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小児を救った命の水

~輸液療法とソリタ®‐T輸液開発の物語

五十嵐 隆 先生 監修
独立行政法人 国立成育医療研究センター
総長・理事長

昭和30年代頃の輸液療法の課題

昭和20年代までわが国では疫痢、消化不良性中毒症、脱水症などによりたくさんの子どもが死亡していました。例えば昭和20年代のわが国の乳児死亡率は1000人に対して50~70(現在は2.0で世界最低)でした。これらの疾患の子どもに輸液を行うことにより、大多数の命が救われることが明らかにされました。

しかしながら、当時はブドウ糖注射液、生理食塩水、リンゲル液(電解質の溶解液)しか輸液に使用できる製剤がなく、輸液療法を行う時にはこれらの製剤を煮沸消毒したイルリガートル(点滴ボトルに相当)にて混合し、採血用の注射針とゴム管(点滴チューブに相当)に接続し点滴を行っていました。しかし、この方法では液の混合時に細菌や毒素が混入し輸液後に発熱をきたすこと、電解質や水分の喪失を考慮した適切な輸液が行うことができないことが大きな欠点でした。

  • 昭和20年代、病気による脱水症から多くの子供が亡くなられましたが、輸液を行うことで多くの命が救われることが分かりました。
  • しかし衛生的に輸液療法を行うことが困難であり、病気の状態に合せて電解質・水分の補給量を適切に調節することができないなど、輸液には多くの課題がありました。
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