大阪万博で世界各国の最新食文化に多くの国民がカルチャーショックを受けた1970年は、同時に「外食産業元年」とも呼ばれ、今日わたしたちに馴染みのある外食ブランドの展開が始まった年です。
時代を映す食の本
①『向田邦子の手料理』(1989年刊)
向田和子/講談社
②『聡明な女は料理がうまい』
(1976年初版刊行、2012年復刊)
桐島洋子/アノニマ・スタジオ
『向田邦子の手料理』からは、当時の家庭の食卓が伺えます。
今と比べると食材や調味料の種類は少なく、オリーブオイルや豆板醤といった海外の調味料もレシピにはまだ登場しません。外国風の料理も身近な食材や調味料を使って簡単にアレンジしていました。
1970年の「ほんだし®」
顆粒を入れるだけで、本格的な味のみそ汁がつくれる、家庭の食卓の心強い味方として発売。プロのかつお節職人と共同で専用のかつお節をつくるなど、発売当時から味と香りへの強い思いが込められていました。
1970年代のTVCM・出版物
発売当時から「ほんだし®」はTVCMを通しておいしさ・便利さを発信してきました。1973年以降、「ほんだし女房」といった印象的な広告コピーと共に、季節感あふれる椀物をつくる正統派主婦像を表現し、家庭の食卓を担う当時の女性の支持を得ました。
食べ歩きガイドの発刊が相次ぎ、フランス料理店やボジョレー・ヌーヴォーが大流行。「1億総グルメ化」と言われました。
1986年の男女雇用機会均等法により働く女性が増加し外食や中食の利用が普及。料理簡便化が求められるようになり、レトルト・冷凍食品・インスタントなどの調理済み食品が台頭しました。
時代を映す食の本
①『オレンジページ創刊号』(1985年刊)
オレンジページ
②『働く女性のキッチンライフ』
(1981年初版刊行、2014年文庫化)
小林カツ代/大和書房
「忙しくても、少しの工夫で食卓を楽しくしたい」。そんな女性を応援する、料理を中心とした生活情報誌が相次いで創刊。短時間で調理できる料理や経済的なレシピの紹介が増えました。
1983年の「ほんだし®」
内容量の多い品種を発売し、パッケージも刷新。手書き風の縦書きで「ほんだし®」と入った赤い短冊デザインが採用されました。和食の魅力である「だしの風味」を家庭で気軽に楽しめる商品であることを訴求しました。
1988年の「ほんだし®」
赤い円状のデザインが印象的なパッケージにリニューアル。現在の「ほんだし®」のイメージに近いデザインになりました。
1980年代のTVCM・出版物
「たべごろ、日本。」や「お箸の国の人だもの。」という名コピーを残し、和食に欠かせない調味料としての「ほんだし®」をアピールしました。
バブル崩壊前から続くグルメブームと、 大人気テレビ番組『料理の鉄人』の影響で、「イタめし」や「エスニック」などの多国籍料理が家庭の食卓にも浸透。ますます国民のグルメ化が進む中、90年代後半以降、生活習慣病の急増により、オリーブオイルやココアなどの栄養機能に注目が集まり健康志向も高まりました。
時代を映す食の本
①『娘に贈るわたしのレシピ』(1998年刊)
有元葉子/主婦と生活社
②『101の幸福なレシピ』(1994年刊)
山本麗子/講談社
登場する料理の背景にあるストーリーや著者の生活ぶりが語られるレシピ本がベストセラーに。人気料理研究家のライフスタイルそのものが憧れの対象となりました。
1998年の「ほんだし®」
「削りたて香る」という新たなキャッチコピーに加え、金色のデザイン処理で華やかなパッケージに。
1990年代のTVCM
90年代後半からは野菜が豊富な「食べるみそ汁」をTVCMに登場させ、健康機能にスポットをあてたメッセージを発信しました。
90年代後半から、レシピを伝える手段として新たにインターネットが広がり、2000年代は「クックパッド」や「食べログ」、料理ブロガーの発信など、ネットを中心に食の情報が急増しました。
ライフスタイルの多様化と共に、食に対してもさまざまな価値観が生まれました。
時代を映す食の本
①『おつまみ横丁』(2007年刊)
瀬尾 幸子/池田書店
②『作ってあげたい彼ごはん』(2007年刊)
岡田 史織/宝島社
多様化するライフスタイルの中で、男性がつくる日々の家庭料理や恋人のためのごはんなど、さまざまなニーズに応える本が出版されました。驚くほど簡単で美味しい「家飲み」のためのおつまみレシピは、男女問わず料理のハードルを下げ広く受け入れられました。
2007年の「ほんだし®」
原料の見直しなどにより新しく生まれ変わった「ほんだし®」。職人が燻し分けた、香り、コク・味わいに優れた3種のかつお節を開発し、味がさらにおいしくなりました。3種のかつお節はその後も改良を続け、現在でも使われています。
2000年代のTVCM・出版物
新たなユーザーとのコミュニケーション活動として、全国のお客様から「ほんだし®」の簡単でおいしいレシピ(活用術)を募集。集まった活用術は、その後TVCMに登場、書籍にもなりました。
高齢化が進む中で、日々何を食べるかが健康を維持する最重要課題となり、「食」の話題はますます注目されるようになりました。
2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、だし文化や発酵食も脚光をあびました。
2017年には「インスタ映え」が流行語大賞に。
食の情報発信は、SNSやYouTubeへと舞台を移し広がり続けています。
時代を映す食の本
① 『みそ汁はおかずです』(2017年刊)
瀬尾幸子/学研プラス
② 『常備菜』(2011年刊)
飛田和緒 /主婦と生活社
日々の料理に悩む全ての人へ向けた、おかず代わりにもなる具沢山なみそ汁や保存の効く常備菜などの本が大ヒット。コロナ禍によるおうちごはんの増加や健康志向の高まりにつれて、「みそ汁」への注目が高まっています。
お客様の声を次々形に!
「お塩控えめの・ほんだし®」は改良を重ね、濃厚なかつおだしのコクと味わいで、「ほんだし®」のおいしさそのままに60%減塩を実現(「ほんだし®」比、食塩相当量分)。
2016年に「ほんだし®焼きあごだし」、2019年には「ほんだし®濃厚だし」を発売し、「ほんだし®」のラインナップを広げました。
2020年「ほんだし®」発売50周年
発売50周年を迎え、新たにリニューアル。
具だくさんでも全体の味の調和がとれるように、かつお節やエキスを改良し、だしの香り・風味を向上させました。パッケージも一新し、「3種のかつお節」「削りたての香り」という特徴を伝えるとともに、四季折々の彩り豊かな和食をイメージした華やかなデザインに仕上げています。
「ほんだし®」50周年にあたり
「ほんだし®」は1970年11月に発売され、
今年で50周年を迎えました。
当時の日本は、高度経済成長の真っただ中。
女性の社会進出も始まったことから、家事にかける時間の短縮が求められていました。
その社会的ニーズに応えるために発売された「ほんだし®」は、
発売後も改良と拡充を繰り返し、日本のおうちごはんに彩りを添えてきました。
50年分の感謝の気持ちとともに、
これからもご家庭の味を支える
存在であることを願って。
あなたのおうちのごはんが、
今日もおいしくありますように。
1970年の「ほんだし®」
顆粒を入れるだけで、本格的な味のみそ汁がつくれる、家庭の食卓の心強い味方として発売。プロのかつお節職人と共同で専用のかつお節をつくるなど、発売当時から味と香りへの強い思いが込められていました。
1970年代のTVCM・出版物
発売当時から「ほんだし®」はTVCMを通しておいしさ・便利さを発信してきました。1973年以降、「ほんだし女房」といった印象的な広告コピーと共に、季節感あふれる椀物をつくる正統派主婦像を表現し、家庭の食卓を担う当時の女性の支持を得ました。
1983年の「ほんだし®」
内容量の多い品種を発売し、パッケージも刷新。手書き風の縦書きで「ほんだし®」と入った赤い短冊デザインが採用されました。和食の魅力である「だしの風味」を家庭で気軽に楽しめる商品であることを訴求しました。
1988年の「ほんだし®」
赤い円状のデザインが印象的なパッケージにリニューアル。現在の「ほんだし®」のイメージに近いデザインになりました。
1980年代のTVCM・出版物
「たべごろ、日本。」や「お箸の国の人だもの。」という名コピーを残し、和食に欠かせない調味料としての「ほんだし®」をアピールしました。
1998年の「ほんだし®」
「削りたて香る」という新たなキャッチコピーに加え、金色のデザイン処理で華やかなパッケージに。
1990年代のTVCM
90年代後半からは野菜が豊富な「食べるみそ汁」をTVCMに登場させ、健康機能にスポットをあてたメッセージを発信しました。
2007年の「ほんだし®」
原料の見直しなどにより新しく生まれ変わった「ほんだし®」。職人が燻し分けた、香り、コク・味わいに優れた3種のかつお節を開発し、味がさらにおいしくなりました。3種のかつお節はその後も改良を続け、現在でも使われています。
2000年代のTVCM・出版物
新たなユーザーとのコミュニケーション活動として、全国のお客様から「ほんだし®」の簡単でおいしいレシピ(活用術)を募集。集まった活用術は、その後TVCMに登場、書籍にもなりました。
お客様の声を次々形に!
「お塩控えめの・ほんだし®」は改良を重ね、濃厚なかつおだしのコクと味わいで、「ほんだし®」のおいしさそのままに60%減塩を実現(「ほんだし®」比、食塩相当量分)。
2016年に「ほんだし®焼きあごだし」、2019年には「ほんだし®濃厚だし」を発売し、「ほんだし®」のラインナップを広げました。
2020年「ほんだし®」
発売50周年
発売50周年を迎え、新たにリニューアル。
具だくさんでも全体の味の調和がとれるように、かつお節やエキスを改良し、だしの香り・風味を向上させました。パッケージも一新し、「3種のかつお節」「削りたての香り」という特徴を伝えるとともに、四季折々の彩り豊かな和食をイメージした華やかなデザインに仕上げています。
参考文献:
・『講座 食の文化第7巻「食のゆくえ」』
責任編集:田村眞八郎、
監修:石毛直道/味の素食の文化センター
・『ファッションフード、あります。』
畑中三応子/筑摩書房
・『料理は女の義務ですか』
阿古真理/新潮社
・『うちのご飯の60年―祖母・母・娘の食卓』
阿古真理/筑摩書房
・『大衆めし 激動の戦後史』
遠藤 哲夫/筑摩書房
(敬称略・順不同)
協力:蔦屋書店