから、以前よりもコンディションが上がってきた実感はありますか?

三回の食事はもちろん、「アミノバイタル®️」などの補食も含めた食事を意識するようになってから、ずいぶん変わったと思います。エネルギーの摂取という点でも、できるだけ疲れを残さないという点でも。

バドミントンは非常に激しいスポーツですし、競技日程もタフ。1試合1時間かかることもありますし、大きなトーナメントだとそれが5日間続きます。転戦スケジュールによっては休息日なしで各国を移動する場合も。

大会を勝ち抜くということは、次の日はより強い相手と戦わなければならないということ。できるだけいい状態をキープするために、食事への配慮は欠かせません。今の日本代表はどの種目も強いと評価されています。トレーニングはもちろんですが、その強さは食事によって培われた面もあるのではないでしょうか。

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東京で
結果を出すために
プロの道へ。

奥原選手と初めて出会ったのは、リオ2016オリンピックの現地です。そのとき「G-Road Station」(オリンピック開催時に設置される食のサポート施設)によく足を運んでくれたんです。

その頃から私の印象って変わりましたか?

いや、それがまったく変わっていないんです。確か大事な試合の直前でしたが、食事をとりながらいろんな話をしました。「とにかく試合頑張ります」というのではなく、目標と、その目標を達成するためのプロセスを明確に意識している感じ。「こういう人が世界で活躍するのか」と思った最初の選手でしたね。

上野さんはそういうふうに「人をよく見る」方ですよね。人のキャラクターによって対応を変えていくのがうまい。あと、アベレージのテンションが高いですね(笑)。

それってどういうことですか?(笑)

いつもテンションが変わらない、と言ったほうがいいのかな。例えば試合に帯同してくれているときに、上野さんがビクトリールーム(控室)にいるじゃないですか。朝早くても夜遅くても、いつも同じテンションで迎えてくれるから、選手たちも接しやすいんです。日本代表のスタッフの一員と言っても過言ではないくらい、求められている方だと思います。

ありがとうございます。「ベースのテンションが高い」とおっしゃいましたが、「うるさいなあ」と感じることもあります?(笑)

いえ、上野さんはもうそういう方だと思っているのと、日本代表チームのなかで、そのテンションの高さがちょうどいいんですよ(笑)。

ありがとうございます(笑)。奥原選手と初対面したそのリオ2016オリンピックが終わったとき、「バドミントンがもう一段階メジャーな競技になった」という感覚があったように思います。

リオ2016オリンピックがきっかけで今があるのは確かです。バドミントン競技で日本初の金メダル(女子ダブルス)を獲得したタカマツ(高橋礼華・松友美佐紀)ペアをはじめ、活躍した先輩方がいるからこそ今がある。日本国内では、女子ダブルスの歴史が軸となって、どんどん盛り上げてくれるのではないかと思います。

現状はどうでしょう。シングルスで注目される選手も多いと思いますが。

テニスもそうですが、やはり競技の花形はシングルス。またミックスダブルスで注目されている選手たちもいます。つまり全種目で強い選手がいる。それが、日本においてメジャーな競技になったという実感の理由だと思います。

2019年にプロ選手となったのも、やはりリオ2016オリンピックからの流れがあるのでしょうか。

東京2020オリンピックで結果を出すために、何が足りないのか、何をすればいいのか。「自分が後悔しないように、この4年間を無駄なく過ごしたい」と強く感じました。そのために考えた結果がプロという形だったんです。

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コロナと
時間つぶしと
冷凍最強説。

少し時間を振り返りたいと思います。今年3月のヨーロッパでの大会からの帰国後、東京2020オリンピックの延期が決定しました。そのときの心境を教えてください。

「やはりそうか」というのが正直なところでした。自分の中で整理はついていたので、受け入れることはできましたね。先のスケジュールが見えないという点での不安はありましたが。上野さんはどうでしたか?

ある程度予想できたことではありますが、「私たちが落ち込むヒマはない」という感じでした。何より選手たちが4年間を賭けて臨む大会なわけですから。1年延びたら延びたで、選手たちそれぞれの声を聞き、それに対してアプローチするだけだという。とはいえ、選手たちも動けないので、しばらくは何もすることがなかったんですけどね(笑)。

私も家にこもっていました。帰国して2週間、自宅で自主隔離。そこでことの深刻さを実感しました。とにかく2週間も家にいるというのは人生初なので、まずはその過ごし方をどうすればいいのかという(笑)。

時間のつぶし方を知らない(笑)。

そうなんですよ。自分は目標のためにどう時間を使おうかというタイプなので、「時間をつぶす」という感覚がない。ただ、今年4月の段階で「残り1年4カ月をずっと頑張り続けると、どこかで息切れするだろう」と思ったので、1回スイッチを切ることも受け入れなければ、と。人生でこれ以上ないほどのぐうたらな2週間を過ごそうと決心しました。

その「ぐうたら」はやり切れたんですか?

はい。その2週間はゲームをやり込みました。毎日6時間くらい(笑)。料理する機会も増えましたね。時短というか、どれだけ素早く料理ができるかという視点で。

それはわたしたち味の素も追求している点です(笑)。

もちろん味の素さんからも献立のアドバイスをもらったりして。そのなかからひとつ挙げるなら、朝は「だし茶漬け」(「ほんだし®️」を使ったお茶漬け」)が最強かな。とにかく早く作れるし、何より食べやすい。あとは「冷凍最強説」ですね。

最強「だし茶漬け」、ありがとうございます(笑)。食欲がない時でも、だしのうま味で食欲スイッチが入り、おいしく、さらっと食べられますよね。食材は切って冷凍しておくとか?

ファスナー付きのビニールパックに食材と調味料を入れて、少し揉み込んで、冷凍しちゃうんです。豚肉のしょうが焼きなんか本当に簡単ですよ。一人暮らしって、どうしても食材が余りがちじゃないですか。でも何パターンかの料理を作って冷凍しておけば、時短にもなりますし、楽しみも広がるというわけです。

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持久力とスピード。
史上最強の奥原へ。

自粛期間中にはYouTubeチャンネルを開設して、自分から発信していくことも増えましたね。

YouTube(「奥原希望 のんちゃんねる」)を始めたのも、リオ2016オリンピックで盛り上がったバドミントン競技が、もっともっとメジャーになってほしいと思ったからなんです。

奥原選手が考える、バドミントン競技の魅力とはなんでしょうか。

プレーして面白くて、観て面白い競技だと思っています。でも、日本では「観て面白い」にいたっていない。観客数もなかなか増えないので。ならばプロ選手がさまざまな手段を使ってバドミントンの面白さを伝えれば、「そういう見方もあるのか」と興味を持ってもらえるのではと。

野球やサッカーのプロと同じように。

野球やサッカーと同じような温度感で会場に足を運んで盛り上がってもらうことが、バドミントンの盛り上がりに直結すると思います。

「観る」という点で成熟している、盛り上がる国はどこでしょうか?

それは圧倒的にインドネシアですね。どの国の、どの会場よりも盛り上がります。会場の歓声でシャトルを打つ音が聞こえないほどなんですよ。

まさにサッカーのサポーターですね。

そうなんです。みんなでジャンプしたり、ときには踊ったり。いいプレーにはどの国の選手にも拍手を送りますし、良くないプレーにはブーイングが起こる。目が肥えているんです。インドネシアの観客に声援を受けると、認められたように感じますね。

自粛期間を経て練習を再開されました。コロナ禍以前と変わった点があったら教えてください。

時間は短くなりましたね。大人数、長時間の練習はできない状況でしたので。緊急事態宣言が解除(5月末)されてからはもう少し長くなったんですが、それでも終日の練習はできなくて。半日練習を毎日です。でも、本当に充実した練習ができているんです。競技人生のなかで今が最強だな、と思えるくらいに。

試合再開も決まったそうで、10月にスタートですよね。

はい。今は10月の大会に向けてどう調整していくかという状況です。

奥原選手が優れているのは持久力だとよく言われます。充実した練習ができているということですが、今は自身の強みをどう分析されていますか。

その持久力をベースとして、スピードが加わりました。フットワークがどんどん速くなっていると実感しています。この4カ月間、みっちりとフィジカルを鍛えることができたのが要因ですね。

瞬間的なスピードが速くなったのでしょうか。それとも速いスピードを維持できるようになったのでしょうか。

両方だと思います。ただ、試合でどうなるかはまだわかりません。やはり練習と実戦は違いますので。それを10月の大会で試してみたいと思っているんです。

東京2020オリンピックに向けて、実戦感覚を戻しながら調整を続けていくということですね。

リオ2016オリンピックは銅メダル(女子シングルス)に終わって、自分のなかではとても悔しい大会でした。東京2020オリンピックではその悔しさを晴らしたいと思っています。タカマツ先輩の金メダルによってリオ2016オリンピックの会場に響いた「君が代」は、今でも忘れられません。今度は自国会場で、観客のみなさんとともに「君が代」を歌えたらいいなと思っています。

(本取材を行ったのは2020年9月時点です)

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Profile

バドミントン
奥原希望選手
Nozomi Okuhara

1995年、長野県出身。太陽ホールディングス所属。小学校2年生からバドミントン競技を始める。2006年、小学校6年生のときにアジアユースジャパンで優勝。15歳で日本代表に。2011年、史上最年少(16歳8カ月)で全日本総合選手権大会で優勝。以降国内、海外を問わず多くの大会で好成績を残し、日本代表のエースとして活躍。リオ2016オリンピック女子シングルスで銅メダルを獲得。2019年1月、日本人バドミントン競技選手として初のプロ転向を果たす。