原材料調達安心・安全な製品を届けるために

味の素グループでは、事業活動で利用する原材料を網羅的に把握した上で、社内関連部門と社外有識者(専門家、NGO等)で分析し、農林資源、水産資源の領域で特に重点的に取り組むべき重要原材料を特定しています。特定にあたっては、当該原材料への依存度、代替可否、地球環境の持続性への関わりの大きさ等の総合的視点で判断しています。重要原材料は、事業や地球環境等の状況の変化に即し、毎年見直しを行っています。
また、味の素グループでは、味の素品質保証システム「ASQUA(アスカ)」で定めた「原材料の品質管理基準」に従い、サプライヤーを選定し、購入した原材料は、ロットごとに検査し、厳格に管理をしています。

持続可能な原材料調達

味の素グループでは、将来に渡って安全・安心な製品の供給を続けるため、気候変動、生物多様性、人権問題等と大きく関わる森林減少の抑制が重要と考えており、パーム油や紙等の農林資源に関する取り組みを強化しています。グループで「パーム油の調達ガイドライン」および「紙の調達ガイドライン」を定め、認証を受けた原材料の調達や各種イニシアティブとの連携、独自のトレーサビリティの確立や監査等も進めていきます。

持続可能なパーム油の調達

パーム油(パーム核油含む)を使用する製品は、カップスープ、即席麺、コーヒークリーマー等の加工食品や化成品等多岐にわたっており、使用する地域も日本、東南アジア、欧州、南米にまたがっています。一部の製品では認証品の調達がより困難なパーム核油を使用していること、一部の地域では認証パーム油の供給が限られることから、味の素グループではRSPO※の認証品またはトレーサビリティの確認のとれたものをもって「持続可能」としています。2020年度までに「100%持続可能なパーム油の調達」を目標としています。
※RSPO:持続可能なパーム油のための円卓会議

持続可能な紙の調達

味の素グループは、「紙の調達ガイドライン」に基づき、容器包装用紙の持続可能な調達を進めています。ガイドラインでは、保護価値の高い地域の森林破壊に関与せず、かつ原木生産地の法令および国際的な人権基準を守り、適切な手続きで生産する事業者から調達した紙をもって「持続可能」としています。2020年度までに「100%持続可能な紙の調達」の目標に対し、2018年度の容器包装用紙における持続可能な紙の使用率は、グループ全体で90%でした。

コーヒー豆の持続可能な調達

コーヒー豆の生産は、生物多様性が豊かな地域で行われており、多くを小農家に依存しています。
味の素グループでは、農園の自然環境や生産に従事する人々の生活を良い状態に保ち、生産と流通のサステナビリティ(持続可能性)促進に取り組む4Cアソシエーションに賛同し、4Cで定めた基準に適合した農園で生産されたコーヒー豆の調達に取り組んでいます。

サプライヤーとの取引

すべての原材料は、味の素グループ独自の品質保証システム「ASQUA(アスカ)」で定めた要件を満たすサプライヤー(原材料供給元)から購入しています。サプライヤーとは定期的にミーティングを実施するほか、製造現場を訪問して製造の様子を確認するとともに、「調達に関するグループポリシー」および「サプライヤー取引に関するグループポリシー」、関連するガイドラインの趣旨の理解を促し、定期的な評価および品質監査を実施するなど、品質保証レベルの向上について提案・指導を行っています。

サプライチェーンマネジメント体制

味の素グループでは、味の素(株)がグループ全体の原材料調達方針を策定し、その方針に基づいて国内外のグループ会社が戦略・計画を立て、実践する仕組みとなっています。グループ内で調達方針およびベストプラクティス(最も効率の良いやり方)の共有を行うために、味の素グループグローバル調達会議を適宜開催しています。

持続可能な原材料調達に向けたサプライヤーとの取り組み

味の素グループは、「サプライヤー取引に関するグループポリシー」にてサプライヤーに対する持続可能性観点での期待事項をお伝えすることで、サプライチェーンにおける人権・社会的側面の持続可能性確保に共に取り組むべくご理解・ご協力をいただいています。
味の素グループでは、「サプライヤーホットライン」を設置しています。役員・従業員、取引先からの通報窓口を開設し、味の素グループ役員・従業員の法令違反や「味の素グループポリシー」(AGP)逸脱の疑いのある行為の早期発見と是正を図っています。将来的にはサプライチェーンにおける人権・環境問題等を発見する手段の一つとして活用します。
また、味の素グループは、「人権尊重に関するグループポリシー」において、人権デュー・ディリジェンスの仕組み構築・継続的実施を明確化しています。これに基づき、グローバルの人権課題に対する検討や啓発を進めるとともに、人権デュー・ディリジェンスによる人権マネジメントの仕組みを構築中です。

原材料調達と「おいしさ」の追求(クノール®カップスープの場合)

コーンスープの味の決め手はスイートコーンの質と、それをパウダーにする高い技術です。安全な原材料コーンを確保するため、農薬や肥料の使用などを管理しながら、農家のみなさんと共に努力しています。

コーンの栽培から加工まで一貫した自社管理

主に、富良野、十勝、訓子府、白滝の4つの地域でコーンを栽培。

主に、富良野、十勝、訓子府、白滝の4つの地域でコーンを栽培。一日の中で寒暖の差が大きく、日照率(実際の日照時間と可照時間(日の出から日の入りまで)との比率)が比較的高く、おいしいスイートコーン栽培に適している。

緻密なシミュレーションによって、おいしさのピークで収穫。

緻密なシミュレーションによって、おいしさのピークで収穫。コーン専用のハーベスタ(収穫機械)で速やかに刈り取られ、一日に170~180トンのコーンが工場に運ばれる。

収穫後24時間以内に全てコーンパウダーに加工する。

収穫後24時間以内に全てコーンパウダーに加工する。工場では衛生管理を徹底し、髪の毛や埃などの混入を防止している。

カップスープのおいしさは素材に大きく左右されます。また、新鮮なうちにすばやく加工することもおいしさに影響を与えます。これらの管理を徹底するため、私たちは種まきから収穫、パウダー製造までの全てを自社で行っています。
また、長年蓄積した実績データを元に、収穫時期を細かくシミュレーションし、工場に効率的に届くよう収穫を管理しています。

農家と共にコーンを管理する「コーンレンジャー」

安定した品質のコーンを育てるために重要な役割を担うのが「コーンレンジャー」です。
種まきをする5月からほぼ毎日畑をまわり、その変化を確認しながら収穫のタイミングなどを決めています。
シーズンオフには生産農家と意見交換会を開き、品質面や収穫面の情報提供及び、肥料をまくタイミングや回数などの栽培に関するアドバイスを実施しています。

「コーンレンジャー」が農家と共にコーンを管理

コーンレンジャーはコーンの管理人。
おいしさのピークを判断する重要な役割を担っている。

TOPIC MEMO

食の安全・安心の関連用語

残留農薬

食品中に残留する農薬が、人の健康に害を及ぼすことのないよう、各国がそれぞれの国の事情に基づいて残留基準を設定しています。味の素グループでは、原材料として使用する野菜等の安全性を確保するため、農場全体の農薬管理をはじめ、独自の厳しい基準と分析体制のもと、収穫した野菜の残留農薬検査を行っています。

GMO(遺伝子組換え作物)

遺伝子組換え技術は、農作物に害虫耐性を付与して使用農薬を低減するなど、食料問題や環境問題の解決に大きな役割が期待される重要な技術です。使用と表示については、国ごとの法律により異なりますので、味の素グループは、各国の法律に従っています。

トレーサビリティ

味の素グループでは、味の素品質保証システム「ASQUA(アスカ)」で定めた「トレーサビリティ基準」に従い、トレーサビリティーシステムを構築し、製品で使用される原材料情報から製造・物流工程に至るまでの履歴情報を速やかに調査できる体制を整えています。

動物との共生(アニマルウェルフェア)

味の素グループで生産する食品には、畜肉や卵、エキス等の動物由来の原材料が欠かせません。近年、家畜の飼養においてもアニマルウェルフェア(誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた健康的な生活ができる飼育方法を目指す畜産のあり方)への注目が高まっています。味の素グループは「動物との共生に関するグループポリシー」を掲げ、バリューチェーンに関わるすべての動物とのより良い共生関係の構築を目指した取り組みを進めています。