2015.05.29

うま味研究会 公開シンポジウム「食べ物のおいしさにおけるうま味の役割~多感覚の相互作用」に参加しました

2015529日に、うま味研究会による公開シンポジウムが開催されました。
うま味研究会は、うま味に関心を持っている研究者を中心に1982年に発足し、シンポジウムや講演会、ワークショップ等の活動を通して、うま味の学問的追及を行っています。

今回のシンポジウムは、日本獣医生命科学大学の西村先生がオーガナイズされ、「食べ物のおいしさにおけるうま味の役割~多感覚の相互作用」というタイトルで開催されました。当日は会場からあふれる程の参加者(約
340名)があり、質疑応答も活発に行われ、非常に盛況でした。

当社は、本シンポジウム発足時から毎回講演者や聴衆として参加し、うま味に関する情報交換や人脈づくりに努めてまいりました。
今年もイノベーション研究所の川崎寛也が発表し、近年開発されたTDSTemporal Dominance of Sensations)法という食品の味や風味、食感の質的経時変化を計測する手法を用いて行った基本味(甘味、酸味、苦味、塩味、うま味)の評価と、その手法の応用例を紹介しました。
TDS法では官能特性の経時変化が見える化されるため、これまで料理人の感覚で行われてきた、経時変化を伴うフレーバーデザインの情報を共有し、議論することが可能になります。今後、これまでにないような新たなフレーバーをデザインしていくツールとしての活用が期待されます。

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左:会場の様子                右:味の素㈱イノベーション研究所 川崎寛也

また、最後に行われたパネルディスカッションでは、「食べ物のおいしさにおけるうま味の役割」というテーマで、味と香りや味と経験に関して、脳科学から調理まで幅広い視点でのディスカッションが繰り広げられ、うま味の役割について改めて考える良い機会となりました。
味の素社は、今後もシンポジウムやセミナー等において、味覚に関する最新の研究や技術について紹介して行きたいと考えています。

<プログラム>
「料理のおいしさとうま味」田村 隆(日本料理 つきぢ田村)
「しょうゆ中の水溶性多糖がつゆの後味に与える影響」 今村 美穂(キッコーマン株式会社)
「塩味・うま味増強香気成分による減塩食の嗜好性改善」下田 満哉(九州大学)
「うま味物質による香り感覚の増強作用」西村 敏英(日本獣医生命科学大学)
「TDS(Temporal Dominance of Sensations)法による味・風味の経時変化計測とその活用」
川崎 寛也(味の素株式会社)
「経験と文化による味覚・嗅覚の変化」小早川 達 (産業技術総合研究所)
「ヒトの化学感覚脳機能イメージングの最先端」岡本 雅子 (東京大学大学院)