羽生結弦選手と歩む味の素(株)「ビクトリープロジェクト®」の軌跡 羽生結弦選手と歩む味の素(株)「ビクトリープロジェクト®」の軌跡

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AJINOMOTO×SPORTS  特別対談インタビュー AJINOMOTO×SPORTS  特別対談インタビュー

「ビクトリープロジェクト®」とは日本代表選手およびその候補選手を対象とした、
国際競技力向上およびメダル獲得数増の為の『食とアミノ酸』によるコンディショニングサポート活動です。
今回は、羽生結弦選手と「ビクトリープロジェクト®」が二人三脚で歩んできた道のりを、
長年にわたり羽生結弦選手の国際大会の食事サポートに従事してきた味の素(株) 栗原秀文をインタビュアーに、
羽生選手にアスリートの食事と栄養についてお聞きしました。

味の素(株)は、JOCオフィシャルパートナー(調味料、乾燥スープ、アミノ酸ベース顆粒、冷凍食品)です。

アミノ酸と鍋で 元気なカラダに

「ビクトリープロジェクト®」との出会いは、ソチ2014冬季オリンピックに向けて、食事改善を図ろうとしたことがきっかけでした。僕がカナダに行って1年目の年だったので、まだ基礎体力も滑り切る力もない頃ですね。今もまだまだですが、食事は結構問題ありだったので……。

羽生選手から相談を受けた当初は、どういうプロセスを踏んでサポートをしようか悩みました。話してみてとてもロジカルに考える選手だと感じたので、まずはアミノ酸に興味をもってもらおうと思い、アミノ酸の使い方を書いた「結弦’sニュートリションプラン」の紙をお渡ししました。

「アミノバイタル®」はジュニアの頃から使っていました。 でも、当時は今のようにリカバーを意識していたわけではなかったので、「ビクトリープロジェクト®」の皆さんにサポートしていただくようになってから、飲み方など、改めて勉強になりました。

アミノ酸を使いこなすようになって、羽生選手のなかでアミノ酸や「アミノバイタル®」はどういう存在になってきた?

まさに補食です。特に「アミノバイタル® アミノプロテイン」。僕は、朝しっかり食べられないし、ギリギリまで寝ていたい……けれど練習に行くまでの間に食べすぎてしまうと動けないし、気持ち悪い状態で動きたくない。そんなときに使えるのが、「アミノバイタル® アミノプロテイン」のいいところです。
それに脂質がないのがいい。僕らはあんまり脂肪をつけたくないですし、何より脂質があると消化にもエネルギーを必要としてしまうので、そういう意味でも飲みやすいです。

手軽に効率よく、ですね。

あと、いろんな種類があるので、用途別の飲み分けを考えられるようになりました。

「アミノバイタル® アミノプロテイン」に関しては、どうしてもたんぱく質を摂れないとき、食事の前に飲むこともあります。このプロテインの場合は、おなかにたまらないけどしっかりたんぱく質が摂れるので、補食としても向いているかなと感じて、それから摂るようになりました。


アミノ酸については、最初から興味をもって、知識を増やしてもらいましたね。一方で、食事に関しては2つだけ言いました。1つは、食べようと頑張らなくていいから、できるだけ楽しく食事改善していこうということ。2つ目は、胃腸が動き出すタイミングが普通の人より若干遅いので、よりスムーズに食欲を引き出すために、鍋をお勧めしました。

だしには胃腸を活発にする働きのあるアミノ酸が含まれてることを教わってから、自宅でも食事の初めに汁物を飲んだり、いろいろ工夫しましたね。

当時は風邪をひきやすいと聞いていました。シーズンに入ると連戦で、疲労を残したまま移動すると、風邪をひいてしまう。
それを改善するのにどう貢献すべきかと考えたときに、胃腸を元気にする意味合いでも「汁物」は効き目があったと感じました。

今まで、バランスよく主菜・副菜・主食をそろえなきゃと考えていましたが、その皿の多さで嫌になっちゃうことが結構あるんですよね。最終的に、今は食べたいものを食べています。見た瞬間に胃が動くようなものを食べること。

おいしそう!っていう感情が沸き上がることは大事だよね。
大きな試合のときは「ビクトリープロジェクト®」が試合前から食事サポートをしていますが、これまで提供した「勝ち飯®」メニューのなかで、何が好きでしたか?

「豚バラと白菜の重ね鍋」です。本当においしいなって思います。しかも、提供されるタイミングも、考えてくださっているなと感じています。

タイミングとしては、移動で疲れて食欲が落ちていそうなときを狙っています。豚肉は、疲労のリカバーや、摂った糖質をうまくエネルギーに変えていくために必要なビタミンが豊富です。

連戦中やストレスがたまる期間は、食べたいものを食べて、もし食べられないものがあれば、他のもので補給しています。

こうして、アミノ酸と鍋に着目してコンディショニングをして、ソチ2014冬季オリンピックに向かっていったのが第1フェーズです。うれしかったのは、スタッフから「いろんな試合をしてきたけど、今回の試合はとっても健康で元気でいます」と言っていただけたこと。僕としては、そこを一番目指してやってきたので、心のなかでガッツポーズしちゃいました。

おかげさまで、コンディショニングに苦しめられることはだいぶ減りました。

「ピーク」に合わせた 徹底的なコンディショニング

ソチ2014冬季オリンピックが終わって、次の4年後を目指すとなったときに着手し始めたのが、カラダづくりです。

体力がない、ジャンプの確率が低いと悩んでいた時期なので、とにかく筋量自体を上げることがあの頃の目標で、重くなったら「やったー」と思っていました。ただ、やっぱり体重は軽いほうがいいといえばいい。筋量が少なくても、体重とのバランスがマッチする黄金比的なものがあって、それを目指せばいいということがわかったんです。その黄金比がどれくらいなのかが、なんとなくわかってきた感じがしますね。

僕もそう感じています。カラダづくりで重要だったのが、きちんと3食食べること。1回で一気に食べると身につきづらいので、こまめに食べることを意識してサポートしました。大変だったと思うけどね。

はい。特に試合期間中は、「ビクトリープロジェクト®」のサポートチームで調理していただいた食事が出ますが、練習期間中に食べる食事とは量も違うので、「さすがに多いなあ……」と思いながら最初は食べていました。試合期間中は本当に、受け付けなくなるんですよ。自律神経が整わなくなってくると、胃腸の動きも悪くなるし。泣きながら食べていたときもありました。でも、率直な意見交換ができることもあって、今考え得る最強のコンディショニングプランになっていると感じています。

まさに、「これはきつそうだな」「これならいけるんじゃないかな」という作業の積み重ねと繰り返しで今の形があると思っています。当時は特に、平昌2018冬季オリンピックという最大のターゲットが昼の試合だったことを踏まえ、朝食にフォーカスしていました。朝からバイオリズムをきっちり上げるためのカラダづくりですね。付け焼き刃でやってもカラダの負担にしかならないので、2年間かけて慣らそうと考え、取り組み始めました。

その後の国際大会も午前中試合でしたが、あの頃にはもう既に慣れていました。元々は午後にピークがくるタイプでしたが、今は午前の試合のほうが強くなっています。きちんと朝食べて体温を上げて、昼にピークをもっていけるサイクルができました。

それが、おそらく本来あるべき栄養摂取の仕方であり、羽生選手のバイオリズムや胃腸の状態に合った形なんです。

「勝ち飯®」メニューの面白いところは、僕ら選手の「ピーク」に合わせて設計されているところ。シーズン通してのピークがあれば、1日ごとのピークもあります。試合前は、ビタミンや炭水化物、たんぱく質をどう蓄積させるかを計算して、フリーのときにピークがくるようにするだけでなく、ピークが終わった後のケアも怠らない。そういった意図がきれいに見えるところが面白いですよね。

ありがとうございます。羽生選手は我々の意図を感じてくれるので、こちらもやりがいがあります。

スポーツのこと、フィギュアのことを考えた場合に、どういうふうに食事をとらなくてはいけないのかを考えてくださっているので、本当にありがたいです。無駄なものはつけたくないけれど、ただのガリガリになってもいけない。そういったボディーバランスを考えているのが「勝ち飯®」メニューだと思うんですよね。フィギュアスケートは特殊なので、競技特性に合わせたカラダをつくりながらも健康でいてほしいという「ビクトリープロジェクト®」の皆さんの願いをいつも感じています。

我々味の素(株)という会社は、アミノ酸を活用して、食事をうまくコーディネートできるところが強みのひとつです。フィギュアスケートと出合い、羽生選手との取り組みを通じて、それがよくわかってきました。

体重は増やしたくないけれど、普通の人とは活動量が違うので、量は食べなきゃいけない。ただ、食べ過ぎるとカラダのしっかりした普通の人間になってしまうので、そのバランスが難しかったと思います。

でもおかげさまで、枠組みができてきたと感じています。

作りやすさ・食べやすさを 実現し楽しく食事をとろう!

これまでの「勝ち飯®」メニューや食事サポートを振り返って、いかがですか。

やっぱりたんぱく質の摂り方が難しかったですね。エネルギー系とビタミンは食事で摂りたいけれど、食べなきゃいけないたんぱく質量が多すぎるので、寝る前や起きたときにアミノ酸を飲んだり、間食をとったりして調整しました。ヨーグルトもよく食べたし、「たんぱく質がしっかり摂れるスープ」を、よく朝に飲んでいましたね。自分のカラダに対してエネルギーやたんぱく質をどれだけ摂るかは、すごく難しかった。逆に、それがあったから今のカラダづくりにつながっていて、かつ健康でいられているのだと思います。

これまで、いろんな鍋を出しましたが、やはりそれにも意図を感じましたか?

生野菜の繊維質を感じるのがつらかったので、野菜をあえて汁物に入れてくださっているなと感じていました。
煮込むことによって食材が柔らかくなるから、咀嚼回数が少なくてもカラダに入っていくんですよね。

そうなんです!
どんな料理も、柔らかく食べやすくというのをどう実現するか、調理の現場では試行錯誤していましたね。例えば、試合前によく出すじゃがいもたっぷりの「エネルギー豚汁」※。じゃがいもが大きいままだと食べづらいだろうから、サイの目にまで切ろう、生姜が好きだから少し入れてカラダを温めてもらおう、などと手を加えていって「これ、おいしい」と言ってくれるようになりました。
※エネルギー豚汁とは
試合のエネルギー源となる糖質をたっぷり摂れるよう、じゃがいもが多く入っており、また食べやすいように小さめにカットされています。豚肉から、エネルギー産生を助けるビタミンB1も摂ることができ、試合前にピッタリの汁物です。

ありがとうございます。「体重は増やしたくないけど健康ではいてほしいし、でもあまり食べないから、どうやって食べさせよう」と、工夫するのが大変だっただろうと思います。

「ビクトリープロジェクト®」のサポートで一番大切なのは、とにかく選手に食べていただくこと。ちゃんと食べられることが一番大事なんですよね。それを世の中に伝えていくためには、お母さんたちが「簡単に作れる」ことも、もうひとつ大事なポイントです。

スポーツ選手は朝早かったり夜遅かったりするので、ご飯を作る側の負担がとても大きいんですよね。

お母さんたちは、ずっとその大変さと向き合っています。僕らが「勝ち飯®」メニューを発信するときには、少しでもわかりやすく、より良いものをお届けしたい。そのひとつが、だしを入れて小分けにした小さいおにぎり「パワーボール®」なんです。

手軽に作れるのは本当にいいことですよね。食べる側からしても、大きなおにぎりやお茶碗にこんもり盛られたご飯を見ると、食べられないと思ってしまうけど、「パワーボール®」は小さいので、心の障壁が減ります。しかも小分けになっているので、1個だけでも「食べた!」っていう自信になるんです。食事を食べられないと、「残しちゃった」という罪悪感がありますが、「パワーボール®」だと「とりあえず1個は食べられた」という達成感につながります。

食べ残しがあるときは重量を測らないと食べた量がわからないけど、何個食べましたと連絡をもらうとこちらもカウントしやすいので、栄養管理の面でも便利です。 「パワーボール®」は小分けになっていて、しかもだしが効いていて食べやすいのが伝わっただけでも、すごく大きな役割を果たしたと思っています。

選手側からしても、調整が楽です。体調に合わせて、今日はこれくらいにしようとか、自分でコントロールできます。ご飯の量だけでも、今日は「きついな」っていうときもありますし。

羽生選手は10g単位で量の変化に気づくよね。いつもより10g増やしたときに、ちゃんと10g残っていることがあって、びっくりしました。

なるべく、出されたものは食べたいと思っています。でも、頑張らなくていい、無理して食べ続ける必要はないとも言っていただいたので、心のプレッシャーにはなっていません。

そう。「食べることがトレーニング」っていう言葉は、実はあんまり好きじゃないんですよ。いつもつらいトレーニングを頑張っている選手の皆さんが、どこで息抜きをするのか。
やっぱり食事の場は、より楽しくポジティブにしていかなきゃいけないと感じています。最初に「楽しくやるよ」と言ったのは、本当にその思いが一番強いからなんです。

本当にそうですね。残しちゃうとつらいし、食べ切れないことが精神面に影響することもあります。だから、食事の楽しさを感じなくなってしまうときもありますよね。量を増やすことは簡単ですが、増やさないでバランスを整えることは、何かしらの参考や実証がないとできません。

僕と「ビクトリープロジェクト®」との取り組みが、綿密な体重管理をしなきゃいけない競技の選手の実例になっていたらいいなと思います。そこが、「ビクトリープロジェクト®」に参加させていただいて、自分が一番伝えたいことだと思うんです。
アスリートの皆さんがどうやって自分の一番いいバランスにもっていけばいいのか、そのバランスのためにはどういう食事がいいのか。僕の感じている「こんなもんでいいんだ」「これくらいはいけるんだ」っていう足し算・引き算が、何かしらの役に立てればいいですね。

十分、参考になっていると感じていますよ。
最後に、食事を頑張るアスリートに向けて、メッセージをお願いします。

食事はやっぱり楽しいもので、それをサポートするものもたくさんあります。いろんなものを活用しながら食事を楽しくとることによって、トレーニングも楽しく元気にできるように頑張ってください。

撮影:川並京介
取材・文:飯塚さき